ノートオーラの追加でノートも売れ行きが伸びた! 11月は9000台超え、拡大を続ける日産 新型「ノート」シリーズ デビューから1年の動向を追う
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:茂呂 幸正・島村 栄二・小林 岳夫・和田 清志・NISSAN
2020年12月末にフルモデルチェンジした日産のコンパクトカー「ノート」だが、デビューから早くも1年近くが経過した。新型ノートはその後ラインナップを拡大。内外装デザインを変えた3ナンバーボディの新ラインナップ「ノートオーラ」をはじめ、カスタムモデル「ノート AUTECH(オーテック)」や「ノートオーラ NISMO(ニスモ)」、さらにSUVタイプの「ノート AUTECH クロスオーバー」に至るまで、気付けば実に多彩なバリエーションを誇るモデルとなった。それぞれどのようなユーザーがラインナップを選択しているのだろうか。日産自動車のノート担当者に伺ってみた。
矢継ぎ早に新シリーズの展開を続ける日産 新型ノートシリーズ
日産の基幹コンパクトカー「ノート」は、2020年12月23日にフルモデルチェンジした。3代目となる新型は、通常のガソリンモデルを廃止し、e-POWER(ハイブリッド)専売に特化。100万円台の廉価なモデルを無くすという大胆な販売戦略をとった。
また、バリエーションの拡大を積極的に取り組んでいるのも特徴だ。発売当初より、“プレミアムスポーティ”をコンセプトにしたカスタムカー「ノート AUTECH」を設定。次いで後輪にも電動モーターを配したe-POWER 4WDモデルを追加している。
さらに2021年8月には「ノートオーラ」を新設定した。ノートとは異なるボディデザインやプレミアム度を増したインテリアとしたほか、e-POWERの性能向上を図り静粛性も高めるなど、多くの面で差別化が図られているのが特徴。新型ノートシリーズを名乗りながらも、プレミアムコンパクトカーという新たなモデルとしての立ち位置を確立させたのだ。価格も200万円台後半と、上級クラスに迫る価格帯設定となっている。
その後2021年10月には、ノートオーラをベースにしたスポーツモデル「ノートオーラ NISMO」や、ノートをベースにしたSUVモデル「ノート AUTECH クロスオーバー」も矢継ぎ早に追加されており、ユーザーに対し実に幅広い選択肢が用意されるようになった。
2021年11月には9000台を超える販売を記録! ノートオーラの販売増が全体を大きく押し上げた
果たしてこの新型ノートの多品種攻勢は、ユーザーからどのように受け止められているのだろうか。日産自動車で新型ノートシリーズのマーケティングを担当する、日産自動車 日本マーケティング本部の丸地 隆史 チーフマーケティングマネージャーにお話をうかがった。
新型ノートシリーズの直近の販売状況だが、自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)調べによる2021年11月度の販売台数は9412台を記録し、総合4位(軽自動車除く)と、前月の7位から大きくランクアップしている。
半導体不足や、コロナ禍の影響を受けた世界的な部品供給遅れなどの影響で、ここしばらく各社とも国内の販売台数に影響が出ていたようだが、ノートオーラの販売がいよいよ本格化したことで、2021年3月度以来の9000台超えという好調な販売台数となった。
ノートオーラが予想を超える5割の販売比率に
気になるのは、ノートとノートオーラの販売比率だ。丸地氏によると、ノート対ノートオーラの比率はほぼ5:5。ノートの上級グレードに対し、およそ40数万円価格が上昇するノートオーラだが、日産の想定以上に売れ行きが好調だという。ノートオーラは当初、シリーズ全体の3割程度を見込んでいたことから、嬉しい誤算だったと話す。
ここ最近の販売店には、ノートオーラを目的に来場したユーザーが普段よりも多く来場。実際の購入時にはノートを選択するケースもあるため、相乗効果で全体の販売台数を押し上げる結果になった。多品種攻勢は狙い以上の効果があったようだ。
ノートとノートオーラ、意外にも高額なノートオーラのほうがユーザー層は10歳も若かった!
ユーザー層についても伺ってみた。
ノートとノートオーラでは、高級で価格も高いオーラのほうが年齢層は上のように思える。しかし実は逆なのだと丸地さん。オーラの主力ユーザーは40歳台から50歳台なのに対し、ノートは5割が60歳台で占めているのだそう。
なおノートオーラを購入した2割のユーザーは、同価格帯の200万円台後半から300万円台で売られる「フォルクスワーゲン ゴルフ」や「ポロ」に代表される輸入車と比較しているという。
「どうせ買うなら高くても良いものを」と考えるユーザーの嗜好とノートオーラのプレミアム性がマッチしたようだ。
丸地さんは『輸入車を求める方の8割が電動化モデル(ハイブリッドやEV))を欲しいと考えている、という調査データもある。そうしたユーザーに“良い国産車がある”と響いたようだ』と、ノートオーラの人気を分析する。
個性強めな「ノートオーラ NISMO」のユーザー層はさらに若い20歳台から40歳台が主流
さらに丸地さんは、ノートオーラ NISMOはさらに若いユーザーから支持されていると教えてくれた。20歳台から30歳台、40歳台がメインユーザーだというから、ノートオーラよりさらに10歳若い層になる。
しかもNISMOは、ノートオーラシリーズの20%から25%を占める人気だという。かなりスポーティでキャラの濃い個性派のノートオーラ NISMOなだけに、さらに驚かされる結果だ。
ノートオーラシリーズの乗り換えユーザーの傾向も、前に乗っていたのが他社銘柄や下取り無しというケースが4割を占めている。他の日産車からの代替だけではなく、新しいユーザーが日産を選択していることがここからもわかる。
ノートオーラの価格帯、実は国産車の空白ゾーンだった!?
実のところ、輸入車のハッチバック・コンパクトカーが集中する300万円前後の価格帯で、対抗しうるプレミアム性の高い高級コンパクトカーというのが、国産車ではあまり存在していない。個性派のノートオーラ NISMOや、ノート AUTECH クロスオーバーなど、選択肢もさらに拡がっているノートシリーズ。その人気はこの先もまだまだ伸びそうな予感がする。
部品供給遅れに伴う生産調整などがひとまず落ち着きそうな来年2022年。今までにない動きを見せるノートシリーズの販売動向には、引き続き注目していきたいところだ。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダトオル/撮影:茂呂 幸正・島村 栄二・小林 岳夫・和田 清志・NISSAN]
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