スバル 新型インプレッサの2リッターと1.6リッターを“実燃費”比較!果たしてその差は!?(1/2)
- 筆者: 永田 恵一
新型インプレッサの安全性能は世界トップレベル
スバル インプレッサは、日本車ではトヨタ プリウスやマツダ アクセラ、輸入車ではVW ゴルフ、プジョー 308、ボルボ V40といった競合車がズラリと並ぶ、いわゆる大激戦区のCセグメントに属するミドルクラスのクルマである。
スバル インプレッサは1992年に初代モデルが登場して以来、長いティザーキャンペーンを経て昨年10月に発売された現行型で5代目となる。
以前は標準モデルとラリーやレースといったモータースポーツ参戦ベース車両であるWRXシリーズの2本立てであったが、3代目モデルの途中からWRXシリーズはインプレッサとは独立したモデルとなっている。
現行型のインプレッサはメインとなる5ドアハッチバックの“スポーツ”と4ドアセダンの“G4”が設定され、発売から現在まで好調な販売をキープしている。
現行インプレッサのコンセプトは“新時代のスバルの幕開け”。このコンセプトは、現行インプレッサから通常のエンジン車だけでなく、ハイブリッド化や電動化も想定して新規開発されたプラットフォームを採用していることを意味する(特に企業規模が小さく、水平対向エンジン+AWDという基本構造をコア技術とするスバルの場合は、基本的に1つのプラットフォームから少数精鋭のラインナップを構成しているだけに、十数年に一度となるプラットフォームの開発は失敗が出来ない)。
SGP(スバルグローバルプラットフォーム)と呼ばれる新プラットフォームの特徴は、SIシャーシと呼ばれた従来タイプに対して、ボディ剛性を(部位によって異なるが)1.7倍~2倍に高めながらも従来並の車重をキープした点にある。
加えて、ボディ剛性の向上は衝突安全性に対しても大きなプラス要素であり、現行インプレッサは日本でも実施されているオフセット衝突の条件をさらに厳しいものとし、アメリカにおいてここ5年ほどで保険機関によるテストが始まった“スモールオーバーラップ”と呼ばれる衝突パターンを日本仕様でも対応。
また、今後海外で始まるオブリーク(斜めの意味)という右左折のために交差点で止まっている自車に90km/hで走る2.5トンのSUVが突っ込んでくるという衝突パターン(斜めになっている自車は衝突エネルギーを吸収する面積が小さいため、スモールオーバーラップと同様に非常に厳しい)にも対応しており、世界トップレベルと断言できる衝突安全性を誇る。
インプレッサの衝突安全性に関しては、運転席、助手席、サイド&カーテン、ドライバーの下肢を守る運転席ニーエアバッグという7つのエアバッグを全グレードに標準装備としたのに加え、世界中に見てもまだ採用例が数えるほどしかない歩行者と接触した際の被害を大幅に軽減する歩行者保護エアバッグも全グレードに標準装備されている。
ちなみに、新型インプレッサの歩行者保護エアバッグは、歩行者保護エアバッグの装備を想定したSGPの採用により、作動の際のボンネットのポップアップのような機構が不要となるシンプルなシステムとなっているため、比較的コストが安いことも特筆したいポイントだ。
さらに、事故を起こさないための予防安全性能に関しても、ルームミラーの左右に搭載されているステレオカメラからの情報を基に停止まで対応するアダプティブクルーズコントロール、カメラやSGPという新しいプラットフォームの採用によるクルマ自体の性能向上により、車線中央をキープできるコーナーの曲率を高めたアクティブレーンキープ、夜間を含め歩行者も検知する上に車両に対しては50km/hからの停止が可能な世界トップレベルの自立自動ブレーキ性能を備え、スバルの基幹技術の1つとなっているアイサイトを全グレードに標準装備する。
さらに、複数車線の道路などで死角になりやすい斜め後方の監視などをするスバルリヤビークルディテクションや、ヘッドライトのハイビームの切り替えを自動で行うハイビームアシストから構成されるアドバンスセーフティパッケージも全グレードにオプション設定される。
