日産はなぜ新型ジュークではなくなぜキックスを導入した!?│新型キックスe-POWER 公道試乗&解説(3/3)

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車高の高いSUVながら走行安定性も良好

キックスe-POWERは走行安定性も良好だ。

全高が1600mmを超えるSUVだが、安定性を保つために操舵に対する反応を鈍く抑える設定にはしていない。ハッチバックに近い感覚で向きが変わり、唐突にボディが傾く不安な挙動も抑えた。ボディの傾く角度は速度に応じて大きくなるが、常に穏やかに動くから、前後輪とも接地性を失いにくい。

峠道を走っても旋回軌跡を拡大させにくく、下りカーブで危険を避ける時も、後輪の接地性が高く安心できる。

またキックスはノートe-POWERよりも背が高いSUVなのに、車両の動きに粘りがあって安定性も上まわる。これらはいずれも、キックスe-POWERのためにボディ剛性を高めたり、サスペンションを変更した効果だ。

極端な燃費追及よりも乗り心地や安定感を重視したチューニング

キックスe-POWERの乗り心地だが、時速50キロ以下では路上の細かなデコボコを伝えやすいが、段差を通過する時の突き上げ感は抑えた。また時速60キロ以上になると快適性が高まる傾向がある。少し高めの速度域に重点を置いた。

タイヤサイズは17インチ(205/55R17)のみで、試乗車が装着していた銘柄はヨコハマ ブルーアースE70だ。指定空気圧は前輪が230kPa、後輪は210kPaになる。

最近は転がり抵抗を抑えて燃費数値を向上させるため、前:250kPa/後:230kPaといった設定も見受けられるが、キックスは適正だ。このタイヤサイズと指定空気圧、足まわりとの相性も、安定性と乗り心地に良い影響を与えた。特に後輪側は、210kPaに抑えたことで、適度に粘る安定性と粗さのない乗り心地を得ている。

開発者は「燃費数値を向上させるため、もう少し高めの空気圧も試したが、走りと乗り心地がダメになった」という。安定性、乗り心地、燃費を上手く調和させている。

[筆者:渡辺 陽一郎]

日産/キックス
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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