メルセデスの“頂点”に君臨するに相応しい「メルセデス・ベンツ Sクラスカブリオレ」海外試乗レポート(1/2)
- 筆者: 清水 和夫
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
Sクラスを超える“高級車”は日本にも以前から存在していた
実は、日本にはSクラスをも凌駕する高級車が存在する。
それは天皇陛下がお乗りになる「御料車」だ。設計開発は長らく日産の担当で、サスペンションひとつ取ってみても最高の技術を用いて、とことんこだわって設計してきたのだが、10年ほど前のフルモデルチェンジを機に日産は撤退してしまった。
儲からない――カルロス・ゴーンのこの一言が決定打だったという。
ぽろりと棚から落ちた牡丹餅を手にしたトヨタは1台10億円以上とも言われる巨費を投じて「ロイヤルセンチュリー」を開発した。
「マイバッハ」は何故“東京モーターショー”で復活したのか
メルセデスも、そんな御料車と決して無関係ではない。
メルセデスのもとで復活を遂げた「マイバッハ」は、1997年の東京モーターショーがワールドプレミアだった。メルセデスの伝統的で意欲的な高級車のワールドプレミアが、なぜ“東京”だったのか。それは日本に「皇室」があったからだと言われている。
ドイツ政府の依頼で御料車の色見本が皇室から送られた記録も残っているというから、少なくともメルセデスが日本における天皇の存在の意義を理解していたことは間違いないだろう。
Sカブリオレこそメルセデスの頂点に君臨するに相応しい
そんなメルセデスブランドから送り出されるSクラスのカブリオレ。
多くの高級カブリオレがそうであるように、Sクラスも「ソフトトップ」にこだわっている。キャビンの開口部が2シーターよりも大きいので、ハードトップはそもそも技術的に困難だが、ソフトトップの方が見た目にも優美だ。
性能はSクラス譲り、なんの不足もない。Sカブリオレこそ、最高に贅沢なメルセデスの頂点に君臨するドライバーズカーではないだろうか。
しかも、このソフトトップは異なる素材を組み合わせた三層構造で、振動や騒音を上手に吸収し、残響音も少ない。ハードトップよりもむしろ快適かもしれないと思えるほどの静粛性を誇っているのだ。
ルーフは時速60キロ以下なら、20秒もかからずにドロップできる。オープンカーって、こんなに爽快なのかと感動する。
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