日産 新型セレナで1200kmの実燃費テスト!“辛口評価”にならざるを得ないその理由とは(1/2)

日産 新型セレナで1200kmの実燃費テスト!“辛口評価”にならざるを得ないその理由とは
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日産 セレナで1200kmの燃費テストを敢行!

日産のミニバンの代名詞であり、2017年1月の登録車販売ランキング2位(因みに1位はノート)を獲得。1984年9月の「サニー」「ブルーバード」以来、32年ぶりに登録車販売ランキングワンツーの立役者、セレナを1200kmあまりテストしたのでそのレポートをお届けしよう。

テスト車はセレナGグレード。期間は1月19日から2月3日までの15日間。市街地や高速道路、一部ワインディングロードを含め1200kmほどを走行したが、今回はクルマの性格を考慮し、コーナーを攻めるようなことはしなかった。燃費は車載計を使用して計測した。

タイヤはブリヂストンエコピアEP150で195/65R15を履いていた。

日産 セレナの第一印象「良くも悪くも“セレナらしさ”が満載」

日産自動車グローバル本社の地下駐車場でテスト車に乗り込んだ時、その視界の良さに驚かされた。C25(先々代)ほどサイドのシュプールラインの効果は感じられないものの、十分に前方、左右の広々感と見晴らしの良さが感じられた。これはセレナ伝統の美点であり、新型の5代目でも引き継がれている。

一方で、地下駐車場からそろそろと地上へスロープを上って行くとき、若干非力さを感じた。

そこで、少しスペックのおさらいをしておくと、搭載されるエンジンは2リッター4気筒DOHCエンジンで、最高出力150ps/6000rpm、最大トルクは200Nm/4,400rpm。それに2.6ps、48Nmのモーターが追加される。ライバルのノア・ヴォクシーのガソリンエンジンは、152ps/6,100rpm、193Nm/3,800rpmであり、セレナはモーターを追加するといずれも上回ることになる。

しかし、最大トルクの発生回転数がノア・ヴォクシーより上回っていることから、高回転を好むエンジンであることが想像される。これが、後々走行フィーリングに影響してくることを覚えておいてほしい。

一般道に出るためにステアリングを回すと、非常に軽く、あまり路面のインフォメーションを伝えてこない印象を得た。また、思った以上にステアリングを切らなければならず、この辺りも先々代あたりとあまり変わらないようだ。

つまり、走り始めの印象は「良くも悪くも」これまでのセレナとあまり変わらないものだった。

日産 セレナ  市街地燃費テスト/視界の良さは魅力だが、クルマそのものの基本性能は・・・

日産 セレナ 市街地における実燃費:11.3km/L

走行距離:902.6km

のんびりと流れに乗って街中を走っていると、冒頭に書いた視界の良さがますますありがたく感じる。

メーターナセルが先代よりも低くなったことによる前方の視界はもちろんのこと、特に右左折時にはAピラーとA’ピラーの間にある大型の三角窓によって死角が減少しているのは、開発陣の良心を感じさせるものだ(デザインはこれをまとめるのは大変だったろう)。

もうひとつちょっとうれしかったのがサンバイザーの工夫だ。サンバイザーを下ろすと直前の信号が見えないなどの不便さを感じたことはないだろうか。それを解消する目的として、セレナではサンバイザーの下半分程度を網目状にすることで信号を見えるようにしているのだ。

もちろん日差しはうまい具合にカットしてくれており、とても有効であった。

その一方、走りの方はあまり褒められたものではなかった。

最初に気になったのは、荒れた路面を走行した際に、そのざらつきがステアリング、シート、フロアの全てから乗員に伝わってくることだった。

更に、ロードノイズもかなり侵入してくる。鏡のようなきれいな路面でもない限り、常に何らかの微振動を感じてしまい不快であった。この最大の要因はボディ全体、特にフロア周りの剛性の低さが要因と思われる。

また、CVTの制御も今一つで、以前よりCVTの悪癖といわれていた、エンジン回転が上がって、しばらくして速度が追い付いてくるという特徴が新型セレナでも顕著に見られ、エンジンがうなりを上げて、そのままの状態でしばらくすると望む速度に達するという一昔前のCVTの様相を呈していた。

さらに、エンジン特性とCVT制御がうまくいっていないのか、アクセル開度とパワーの出方が不自然に感じることが多くあった。

具体的には、スタート時に一瞬の加速後、前車に追い付いて、一瞬アクセルを戻し、その後、踏みなおすと回転が上がらずトルクが出なくて加速がもたつき、更に踏み込むと一気にパワーが出て来るというものだ。

上り坂での発進時も同様の傾向で、エンジン特性が高回転側に振られていることも要因のひとつだと思われる。

もうひとつCVTで気になることは、エンジンブレーキが弱いことだ。一定速度で走っていて、前車に追い付いたとき、エンジンブレーキが予想以上にかからずに、ブレーキペダルを必要以上に踏む場面が多かった。

このブレーキペダルを踏む行為に関して、セレナの最も気に入らないポイントが露呈した。

それは、ドライビングポジションをきちんと合わせるとステアリングコラムに膝があたるのだ。それを嫌い、チルトステアリングを上にあげると今度はメーターが見えず、シートを下げるとペダルが遠くなるというジレンマに陥ってしまった。因みにテスターは身長165cmで、若干高めのポジションを好んでいる。どういう理由でこうなったのか全く不明だが、早急に改善してもらいたい。

更に気になった点を書き加えると、AUTO HOLDというとても便利な機能がセレナには装着されている。これは信号などで停車した時に、ブレーキを離してもそのままホールドされる機能で、ブレーキペダルを離してもアイドルストップは有効に作動する。プレミアム輸入車系に多く装備されている機能だが、これの反応がまちまちなのだ。

ONにした状態で信号に止まり、ワンテンポ待ってブレーキペダルを離すと、まだ反応しておらず、アイドルストップが解除され、クルマが動き出すことが度々あった。もちろんメーター上に作動時には緑に点灯するサインが出るので都度確認をすればいいのだが、毎回それを確認するほどマメではないし、その作動タイミングも毎回違うので、あれ?と思ったり、驚いたりすることが多く、せっかく便利な機能なのにイラっとさせられた。

この掛かり方も微妙に違うようで、アクセルを踏んで解除させるときに、一瞬発進をためらい、ゴンという音とともに解除されたかと思えば、次は、ほとんど抵抗もなくスムーズに発進できることもあり、作動そのものにむらがあるようだ。また、アクセルペダルの角度が悪く、足首に負担がかかり疲れやすかったことも付け加えておこう。

かなり多くの苦言を呈したが、街中ではストップアンドゴーが多く、どうしても細かい点まで気になってしまう。そういったところにも目を向けて開発をしてほしいと感じた。

最後になったが、燃費は11.3km/Lを記録。1.7トン近いボディを2リッター150psのエンジンが走らせるのだから、この辺りが妥当だろう。

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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