日産 セレナe-POWER最新情報|セレナ初のフルハイブリッド、気になる燃費や価格を徹底評価(2/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:古閑 章郎・日産自動車
ノーマル比6割強の燃料費で済むセレナe-POWERは専用装備も多数
前述の通り、セレナe-POWERのJC08モード燃費は26.2km/Lだ。現行セレナのSハイブリッドモデル、X・VセレクションやハイウェイスターVセレクションの16.6km/Lに比べると、数値上は燃料代を64%程度に抑えられる(約36%節約できる)。
セレナe-POWERは、外観も従来型のスマートシンプルハイブリッドとは異なり、ブルーの専用グリル、切削加工を施した15インチアルミホイールなどを装着する(16インチはe-POWERには設定がない)。
内装では、2列目に専用タイプのキャプテンシートを装着した。両側にアームレストが備わり、リラックスして乗車できる。乗車定員は7名だ。e-POWERがキャプテンシートの7人乗り、スマートシンプルハイブリッド搭載車はベンチシートの8人乗りと区分した。
この背景にはフロア構造とシートアレンジの違いがある。e-POWERはフロントシート(運転席・助手席)の下に駆動用リチウムイオン電池を搭載するから、1/2列目の間をセンターシートがスライドする独自のベンチシートを採用できない。そこで2列目を人気の高いセパレートシートに変更した経緯がある。
セレナe-POWERは先進安全装備もグレードアップ
インテリジェント エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)に代表される安全装備や、運転支援のプロパイロット(高速道路 同一車線自動運転技術)などは基本的に従来型セレナと同じだが、セレナe-POWERには、スマートシンプルハイブリッド搭載車が採用していないハイビームアシストが装着される。ハイ/ロービームを自動的に切り替えることが可能だ。
また道路標識を検知してモニターに表示する機能も、スマートシンプルハイブリッド搭載車は進入禁止のみだが、e-POWERでは速度表示と一時停止を加えた。これらの機能は安全性を高めるので、全車に拡大採用すべきだ。
セレナe-POWERの価格・おススメグレードは!? ノーマルモデルとの損得勘定もチェック
セレナe-POWERには4種類のグレードがあり、e-POWER X(296万8920円)、e-POWER XV(312万8760円)、e-POWER ハイウェイスター(317万8440円)、e-POWER ハイウェイスターV(340万4160円)となる。
この内、売れ筋はセレナe-POWER XVとe-POWER ハイウェイスターVだろう。
e-POWER ハイウェイスターVの価格は、スマートシンプルハイブリッドを搭載するハイウェイスター Vセレクションよりも46万9800円高い。シートアレンジなどは異なるが、e-POWERハイウェイスターVの快適装備が特に充実することはなく、上記の約47万円がハイブリッドの換算額と考えて良い。
そしてエコカー減税がe-POWERは免税、 スマートシンプルハイブリッドは減税で約8万円の差額が生じるから、実質的には39万円の違いになる。
そこでレギュラーガソリンが1リッター当たり140円、実用燃費がJC08モードの85%で計算すると、1km当たりの走行単価はe-POWERハイウェイスターVが6.3円、スマートシンプルハイブリッドは9.9円だ。1km当たりの差額は3.6円だから、39万円の実質差額を取り戻せるのは10万km少々を走った頃になる。
この距離はノーマルエンジン車とハイブリッドの損得勘定では短い部類に入り、セレナではe-POWERの優位性が高い。セレナではe-POWERとスマートシンプルハイブリッドで燃費数値の開きが大きく、取り戻せる距離が縮まった。
セレナe-POWERとライバル「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」「ステップワゴン」の各ハイブリッドと徹底比較
日産 セレナにe-POWERが加わったことで、Mクラスミニバンのトヨタ ヴォクシー/ノア/エスクァイア、ホンダ ステップワゴン(ステップワゴン スパーダ)にフルハイブリッドモデルが出そろった。
ヴォクシー/ノア/エスクァイアのハイブリッドシステムは、基本的にプリウスと同じで、1.8リッターエンジンをベースにしたタイプが搭載される。JC08モード燃費は23.8km/L。セレナe-POWER ハイウェイスターVに相当するヴォクシーハイブリッド ZSの価格は326万9160円だ。
ステップワゴン(ステップワゴン スパーダ)のハイブリッドは、直列4気筒2リッターエンジンをベースにするが、システム内容はセレナe-POWERに近いシリーズ方式だ。
ステップワゴンの場合、2リッターエンジンを使って発電を行い、モーターがホイールを駆動する。ただし高速巡航では、エンジンの駆動力をそのままホイールに伝えて効率を高める直接駆動も併用した。
ステップワゴン スパーダ ハイブリッドのJC08モード燃費は25km/Lだから、セレナe-POWERの数値を若干下まわる。価格はスパーダハイブリッドG ホンダセンシングが335万160円だ。
このようにエアロパーツを備えたミドルサイズミニバンのハイブリッド搭載車は、価格が325~340万円前後に集中する。セレナe-POWERは若干高めだが、動力性能と燃費が優れ、運転支援の機能も充実させた。
今後もますます激しいライバル争いが展開され、Mクラスミニバンの商品力も一層高まっていくことだろう。
[Text:渡辺 陽一郎/Photo:小林 岳夫・古閑 章郎・NISSAN]
セレナe-POWERの主要スペック
セレナe-POWERの主要スペック | |
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ハイブリッド(e-POWER) | |
グレード | セレナe-POWER ハイウェイスターV |
駆動方式 | 2WD(FF) |
トランスミッション | ー |
価格(消費税込) | 3,404,160円 |
JC08モード燃費 | 26.2km/L |
全長 | 4,770mm |
全幅(車幅) | 1,740mm |
全高(車高) | 1,865mm |
ホイールベース | 2,860mm |
乗車定員 | 7名 |
車両重量(車重) | 1,760kg |
エンジン | 直列3気筒 DOHC ガソリンエンジン+ハイブリッドシステム(e-POWER) |
排気量 | 1,198cc |
エンジン最高出力 | 62kW(84PS)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 103N・m(10.5kgf・m)/3,200~5,200rpm |
モーター最高出力 | 100kW(136PS) |
モーター最大トルク | 320N・m(32.6kgf・m) |
動力用主電池 | リチウムイオン電池 |
燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
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