MG・ローバー・サーブにフォード・・・日本で消えたあのブランドに中国で再会【上海ショー2017】
- 筆者: 加藤 久美子
- カメラマン:Hiroto.Kato
2005年に日本市場から撤退したMGローバー
2000年にBMWがローバーを買収、同年にMGローバー日本が設立されたものの、2005年のMGローバーが破たんしたことでブランドは消滅。日本市場からも完全撤退してしまった。
あれから10数年。日本の道路を走るMG車を見ることも少なくなってしまったが、どっこい! 現在、中国上海汽車の傘下に入っているMG。上海モーターショーではMGエンブレムをつけた新型車を多数出展していた。
中でも目玉となるのがこちらの「MG E-モーション」で、カッコいい白人モデルとともに派手なプロモーションイベントを展開していた。スポーツカーらしい美しいラインに、ガルウィングドア。LEDヘッドライトや大径ホイールなどなど。全体のシルエットは、マツダのRXビジョンに似ているともっぱらの評判?だが、ヘッドライトまわりは2012年公開のコンセプトカー「MGアイコン」、市販モデルの「MG ZS SUV」と同様のスタイリングテーマを感じさせる。
加速もなかなかのもので、オール・エレクトリック・パワートレインでも0-100km/hは4.0秒未満、航続可能距離が約500kmと、スタイルも性能も(マツダ似だけど)エクステリアのデザインも超魅力的である。
SAABは、「紳宝」となり、フルモデルチェンジしたメイン車種「D50」を発表
北欧の名車SAABは日本でもバブル期をピークに、ボルボと並んで高い人気を誇っていた時代があった。が、2008年のリーマンショックで親会社GM本体の経営が悪化、影響を受けたサーブオートモービル社も2009年に会社更生手続きの道を歩むことになった。その後、オランダのスパイカー・カーズへの売却を経て、2012年にはナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン社(NEVS)」がサーブオートモービルを買収。NEVS社はサーブ9-3をベースとした電気自動車(EV)を生産する予定だが、この車にはサーブの名称は使わないことを2016年に発表。2017年以降SAABの名前を冠した車は完全に消滅してしまったことになる。
しかし! 実は中国にはまだ「紳宝」(サーブの中国名)の名前を冠した車が存在していた。
中国北京汽車工業(BAIC)のブースに「全新一代」(フルモデルチェンジの意味)となった「紳宝D50」が華々しく展示されていたのだ。
BAICは2009年12月に当時GM傘下にあったサーブオートモビル社を買収(一部)、サーブ9-5に関わる各種技術や生産設備などを取得し、それらをもとに開発されたのが紳宝D50である。
CMキャラクターにハリウッドの超大物俳優ニコラス・ケイジを起用したことも!
しかもこのD50。イメージキャラクターとして先代モデルではハリウッドの超大物俳優ニコラス・ケイジを起用するゴージャスぶり!
会場でBAIC社の方に話を聞いてみると、フルモデルチェンジした紳宝D50はサーブ9-5のプラットフォームが使われているとのこと。顔付はもちろん違うし、グリルにグリフィンエンブレムはないけれど、なんとなくボディ全体に9‐5のシルエットを感じられなくもない・・・。
ちなみに新型「紳宝(SAAB)D50」は、新型LEDライトを後部に採用。センターコンソールは新設計されエアコン、マルチメディアのコントロールや速度計、燃料消費量、走行距離、ギヤおよび他の情報を表示することができる大型液晶インストルメントパネルを採用。エンジンは1.5リッター /1.5ターボの2種で、それぞれ113馬力、150馬力を発生。5速MTとCVTの設定がある。
突然の日本撤退とは対照的に・・・中国ではとても元気なフォードブース
突然の日本市場撤退発表。この衝撃的なニュースが発表されたのは2016年1月のことだった。日本で生産していた1925年から90年以上続いた日本におけるフォード車の歴史にピリオドが打たれたのだ。実際、近年のフォード車販売台数は5000台以下で推移。この数字は世界市場のわずか0.1%に過ぎないわけでこれなら撤退もやむなしであろう。
というわけで北米販売の比重が高かったフォードも中国に本腰を入れ始め、上海モーターショーの会場には、世界で最も売れているピックアップトラックFシリーズ(F150)から、最新のマスタング、フォーカス、C-MAX ENERGI(電気自動車)、 エベレスト(エクスプローラーよりも巨大なSUV)、トルネオ(トランジットより大型のバン)、トーラス、エッジ、エクスプローラーと、中国市場で今や絶大な人気の大型SUVを中心に数多くの車種を出展。
高級車路線としてはリンカーン専用のブースもゴールドを基調としたゴージャスなブースを展開していた。
[レポート:加藤久美子/Photo:Hiroto.Kato]