アドバンスセーフティパッケージまで装着すればミドルクラスのクルマでありながら(総合的に見れば)世界トップクラスの安全性能が手に入るのは、現行インプレッサの強烈な魅力であり武器である。その安全性能の高さも大きな決め手となり、現行インプレッサは現行プリウスとの接戦の末、2016-2017日本・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
エンジン、トランスミッションといったパワートレーンに関しては、エンジンはFB型という名前こそ今まで通りながら、軽量化などの大改良を受けた1.6リッター(最高出力115馬力&最大トルク15.1kgm)と、2リッター(最高出力154馬力&最大トルク20.0kg・m)の水平対向4気筒エンジンを搭載。特に2リッターの燃料噴射は、パワーと燃費の向上に貢献する直噴へと変更されている。
MTの設定はなくなり、CVTのみの設定となるトランスミッションも軽量化や全体的なギア比の幅を大幅に拡大するといった大改良を受けている。
さらにアイドリングストップも全グレードに標準装備され、結果としてカタログに載るJC08モード燃費は最良値となるFF車で1.6リッターが18.2km/L、2リッターが17.0km/Lを誇る。※現行インプレッサは全グレードにAWDとFFが設定される。
グレード構成は、5ドアハッチバックのスポーツと4ドアセダンのG4ともに、1.6リッターが“1.6i-Lアイサイト”、2リッターが“2.0i-Lアイサイト”と18インチタイヤを履きスポーツ性を高めた“2.0i-Sアイサイト”の3グレード。
今回の燃費テストでは、2リッターと1.6リッターの2車種をテスト
今回の燃費テストでは、初期受注で80%近くを占めて販売の中心となっている2リッターと、1.6リッターのそれぞれを異なる日程であるが走らせた。
2リッターはスポーツの2.0i-SアイサイトAWD(JC08モード燃費15.8km/L/車両本体価格259万2,000円)を起用し、1月5日(木)の午前7時に開始し午後3時頃帰京するというスケジュールで実施。天候は終日晴天、最高気温10度、平均的な交通の流れであった。2リッターはSIドライブで走行モードをS(スポーツ)とI(インテリジェント)の2つから選べるが、標準モードに相当するIを選択しテストした。
1.6リッターも、スポーツの1.6i-LアイサイトAWD(JC08モード燃費17.0km/L/車両本体価格213万8,400円)を起用し、1月30日(月)の11時半に開始し18時頃帰京するというスケジュールで実施。天候は終日晴天、最高気温は季節外れの暖かさとなる20度まで上がり、交通の流れは2リッターをテストとした日と同等の平均的なレベルであった。
なお、1.6リッターはテスト車がスタッドレスタイヤを履いていたため、数値は参考値と思って欲しい。
スバル 新型インプレッサ 2リッター・1.6リッター 実燃費比較/高速道路編
高速道路編では2リッターと1.6リッター、それぞれのインプレッサの動力性能についてお伝えしたい。
まず2リッターは、低回転域から高回転域まで全域でトルクフルかつ非常に扱いやすい性格で、目覚ましい速さこそないものの標準的なミドルクラスとして考えれば十二分に満足できる動力性能を持ち合わせている。加えてエンジン音も太く力強い音色で、官能的な部分や気持ち良さもそれなりに備えている点も評価できる。
音といえば、アクセルを全開にするとレッドゾーン近くでCVTの作動音が少し耳につくが、それも先代モデルに比べれば劇的に抑えられており、許容範囲にとどまっている(CVTはアクセルを深く踏むと、全グレードに標準装備されるパドルを触らなくても有段ATのようなステップ変速が行われる)。
ただし、後述するが「しっかりしたシャーシ性能を持つクルマほど、動力性能が欲しくなる」というケースがよくあるように、インプレッサはまさにそういったタイプで、ベースが良いだけに「もっとパワーがあっても良いのでは」と感じるのも事実である。今後、モアパワーを求めるユーザー向けにターボよりもコスト的に有利な2.5リッターNAの設定などがあってもいいのかもしれない。
