世界初! スバル、無人航空機の衝突回避試験を実施
相対速度100km/hでの無人航空機の衝突回避試験を実施
スバル、NEDO、日本無線、日本アビオニクス、三菱電機、自律制御システム研究所は、福島県、南相馬市、福島イノベーション・コースト構想推進機構の協力のもと、2019年7月24日から25日に福島県南相馬市の広域飛行空域で、相対速度100km/hでの中型の無人航空機の自律的な衝突回避試験を世界で初めて実施した。
衝突回避試験について
本試験は、2017年11月22日にNEDOと福島県が締結したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定に基づく取り組みの一環で、カメラやレーダーなどを搭載した中型の無人航空機が40km/h程度で飛行し、正面から60km/h程度で前進飛行してくる有人ヘリコプターを探知し、自律的に衝突を回避する飛行試験を行った。
今後、衝突回避システムを確立することで、災害対応や物流などの分野における無人航空機の実用化を推進。さらに、より小型の無人航空機への機能搭載を見据えた社会実装を推進する。
試験内容
有人ヘリコプターが接近する状況において、無人航空機に搭載した衝突回避システムが設計通りに機能し、自律的に衝突回避することを確認することが目的
■中型の無人航空機と有人ヘリコプターを、相対速度100km/h(無人航空機:40km/h程度、有人ヘリコプター:60km/h程度)で接近させる
■中型の無人航空機に搭載した各種センサーからの探知・識別データに基づき、衝突を回避する経路が生成され、この回避経路に沿って無人航空機が飛行することを確認する
■有人ヘリコプターを回避した後、元の飛行経路に復帰することを確認する
結果
■衝突回避用センサーにより有人ヘリコプターを適切に探知し、飛行物体が500mの距離まで接近した段階で識別することを確認
■探知・識別したデータを元に、自動的に衝突判定を行い、衝突回避経路が生成されることを確認
■生成した衝突回避経路を飛行し、自律的に衝突回避できることを確認
■衝突回避後、事前に設定した飛行経路に復帰することを確認
無人航空機の実験の必要性
一般にドローンと呼ばれる小型の無人航空機や、より大きなセンサーなどを搭載できる一回り大きな中型の無人航空機は、既に農業分野などで利用が広がり、さらには災害時の物資運搬や遭難者捜索、物流インフラなどの用途が大いに期待され、運用数は増加している。
しかし、無人航空機とドクターヘリなどの有人航空機のニアミスの実例が国内で報告されるなど、衝突回避技術は安全利用のための喫緊の課題となっているとともに、無人航空機の実用化に必要とされる「目視外飛行※1」および「第三者上空飛行※2」の実現に欠かせない技術である。
このような背景のもと、NEDOは、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人航空機の開発を進めるとともに、安全に社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施するプロジェクトを進めている。
本試験の結果を踏まえ、本年度下期には、離島を模擬した実環境において自律的に衝突を回避する無人航空機の飛行試験を行う予定である。
※1 目視外飛行:無人航空機の操縦者が自分の目によって無人航空機の位置や姿勢および航行の安全性を確認できない飛行のこと
※2 第三者上空飛行:無人航空機の運航に関与しない第三者の上空を飛行すること
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