1000km試乗の末に見えた!マツダの“良心”と唯一の“弱点”/アテンザ 実燃費レポート(2/2)

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:島村栄二/内田俊一
1000km試乗の末に見えた!マツダの“良心”と唯一の“弱点”/アテンザ 実燃費レポート
マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) マツダ アテンザ(改良モデル) 画像ギャラリーはこちら

マツダ アテンザ 高速道路燃費テスト/かなり改善したがもう一歩の直進安定性

マツダ アテンザ(改良モデル)

マツダ アテンザ 高速道路における実燃費:16.1km/L

走行距離:258.6km

街中では非常に魅力的な部分が多く感じられたが、高速に出てみると気になる点が出てきた。

それは、冒頭に書いた1点で“フロア剛性が足りない”ということだ。実は2012年の際にも気になったことで、その後の改良でだいぶ良くなったのだが、それでも根本的な解決には至っておらず、段差を乗り越えた時など僅かにフロアパネルが震えてしまうことが確認された。

もちろん安全性に影響はないものの、これは直進安定性に大きく影響する部分なので、300kmほどを一気に走ると、その差は如実に感じられてしまう。

フロア剛性が高く、直進安定性の高いクルマであればそれほど修正舵はいらず、リラックスしてステアリングに手を添えているだけで事足りるのだが、アテンザの場合は改良前ほどではないものの、無意識のうちに修正舵をあてておりそれが疲労につながってしまった。

もちろんマツダとしても、その点は気づいているようで、2014年の商品改良でフロア剛性アップ。そして今回Gベクタリングコントロール搭載で、かなり良いところまでは近付いているので、次のアテンザは相当レベルが上がっているとみていいだろう。

マツダ アテンザ(改良モデル)

今回の改良では、静粛性向上が行われていることはすでに記載した。

高速道路で100km/hのエンジン回転はおよそ1,750rpm。そこで一番気になるのは風切り音だったと書けば、どれほどエンジン音やロードノイズが静かだったかが想像できるだろう。この風切り音も、実は新型CX-5でかなり研究が重ねられているようで、次期型アテンザに大幅に反映されることは間違いない。

それ以外は、若干ダンピング不足は感じられるものの総じて快適で、特に今回のテスト車に装備されていたクロスシートはなかなかの出来。実は高速で移動しようという予定を変更し、ついつい浜松から都内まで一般道で走ってしまったほどだ。これは、的確なタイヤサイズのチョイスはもちろん、エンジントルクの出方やGベクタリングコントロールのおかげでもあり、今回の改良が的を射たものであることがよく分かった。

また、マツダが長年研究開発を続けてきたステアリングとシート、そしてペダル類の相対位置も的確なもので、良いシートと相まって、翌日まで疲れが残るようなことはなかった。 高速の燃費は16.1km/lと、BMW320dとほぼ同じくらいであることから、十分燃費の実力は高いといえる。

マツダ アテンザ ワインディング燃費テスト/意外にも軽快で楽しい

マツダ アテンザ(改良モデル)

マツダ アテンザ ワインディングにおける実燃費:5.0km/L

走行距離:9km

僅かではあったが、ワインディングを勢いよく走らせてみた。もちろんそういったクルマではないのは承知の上だが、これが非常に軽快で楽しかった。再三述べたDE精密過給制御とGベクタリングコントロールのおかげだ。

L Packageよりサイズダウンしたタイヤの影響もあり、乗り心地は上々なうえ、決してパワーに負けておらず、軽いアンダーステアのまま次々とコーナーを抜けてくれ、これが大柄のボディを纏っているかと疑うほどだった。

 流石にハイペースで走らせたので、燃費は5km/Lと悪化したが、これは最も悪い数値ととらえて頂きたい。

アテンザの長距離試乗で見えたのは・・・マツダの“良心”

マツダ アテンザ(改良モデル)
マツダ アテンザ(改良モデル)マツダ アテンザ(改良モデル)

さて、1000kmほど様々なシーンで走らせると、いろいろ見えてくるものがある。例えば、白色のメーターは、昼間はもちろん夜間でも非常に視認性は高く、しかも、目が疲れない優れたものであった。

一方で気になったのは、ステアリングINFOスイッチと呼ばれるものだ。

右側にACC関係、左はオーディオやメーター内のインフォメーションスイッチと分けられているが、複数の機能を持たせ、シーソースイッチとともにそのスイッチを押し込むことで別の操作ができるなど、一見便利かと思われた。

だが、最後まで少々煩雑な印象はぬぐえなかった。

マツダ アテンザ(改良モデル)

また、これは日本車全般に言えることなのだが、オートライトの感度が鈍すぎる。

近頃はメーター照明が明るく、常に点灯しているものがほとんどなので、オートライトの場合、自車のライトがいつ点灯したか、なかなか気づかないものだ。アテンザの場合も周りのクルマがヘッドライトを点灯し始めても、まだ点いていないことが多く、手動で点灯させることもしばしばだった。

アテンザを1000km乗ってみて最も感じたことは、マツダの“良心”だった。

どのシートに座っても快適さが損なわれず、ドライバーはドライビングに集中も出来るのはこのクルマの大きな個性で、今回の改良は全ての点において、よりアテンザの魅力を高めていることは間違いない。

更にデザイン面ではほとんど手が加えられていないことも魅力だ。このデザインは秀逸でこれ以上おかしな手を加えてしまうと今の完成度が一気に崩れかねないし、2014年以降のユーザーはほっと胸をなでおろしていることだろう。そういうところからもマツダの良心が感じられるのだ。

マツダ アテンザ(改良モデル)

最後に絶対に直してほしい箇所を報告して終わりとしたい。

それは、ドアハンドルを引いてドアを開けた時の“音”だ。ドアの中がスカスカで薄い鉄板を使っているような、パカーンという、なんとも悲しくなるような音。たったこれだけで、とても質感が低く感じてしまうのだ。マツダ車はどれに乗っても同じなので、これに関しては全く関知していない様子だ。

しかし、クルマに乗るたびに感じてしまうこの音だけは、本当に直してほしい。せっかく良いデザインを纏い、良い走りをし、快適性を向上させても、たったこの音だけでショッピングリストから落とされかねないのだから。

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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

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