トヨタ 新型ランクルプラド燃費レポート|怖いもの見たさ!?ディーゼルモデルの燃費を徹底検証!(1/3)

  • 筆者: 永田 恵一
  • カメラマン:永田恵一/和田清志

ランドクルーザープラド実燃費レポート|結果まとめ

起用グレード

今回の燃費テストでは、2017年9月にマイナーチェンジされた高級本格SUVであるトヨタ ランドクルーザープラドをテスト。グレードは3列シートを備えた7人乗りで2.8リッターディーゼルターボを搭載する最上級グレードのTZ-G(車両本体価格536万3280円、JC08モード燃費11.2km/L)を起用した。

燃費テスト概要

テストは2017年10月19日(木)の午前7時頃開始し、午後2時頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は終日雨で強く降ることもしばしばあり、最高気温は10月としては60年振りとなる12度と低く、12月半ばのような寒さだった。交通状況は平均的な流れであった。

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ランドクルーザープラドの実燃費は11.6km/L

マイナーチェンジされたランドクルーザープラドの2.8リッターディーゼルターボ搭載車の燃費テスト、結果は以下の通り。

トヨタ ランドクルーザープラド実燃費レポート|結果まとめ
トヨタ ランドクルーザープラド

グレード

TZ-G

パワートレイン

ディーゼルターボ

駆動方式

4WD

JC08モード燃費

11.2km/L

実燃費:平均

11.6km/L

実燃費:市街地

9.6km/L

実燃費:郊外路

11.9km/L

実燃費:高速道路

14.1km/L

テスト車で2350kgという巨体を考えれば良好な燃費で、ディーゼルエンジンの燃費の良さと、ランドクルーザープラドのような重量車との相性の良さが証明された。また、日本ではレギュラーガソリンに対し20円ほど安い軽油の価格も加味すると、ディーゼルエンジンを搭載するランドクルーザープラドの燃料コストは、比較対象として記載するトヨタ ハリアーなどの2リッターガソリンエンジンを搭載するミドルSUVに近く、車格に対する燃料コストは非常にリーズナブルと言える。

なお、現代のディーゼルエンジン搭載車には、黒煙の原因となるススを集めるDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)が備えられており、DPFにススが溜まると、熱くなったDPFに燃料を吹いて溜まったススを燃やして除去する「DPFの再生」が行われるが、今回テストを含め2日間で約400km走った限りではDPFの再生は行われなかった。

※DPFの再生は燃料を使うため走行状況による差はあるものの、DPFの再生があるといずれにせよ燃費は低下する。

ここからは市街地編、郊外路編、高速道路編、それぞれの章で燃費や走りの質について詳細な評価を行っているので、ランドクルーザープラドの購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

ランドクルーザープラド実燃費レポート|市街地・街乗り編

トヨタ ランドクルーザープラドの市街地での実燃費:9.6km/L

新型ランドクルーザープラドの、2.8リッターディーゼルターボ搭載車が市街地で記録した9.6km/Lという燃費は、アイドリングストップがなく(この点は問題ではあるが)、市街地のペースではATのシフトアップが4速までとなることや、重い車重を考えれば許容できる範囲といえるだろう。

トヨタ ランドクルーザープラド実燃費レポート|市街地・街乗り編
パワートレイン実燃費

トヨタ ランクルプラド

ディーゼルターボ/4W

11.6km/L

トヨタ ハリアー

ガソリンターボ/4WD

8.9km/L

トヨタ ハイラックス

ディーゼルターボ/4WD

12.6km/L

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燃費の向上の意味も含めアイドリングストップは欲しい

ランドクルーザープラドの2.8リッターディーゼルターボに市街地で乗った印象は、まずドライバビリティ(運転のしやすさ)は普通に乗っているとATのシフトアップは2000回転といったところで、特に気になる点もなくいい意味でごく普通であった。

