日産 フェアレディZロードスター 試乗レポート

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クーペ以上のスポーツカーらしさ---オープン・マジック

試乗

オープンカーは百難隠す――ぼく自身がこれまで何台かのオープンモデルを手にし、実際それなりに長い距離と長い時間を付き合ってみた結果に生み出した格言 (?)だ。そして今、フェアレディZロードスターに乗ってみて、そのフレーズがやはり間違いではなかったと確信した。別に最新のフェアレディZに「百難」があるなどと言うつもりはない。けれども、新たに追加設定されたロードスターは、オリジナルのクーペ以上にスポーツカーらしく、フェアレディZが本来狙ったキャラクターというものをより鮮明に表現したように感じられたからだ……。

まるでオープンボディが本来の姿であるかのような自然な姿

フロントスタイリングリアスタイリング

対候性に優れ、静粛性や剛性の点でも明らかなメリットを持つクローズドボディのルーフ部分をわざわざ切り取ってオープン化するのであれば、まずはルックス面での魅力が無ければ意味がない。その点で、Zロードスターには文句ナシのOKサインを出すことが出来る。オープン状態でもクローズド状態でも、Zロードスターのアピアランスは大いに魅力的だ。

“トップレス”状態のZロードスターは、まるで当初からオープンホディの方が標準状態であるかのように自然な姿の持ち主。シート後方のロールオーバー・バーとさらにその後方のバルジも「スポーツカーのオープン」らしさを盛り上げ、必要以上に倒し込まなかった(それはクーペと同等という)フロントガラスの角度も全体のフォルムのバランスを保つのに役立っている。ちなみにこの「倒し過ぎなかった」フロントガラスの角度は、シートに腰をかけた時の解放感の高さにもひと役買っている。スポーティさを意識する余りガラスの角度をつけすぎると、頭上に被さったそれのおかげでせっかくの解放感がスポイルされてしまうものなのだ。

一方で、オリジナルのクーペ・ボディ以上にキャビン部分をコンパクトに見せるクローズド状態での印象も悪くない。オープン時に比べるとさすがにある程度の閉塞感を否めないが、それでも大きなフロントガラスとサイドウインドウから差し込む光りで室内は覚悟をしていたよりもずっと明るかった。

フルチェンジされ、足回りはシリーズを通して格段に向上

エンジンインパネ

走り始めると、いよいよ冒頭のフレーズが実感として味わえる。ZロードスターはこれまでのZクーペ以上に、スポーツカーらしいテイストを感じさせてくれるのだ。

ルーフをカットしたことで生じるボディ剛性感の低下は、想像したよりも小さなレベル。特異なX型フレーム構造をとることでオープンカーとしては世界トップと言えるホンダS2000のそれには及ばないが、それに僅差で続くポルシェ・ボクスターとは「ほぼ同等レベル」と評価出来るボディのしっかり感をこのクルマは備えている。乗り心地もこれまでのクーペ以上だ。路面凹凸を拾っても足回りはしなやかに動き、ボディに侵入した振動も前述の剛性感の高いボディがたちまち減衰させてしまう。ただし、この点には注釈が必要。実はこのロードスターの登場を気に、クーペの脚のセッティングも“フルチェンジ”が行われていたからだ。最新のクーペからもこれまでのひょこひょことした動きは姿を消し、ロードスター同様のしなやかさが加わった。初期型クーペのオーナーには気の毒だが、最新のZの乗り心地はシリーズを通して従来型とは比べ物にならないほどに向上をしているのだ。そして、こうしたしなやかな脚は走りのポテンシャルのアップにも結びついている。路面凹凸をきれいに舐めるZロードスターのフットワークは、常に高い4輪の接地性を生み出し、高いトラクション能力やハンドリング能力にも直結しているのである。

一方、心地良いサウンドや高回転時のパワーの盛り上がり感に欠けるエンジンフィールや、スポーツカーとしては切れ味に欠けるMTのシフト感覚など、これまで叫ばれてきた現行Zの課題はこのロードスターでも解決されているとは言えない。が、そんな事もひと度ルーフを開き、青空の下を走り出せばたちまち気にならなくなってしまう。 そう、これぞ“オープン・マジック”なのである!

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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