日産 GT-R NISMO・GT-R 2014年モデル 試乗レポート/河口まなぶ(3/3)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:島村栄二
スパルタンなGT-R NISMOですら「快適なのに速い」
ハンドリングはむしろ以前よりもしなやかになったと思えるほどだったのがさらに驚きだった。
これまでGT-Rは成長をし続けて、2013年モデルでは登場時にはなかったドライバーとの対話性を手に入れていた。が、その2013年モデルと比べても、遥かに対話性が高まっている…しかも今それを感じているモデルはGT-R NISMOなのである。より走りに特化したスパルタンなモデルであるにも関わらず、むしろ以前よりフレンドリー…なのに速い、と一瞬ワケが判らなくなる感覚すらあるのだ。
ということはつまり結論として、2014年モデルの日産 GT-Rは開発陣が変わったことで180度向きを変えて「激変した」わけだが、ノーマルもNISMOも、ともに極めて好印象を抱かせるものになったといえるのだ。
存在そのものが良い意味でも悪い意味でも“大人になった”
しかし、である。ここが先に記した『存在そのものが良い意味でも悪い意味でも“大人になった”』という部分だ。
2014年モデルのGT-Rはつまり、水野さんのワンマン体制から離れ、いわゆる日産のルールに基づいた開発がなされて大きな進化を果たした。が、同時にこのモデルは“分化”もしたと僕は感じている。
つまり言い方を変えるとこういう風になる。
まずノーマルのGT-Rは、これまでのようにニュルでのアタックを行なわなくなったことで快適性の追求ができた。が、その分かつてに比べると速さや極限での性能(それを引き出せる人はそう多くないだろうが)は幾分犠牲になった、と。
一方NISMOは、よりサーキット等に特化したモデルとなったことで速さの追求ができた。その分かつて気にしていた快適性は幾分犠牲になった(と思える。この点は公道でまだ試せていないので)。
ニュルでのタイムアタック用は今回から専用の限定モデルへ
実際、GT-R NISMOに関してはさらに追記すべき事項がある。ニュルブルクリンク北コースでミハエル・クルム選手が7分8秒679のタイムを出したクルマ(模様が描かれた写真のモデル)は今回試乗したGT-R NISMOをベースに、さらに軽量化を図ってウイングを始めとした空力パーツを変更し、サスペンションのセットも変更したニュルパッケージを装着したモデルである。
だからNISMOとNISMOニュルパッケージ装着車との間にも、ある程度の割り切りがあるといえるわけだ。
この辺りは何とも悩ましい話。良くも悪くも頑固なところが強かった水野さんが手掛けていた昨年までのGT-Rは、融通が聞かない部分もあったがその分、何というか荒削りな感じがまた魅力でもあったような気もする。
快適性を高めたからこそ知る、ライバル欧州プレミアムカーの底力
しかし一方で、健全(?)な開発によって誕生したこの2014年モデルは、いろんな意味で役割分担がしっかりとなされて、クルマとして大人となって大幅な進化を果たし、商品として判り易さを手に入れたといえる。
だが一方で、いろんなものがクリアになったことで、GT-Rは果たしてどこへ向かうのか? が一層気になる存在になったとも。圧倒的な高性能をアピールし続けるのか? それとも違うのか?
というのも量産車でニュルブルクリンクのタイムを更新するわけではなくなったし、ロードカーとしては速さよりも上質さを追求していくだろうから…と考えると、それは図らずも水野さんが手掛けて来た時以上に、ポルシェ911に近い土俵にのった気もする。
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日産 GT-R NISMO 主要諸元
全長x全幅x全高:4680x1895x1370mm/ホイールベース:2780mm/乗車定員:4名(2+2)/車両重量:1720kg(チタン合金製マフラー装着車は1710kg)/駆動方式:4WD(4輪駆動)/エンジン形式:NISMO専用チューニング VR38DETT型 V型6気筒 DOHC ツインターボエンジン[NISMO専用GT3タービン装着]/最高出力:600ps(441kW)/最大トルク:65.5kgf-m(652N・m)/トランスミッション:GR6型デュアルクラッチトランスミッション[ファイナルドライブ一体型トランスアクスル方式]/タイヤサイズ:[前]255/35ZRF20 97Y/(後)285/35ZRF20 100Y/車両本体価格:15,015,000円[消費税込み]/発売予定:2014年2月末
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