ただ、排気量の大きいディーゼルエンジンを搭載するだけに、アイドリング中に車内で感じる振動・騒音はそれなりに大きく、燃費の向上の意味も含めアイドリングストップが欲しいのは事実だ。

アイドリングに関しては、車外だと「いかにもディーゼル」というカラカラ音も含んだ音がし、朝一発目などの冷間時の始動だとかなり大きな音がする。まあランドクルーザープラドのワイルドなキャラクターを考えれば、似合っているといえば似合っているという気もする。

その他、ランドクルーザープラドを街中で使って感じたことをいくつか挙げると、

・最低地上高が220mmもあるので、乗降性はいいとは言えないが、ステップとAピラーにグリップがあるためそれほど悪くなく許容できる範囲ではある。

・着座位置が高いので、運転席からの見通しは素晴らしく、渋滞でもイライラしにくい点は本格的なSUVらしい魅力だ。

・取り回しは、着座位置の高さや見切りの良さ、ドアミラーが大きさのよる視認性の良さに加え、タイヤの切れ角が意外に大きいこともあり、ボディサイズが大きい割には扱いやすい。

・3列シートへのアクセスは良くないが、ボディサイズが大きいのでまずまずの広さがあり、ミニバン的にも使える。必要性があるなら選ぶといいだろう。

・バックドアはガラス部分も開き、小さなスペースでも開けられる横開きとなっているため、使い勝手はなかなかいい。欲を言うと、テストに使ったTZ-Gグレードにはリアの車高調整が可能となるエアサスが装備されているので、荷物を積みやすくするためにも、ラゲッジスペースからの車高調整機能(スイッチ)もあったらなお良い。

・テスト日は10月としては非常に寒かったため、シートヒーターはかなり重宝したが、ランドクルーザープラドの性格を考えると、さらにハンドルヒーターも欲しいところだ。

ランドクルーザープラド実燃費レポート|郊外路編

トヨタ ランドクルーザープラドの郊外路での実燃費:11.9km/L

ランドクルーザープラドの2.8リッターディーゼルターボ搭載車は、郊外路でも期待以上の燃費を記録した。

トヨタ ランドクルーザープラド実燃費レポート|郊外路編
パワートレイン実燃費

トヨタ ランクルプラド

ディーゼルターボ/4WD

11.9km/L

トヨタ ハリアー

ガソリンターボ/4WD

12.1km/L

トヨタ ハイラックス

ディーゼルターボ/4WD

10.4km/L

車重2.3トンを超える巨体ながら、予想外に軽快かつハンドル操作に対する車の動きも正確

ランドクルーザープラドの2.8リッターディーゼルターボ搭載車は、乗り心地やハンドリングも高級SUVに相応しいものに仕上がっていた。

まず乗り心地は、路面の凹凸が中くらいまでであれば、「コトン、スパン」という上品な音を伴いながらショックを乗員に伝えることなく実に見事に吸収しており、非常に快適である。ただ、路面の大きな凹凸を通過する際には、若干リアがしなやかさに欠け、やや硬さを感じるのはちょっと残念だった。

これはテストに使ったTZ-Gグレードが19インチタイヤを履くことにも原因がありそうなので、TZ-Gグレードに採用される厳しいオフロード走行に役立つデバイスに強い必要性を感じないのであれば、乗り心地の良化の期待も含め価格と装備のバランスに優れたTZ Lパッケージを選ぶのがいいのではないだろうか。

ハンドリングは車重2.3トンを超える巨体ながら、予想外に軽快。ロールも意外に少なくジワジワと起きるため不安感もない。また、2.8リッターディーゼルターボが力強いトルクが頼もしいこともあり、ワインディングロードではなかなか運転を楽しめる。

ランドクルーザープラドは車重の重さ、全高の高さ、ボディの大きさという三重苦により前後左右の動きが大きいが、この点を逆手に取ってスムースな運転を心掛けるというのも面白い。ただ、ランドクルーザープラドは、ガソリンエンジン搭載車でも車重が2トンを超えるだけに無理は禁物だ。

