アルヴェルは絶好調なのに、エルグランドはなぜ売れない!?ライバルが”明暗”を分けた理由
- 筆者: 国沢 光宏
上級ミニバンの草分け的存在なのに…日産 エルグランドが売れてない
今やトヨタの稼ぎ頭になっているアルファード/ヴェルファイアながら、黎明期には日産 エルグランドという無視出来ないライバルが存在していた。
例えば初代アルファードと2代目エルグランドが同時期に発売された2002年の販売台数を調べてみたら、アルファード7万9670台に対し、エルグランド4万5940台とけっこうな台数。それが2017年度はアルファード/ヴェルファイアの合計8万7940台に対し、エルグランドは7548台と10分1以下になってしまった。
ここまで読んで詳しい人なら「アルファード/ヴェルファイアは2015年にフルモデルチェンジしてる。売れて当然」と思うだろう。けれど2014年度に売れたエルグランドも8129台と少ない。
現行エルグランド(3代目)が売れない理由は無いはずなのに…
実はエルグランドの凋落、2010年に3代目の現行モデルが登場した時から始まった。2008年に2代目にフルモデルチェンジしたアルファードは堅調に売り上げを伸ばしているのに対し、エルグランドの販売台数はフルモデルチェンジから3年経った2013年には急減してしまっている。
クルマに原因あるかとなれば、目立った弱点など無し。むしろ2代目まで古くさい後輪駆動シャシーを使っていたのをFFに刷新。乗り心地や静粛性、室内空間など改善されたほど。
現行エルグランドのエンジンラインアップはハイブリッドこそ無いものの、4気筒2.5リッターとV6の3.5リッターでアルファードと同じ。アルファードの大半がハイブリッドかとなれば、そんなことない。
加えて今や必須となっている安全装備の採用も2012年で、出遅れたアルファードより圧倒的に早かった。売れない大きな理由無し。
現行エルグランドは派手さが足らない
なぜ厳しいのか?販売店やアルファードユーザーに聞いてみたら、二つの大きな要因が判明した。
まず一つ目は「元気を感じさせないこと」だという。
アルファードもヴェルファイアも、お客さんの層は表現方法を工夫するなら「元気が良い」。派手さや押し出しの強さを好むユーザーだ。
一方、エルグランドを見ると、人気だった2代目モデルまでは派手で押し出し強いデザインだったが、3代目になり落ち着いた雰囲気になる。
フロントグリルの面積やメッキモノの採用など頑張っているけれど、背が低いこともあってか、やや大人しい感じ。アルファードやヴェルファイアと並べてたら、やはり弱い。
営業マンのスキル不足も原因か!?
二つ目はディーラー対応。アルファードやエルグランドを買う人の多くが、見た目が元気な感じ。けれどトヨタの場合、全く気にしない。なぜか? トヨタの営業担当はベテラン揃いで、地元に密着している。元気なお客さんでも、たいてい「誰々さんのお坊ちゃん」。お父さんを知ってれば、普通に付き合えます。
日産も20年前までベテランの営業マンが揃っていたけれど、赤字やルノー傘下になったゴタゴタ、さらにリーマンショック以後、国内販売体制は縮小均衡策をずっと続けた結果、営業マンも入れ替わってしまった。元気の良い人がエルグランドの試乗に来たら、ギゴチない対応になってしまう。
ユーザーとしては快適と言えず、営業マンも及び腰。その足でトヨタに行けば歓待してくれ、続いて「誰々さんのお知り合いとなれば精一杯良い条件を出させて頂きます」と言われたら、ハンコ押したくなる。
以上、車両でも営業でも圧倒的なトヨタ優位となってしまった。10分の1の販売台数も当然か。
次期エルグランドにe-POWERが搭載されれば…
こうなると気になるのが次期エルグランド。現在の台数だとフルモデルチェンジする予算を確保できないかもしれない。ただユーザー側からすれば、トヨタしか選べないという状況は決して好ましいことじゃない。
エルグランドにも、ノートやセレナで好評なe-POWERに代表される電動化技術を投入し、盛り返して欲しいと強く思う。
[TEXT:国沢 光宏]
エルグランド・アルファード・ヴェルファイアの世代別販売台数(参考)
エルグランド | アルファード | ヴェルファイア | |
初代 | 235,492台 | 441,500台 | 318,660台 |
2代目 | 208,052台 | 220,000台 | 162,310台 |
3代目 | 98,537台 | 139,160台 | - |
合計 | 542,081台 | 800,660台 | 480,970台 |
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