日産 新型ラティオ 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
今や貴重となった5ナンバーセダン「新型ラティオ」
今から遡って23年前、1989年における自動車販売ランキング(小型&普通車)を見ると、1位が「トヨタ カローラセダン」で月販平均1万9千台、2位は「トヨタ マークII」で1万8千台、3位は「トヨタ クラウン」で1万7千台、4位が「日産 サニー」1万3千台と、5ナンバーサイズのセダンが圧倒的と言えるほど売れていた。
ところが、1990年以降は3ナンバー車が急増していく。1989年に自動車税制が変わって3ナンバー車の不利が撤廃され、海外向けのセダンを日本国内にも投入するようになったからだ。
これに伴ってセダンの販売は急落。バブル経済の崩壊もあったが、海外向けのセダンを安易に日本へと導入するやり方が裏目に出た。「セダンが売れなくなった」のは誤りで、「セダンを売れなくした」というのが正しい。
そして2012年、セダンは少数派になった。国内で売られるクルマの約70%を「軽自動車+コンパクトカー+ミニバン」が占め、この大半が5ナンバー車なのに、5ナンバーセダンはわずかな車種数しか残されていないためだ。
その意味で2012年10月に発売された「日産 新型ラティオ」は貴重な存在。全長が4,425mm、全幅が1,695mmのサイズは、まさに5ナンバーセダンの王道を行く。
ちなみに、今でもクルマ好きに人気の高い「日産プリメーラ」は、初代が1990年に登場して「5ナンバーセダン時代」の最後を飾った。プリメーラのサイズは、全長が4,400mmで全幅は1,695mm。その全長は新型ラティオよりもコンパクトなのだ。初代プリメーラをご記憶の読者諸兄なら、5ナンバーセダンの使い心地が如何に優れているか、理解していただけると思う。
となれば、「数少ない日本の5ナンバーセダン」としてラティオに対する期待は膨らむのも当然だろう。
運転席の上下調節機能は、新型ノートやマーチと同様に座面だけが動くタイプ。下げた時にはバックレストとの間に隙間ができて、腰の近辺に違和感を伴う。今は軽自動車を含め、大多数の上下調節機能がシート全体を動かすタイプ。ラティオはセダンなので、座面だけが動くタイプは相応しくないだろう。
リアシートは着座位置が新型ノートに比べて10~15mm低い。それでもセダンの中では腰の落ち込み方が少なく、着座姿勢に不満はない。ボリューム感はフロントシートと同様に少なめ。多彩なアレンジが可能な軽自動車やコンパクトカーと違って新型ラティオの座面は固定されているので、もう少し座り心地を向上させて欲しい。
頭上や足元の空間はどうか。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半。これはノートと同等か若干下まわる程度だが、セダンの中ではきわめて広い。Lサイズセダンのフーガと同程度の余裕がある。
頭上の空間は狭めで、頭と天井の間に掌が収まる程度。全高は1,495mmと高めだが、ルーフが後方に向けて下降しており、なおかつ着座位置を下げていないから、頭上空間が狭まった。もう少しルーフを後方に向けて長く伸ばし、リアウィンドウを立てると、リアシートはさらに快適になるだろう。
このあたりのデザインには、海外の事情も関係している。ラティオは1年間に約45万台を売るグローバルモデルだ。
だが、日本の販売目標は1年間で1万4,400台だから、全体の僅か3~4%にすぎない。欧州を除いた世界各国で販売され、中国と北米がそれぞれ約3分の1を占める。これらの市場のニーズに基づき、流麗なセダンらしさを重視してリアウィンドウを寝かせたようだ。
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