また、テストに使ったTZ-Gグレードには、ドライブモードをコンフォート、エコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+の5つから選べるドライブモードセレクトが装備されており、コンフォートとエコモードを試してみた。

コンフォートは、ノーマルモードに対し若干乗り心地がしなやかになる傾向。エコモードは燃費向上のためエアコンが控えめになる、アクセル操作に対するレスポンスが適度に鈍くなり、運転しやすい感じもあるという変化を確認できた。

この結果を踏まえると、ドライブモードを切り替えられるTZ-Gを買ったなら、普段はエコモードかコンフォートを選んで乗ることを勧めたい。

ランドクルーザープラド実燃費レポート|高速道路編

トヨタ ランドクルーザープラドの高速道路での実燃費:14.1km/L

ランドクルーザープラド2.8リッターディーゼルターボは、高速道路で14.1km/Lという車格や、2.3トンを超える車重などを考えれば望外といえる燃費を記録した。また、ランドクルーザーは、燃料タンクが87リッターと巨大なこともあり、1回の給油で高速道路を1000kmは走れそうな航続距離性能を備えることも魅力といえるだろう。

トヨタ ランドクルーザープラド実燃費レポート|高速道路編
パワートレイン実燃費

トヨタ ランクルプラド

ディーゼルターボ/4WD

14.1km/L

トヨタ ハリアー

ガソリンターボ/4WD

15.5km/L

トヨタ ハイラックス

ディーゼルターボ/4WD

15.1km/L

クルーザーの船長になったような大らかな気分

ランドクルーザープラドの2.8リッターディーゼルターボ搭載車は、高速道路ではランドクルーザーという車名の由来(英語で陸の巡洋艦、プラドはポルトガル語で平原)に相応しい実に快適なクルージングを楽しむことができた。

まず動力性能は、2リッターガソリンエンジンを搭載するミドルSUVと同等といったところで、決して速くはないものの、高速道路などの本線合流や、追い越し加速でアクセルを深く踏んだ際もディーゼルエンジンらしい力強さを伴いながら十二分な瞬発力を備える。

エンジンのフィーリングは、アクセルを全開に踏むとATのDレンジ任せのシフトアップは4000回転を超えたあたりで行われるが、パワーがついてくるのは3500回転あたりまでで、エンジンの性格は商用車用ディーゼルエンジンそのものといった印象だ。

なお、Dレンジ任せだと6速ATの5速には時速70キロ、トップギアの6速には時速90キロ付近でシフトアップされ、6速で時速100キロ走行時のエンジン回転数は1500回転と低く抑えられていた。

ACCの加減速はまずまずスムースで快適

高速道路では、時速50キロ以上の速度域で作動する先行車追従型のACCも試してみた。ランドクルーザープラドのACCは、先行車への追従が間に合わないケースや先行車との車間距離を一番短くしてもやや広過ぎるところはあるが、加減速はまずまずスムースで快適であった。

なお、テスト当日はACCの作動停止を覚悟するくらいの強い雨も降ったのだが、ランドクルーザープラドのACCは停止することはなく作動していた。これはランドクルーザープラドがヘビーな使われ方をする車であるため、ACCの情報源となるミリ波レーダーも悪天候に強いものが使われているということなのだろうか。

その他の運転支援システムに関しては、レーンディパーチャーアラートは車線逸脱を警報するだけで、もとの車線に戻すアシストは装備されない。また、斜め後方を監視し進路変更の際などの事故を防ぐのに大きな効果を持つブラインドスポットモニターが設定されるのは大歓迎なのだが、オプション設定なので車格を考えると標準装備にして欲しかったところだ。

