日産先進技術説明会2009 vol.2 燃費向上技術編(2/2)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
エンジンの燃費向上技術「デュアルインジェクター」
ガソリンエンジン自体の改良で、これまでよりも燃費を向上させる技術も、多方面から研究されている。
その中で、まもなく陽の目を見そうなのが、世界初の「デュアルインジェクター」。2010年初頭から発売される小排気量エンジンに採用される予定だ。
通常、現在のガソリンエンジンには2本の吸気ポートがあり、インジェクターは1気筒あたり1つで、吸気ポート前から両ポートに向けて燃料を噴射する。
ところが同システムでは、各吸気ポートに1つずつ、つまり気筒あたり2つのインジェクターを設けているのが特徴。これにより霧状に噴射した燃料の粒径を従来の約60%に小さくすることができ、燃焼を安定させることができるのだ。
また、従来の吸気側だけでなく、排気側にも連続可変バルブタイミングコントロール(CVTC)を搭載。デュアルインジェクターと組み合わせることで、熱効率の向上やポンピングロスの低減を図り、燃費を約4%向上させることができるという。
さらに、噴射された燃料がより早く気化し燃料の燃え残りが少なくなるため、排出ガス中の炭化水素(HC)の発生も抑制される。よって、触媒中の貴金属使用量を従来の1/2、超低貴金属触媒を併用すると、1/4に低減しても、十分な排出ガス浄化効果を確保することが可能となる。
同様の効果を得られるものとして、気筒内に直接燃料を噴射する直噴システムがすでに実用化されているのはご存知のとおり。ただし、昇圧用ポンプをはじめ構成部品が複雑になる。
コストの上昇はまぬがれず、レイアウト上の問題も出てくる。小排気量エンジンへの採用は難しいのが実情だ。ところが、デュアルインジェクターは通常の圧力で燃料を噴射するため、構成がシンプルですむ。同クラスの直噴エンジンと比較して、システムのコストは約60%低く抑えることができるという。
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