日産、追浜工場を公開 -生産から人材育成へ“グローバル・マザープラント”のいま-
- 筆者:
「国内拠点からグローバル・マザープラントへ」
日産は9月8日、神奈川県・横須賀市にある追浜工場を報道陣に公開した。追浜工場は1961年に創業開始、2014年で53周年となる。現在生産されているモデルは「リーフ」、「キューブ」、「ジューク」、「シルフィ」。1本の生産ラインで4車種(ガソリン車とEV)混流し、ユーザーに同期した生産を行っている。
90年代、日産車の生産の8割は日本であり、「生産完成車」の輸出に力を入れていた。これまで日産は“国内生産量100万台”という数字にこだわってきた。しかし、2014年度の国内生産量は100万台を切る見込みだ。年度ベースで見ると1960年代以来初めてのことである。
追浜工場の稼働率は4~5割。現状、総生産台数500万台中追浜で生産されているのはわずか10万台である。しかし、日産の松元副社長は追浜工場が『グローバル・マザープラントとして世界のモノづくりを引っ張っている存在』であることを強調した。
松元副社長のコメントからも、追浜工場が「クルマの生産」から「人材の育成」へと役割が切り替えられようとしていることがわかる。生産だけではなく人材育成にも力を入れることにより、追浜で培ったノウハウを教えながら自己発展していく工場として変化を遂げているのだ。
しかし、日産は今後も“100万台の目標”は変わらないと力強く語った。追浜工場が担う「グローバル・マザープラント」の人材育成などの為にも100万台が必要であるのだという。
また、記者からの「今後追浜工場で新型(自社生産)の軽自動車の生産は?」との質問に、日産の松元史明副社長は「タイミングが来たときにお話しします」と回答し、軽自動車の自社生産については明らかにしなかった。
記者の質問の意図を予想すると、三菱と合弁会社「NMKV」により「デイズ」・「デイズルークス」を発売し22万台を売り上げている。この数字を足すと100万台という数字に到達するが、日産の工場で生産されているわけではないので、カウントしていないのだという。
軽自動車の自社生産がベストになるのかはわからないが、国内100万台という目標の達成の為に、今需要のある軽自動車の生産が今後必要となってくるのではないだろうか。
国内生産100万台の目標に向けた日産の取り組み
追浜工場では車体生産ラインが変化している。重筋作業の廃止・ロス作業の廃止を行い作業の効率化を図った。これまで、部品を選択する際に時間の無駄や歩行の無駄があった。しかし、2006年からは『AGV無人搬送』によって車両一台毎の部品を作業者の手元へ供給することで、品質を作り込む作業だけに集中できるようになったのだ。
なお、AGVはリチウムイオンバッテリーを搭載し、自動充電を実現している為さらに効率が良くなっている。
また日産は、「安全性」・「環境性能」・「デザイン」などのユーザーのニーズに応えるべく、シミュレーション技術により、難課題を短期間で解決し100%大丈夫だというところまで仕上げてからものづくりを行っている。これにより一切の無駄を省き、納期を厳守することができるのだ。
追浜工場がいま、力を入れる“人材育成”とは
■マスタートレーナー制度の導入
日本のGTC(グローバルトレーニングセンター)は追浜工場と横浜工場の2ヵ所、海外工場RTC(リージョナルトレーニングセンター)は23拠点ある。ここでマスタートレーナ―を活用して、海外工場が自律的に“人材”を育成する。驚くのはそのスピード、従来の直接指導に比べなんと20倍のスピードで育成されるというのだ。2014年4月現在、グローバルマスタートレーナ―が11名、マスタートレーナーが世界で912名いる(日本のMTは341名)。
工場内では一見ユニークな訓練も行われていた。レゴを使った車体を組み立てる訓練は、本来の作業手順を真似ているのだという。こうして追浜工場から日産の様々な技術が世界へと発進されると思うとワクワクした。
日産・追浜工場の工場見学で何度も耳にした「グローバル・マザープラント」。日産、そして世界のクルマ社会にいい意味でどう影響していくのか楽しみである。国内100万台生産という目標と併せて今後も日産の動きに注目したい。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。