そして、ランドクルーザープラドに乗っていて最大の魅力と感じたのが、高速道路を流している際の快適性の高さだった。

強い横風の中でも重い車重を生かしたドッシリ感を味わいながら、高速道路のペースならエンジン音はほとんど聞こえず、強い雨の音も見事に遮音され、クラウンのように静かな室内。

SUVらしい遠くまで見渡せる高い視点からACCを使って、シートを通じてディーゼルエンジンの心地良い振動を感じながら高速道路を流していると、個人所有のクルーザーのキャプテン(船長)になったような大らかな気分で、どこまでも行けそうな気持ちになれた。この点はランドクルーザープラドが高級車という側面を持つのも考えると、大きな魅力の1つと断言できる。

ランドクルーザープラド実燃費レポート|総合評価

トヨタ ランドクルーザープラドの総合実燃費:11.6km/L

トヨタ ランドクルーザープラド実燃費レポート|総合平均
パワートレイン実燃費

トヨタ ランクルプラド

ディーゼルターボ/4WD

11.6km/L

トヨタ ハリアー

ガソリンターボ/4WD

11.7km/L

トヨタ ハイラックス

ディーゼルターボ/4WD

12.7km/L

道路環境の整っている日本において、ランドクルーザープラドのような車を必要とする人は非常に少ないのが現実だ。

しかし、必要不要と関係なく本格的なSUVに対しては、スポーツカーやスーパーカーと同じように、「一度乗ってみたい」という憧れのようなものを持っている人もそれなりにいるだろう。そんな気持ちでランドクルーザープラドに乗ってみたい人がいるなら、重量税やタイヤ代といった維持費はともかくとして、2.8リッターディーゼルターボであれば燃料代が常識的な範囲で済むのもあり、勇気を持って一度乗ってみることを勧めたい。

また、ランドクルーザーファミリーは、プラドも含め海外で大変人気がある車であるため、リセールバリューが非常に高く、長い目で収支決算すると意外に買い得な車でもある。しかし、ハイエースなどと並んで盗難されやすい車なので、盗難対策は入念に行いたい。

2.7リッターガソリンと2.8リッターディーゼルターボどっちがお得!?

最後に、ランドクルーザープラドの2.7リッターガソリンと2.8リッターディーゼルターボを比較し、長い目で見た損得勘定を考えてみよう。

まず、2.7リッターガソリンと2.8リッターディーゼルターボには、約62万円の価格差があるが、2.8リッターディーゼルターボにはエコカー減税と購入補助金と優遇が24万円ほどあるので、実質的な価格差は約38万円に縮まる。

続いて1万kmあたりのガソリン代を2.7リッターガソリン(実用燃費8km/L、レギュラーガソリン1リッター140円)、2.8リッターディーゼルターボ(実用燃費10km/L、軽油1リッター118円)で計算すると、2.8リッターディーゼルターボは2.7リッターガソリンに対し5万7000円安く済むことになり、7万km走れば約38万円の差額はペイできる計算になる。

そこまで走らなくともリセールバリューでディーゼルが有利なことや、ディーゼルにはトルクフルで力強い走りという魅力もあり、ランドクルーザープラドを買う際にはよほど走行距離が少ない人以外(そういう人は少ないかと思うが)、ディーゼルを選ぶべきだろう。

トヨタ ランドクルーザープラドの主要スペック
車種名トヨタ ランドクルーザープラド

グレード

TZ-G

駆動方式

4WD

トランスミッション

6AT

価格(税込)

5,363,280円

JC08モード燃費

11.2km/L

全長

4,825mm

全幅(車幅)

1,885mm

全高(車高)

1,835mm

ホイールベース

2,790mm

乗車定員

7人

車両重量(車重)

2,320kg

エンジン

直列4気筒ディーゼルターボ

排気量

2,754cc

エンジン最高出力

130kW(177PS)/3,400rpm

エンジン最大トルク

450N・m(45.9kgf・m)/1,600~2,400rpm

燃料

軽油

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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