なお、2リッターの100km/h走行時のエンジン回転数は1,600回転と、非常に低く抑えられている。
一方、1.6リッターは2リッターと(テスト車同士では)車重が40kgしか変わらないこともあり、排気量が小さい分軽いというメリットは薄いため、絶対的な動力性能は2リッターより400cc排気量が小さいなりで、1.5リッターから1.6リッターエンジンを積むこのクラス相応といったところだ。
1.6リッターも動力性能自体に大きな不満を覚えることはないが、やはり高速道路の上り坂や本線合流、追い越し加速といった瞬発力を求められる場面ではアクセル全開を強いられることもしばしばあり、予算など金銭的な事情が許すのであれば基本的には2リッターを勧めたい。
1.6リッターの100km/h走行時のエンジン回転数は2,000回転と、絶対的なパワーが少ないのをトランスミッションで補っている分なのか2リッターより高い回転数となる。
ただし、1.6リッターは2リッターに対して当然ながらエンジン音や加速に迫力こそないものの、高回転まで回してもエンジン音は2リッターよりも小さく、高速道路でアイサイトに運転を任せる走行シーン(基本的にペダル操作はインプレッサに任せる、そういった走行シーンであればドライバーがアクセル操作をすることは少ないという意味)であれば、高回転によるエンジン音やアクセルを深く踏むなどドライバーが感じるストレスは皆無に近くなることは救いである。
そして1.6リッター/2リッターともに共通だが、定評あるアイサイトは各部の性能向上により高速道路での加減速は今まで以上に運転が上手なドライバーのように丁寧でスムースとなったことに加え、アクティブレーンキープも高速道路上のカーブに対応してくれるケースがかなり増えており、名前はアイサイト ver.3のままだが、名称を“ver3.5”として欲しいほどの進化を遂げている。以前からそうであったが、アイサイトが現行インプレッサを選ぶ1つの決め手になるのは間違いないだろう。
ちなみに、現行インプレッサのアイサイトでは、全車速追従機能付クルーズコントロールに“ダイナミック”“スタンダード”“コンフォート”“エコ”と4段階から選べる機能が加わっている。さっそく試したところ“ダイナミック”では追従が激し過ぎで、“エコ”は逆に追従に遅れを感じることが多く、中間の“スタンダード”か“コンフォート”を選ぶのが無難であった。
高速道路での燃費は、1.6リッターと2リッターに車重の差があまり無いことと、1.6リッターは巡航中のエンジン回転数が2リッターに対して高かったために、同等かもしくは2リッターの方が燃費は良い可能性もあるのではと予想していた。
だが、意外にも2リッターが“17.4km/L”1.6リッターが“18.4km/L”と、1.6リッターが2リッターに対して優勢な結果となった。
燃費そのものはミドルクラスとして標準的ではあるが、2リッターと1.6リッターの燃費の差の要因としては、2リッターのテスト車が転がり抵抗の大きい18インチタイヤを履いていた点や、1.6リッターをテストした日は風が追い風となっていたことも燃費に有利に働いたと考えられ、天候や2リッターのグレードが転がり抵抗も考慮した17インチタイヤを履く2.0i-Lアイサイトであれば違った結果になったことも考えられる。
またミドルクラスのNAエンジン搭載車というのは、ハイブリッドやダウンサイジングターボが増えている象徴なのか過去データが殆ど無いのだが、今回はその中でも見つかった現行アクセラの初期モデル 1.5リッターNA(FF+6速AT/2014年1月にテスト/当時のJC08モード燃費は19.6km/Lで現在は20.6km/L)のデータを競合車との参考として記載したい。
【高速道路における実燃費】
スバル インプレッサスポーツ 2.0i-Sアイサイト AWD/17.4km/L
スバル インプレッサスポーツ 1.6i-Lアイサイト AWD/18.4km/L
マツダ アクセラセダン 15S/19.0km/L
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