メルセデスの“頂点”に君臨するに相応しい「メルセデス・ベンツ Sクラスカブリオレ」海外試乗レポート(1/2)

  • 筆者: 清水 和夫
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
メルセデスの“頂点”に君臨するに相応しい「メルセデス・ベンツ Sクラスカブリオレ」海外試乗レポート
Mercedes-AMG S63 AMG Cabriolet Mercedes-AMG S63 AMG Cabriolet Mercedes-AMG S63 AMG Cabriolet Mercedes-AMG S63 AMG Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet 画像ギャラリーはこちら

“高級車”が多様化するなかで出会った「Sクラス カブリオレ」

Mercedes-AMG S63 4MATIC Cabriolet

日本中が「いつかは ――」と同じ夢を見ていた時代もあったが、いまや高級車もずいぶんと多様になった。

何をもって“高級”と定義されるのか。値段か、スピードか、性能か。はたまた装飾品で飾られた豪華さなのか。私にはどれもしっくりとこない。

しかし、先だって遂に「これならどうだ!」と胸を張って紹介できる高級車に出合うことができた。「メルセデス・ベンツ Sクラス カブリオレ」だ。

その国際試乗会の模様をレポートする前に、高級車にまつわる興味深いエピソードをいくつかご紹介しよう。

Sクラスを超える“高級車”は日本にも以前から存在していた

実は、日本にはSクラスをも凌駕する高級車が存在する

それは天皇陛下がお乗りになる「御料車」だ。設計開発は長らく日産の担当で、サスペンションひとつ取ってみても最高の技術を用いて、とことんこだわって設計してきたのだが、10年ほど前のフルモデルチェンジを機に日産は撤退してしまった。

儲からない――カルロス・ゴーンのこの一言が決定打だったという。

ぽろりと棚から落ちた牡丹餅を手にしたトヨタは1台10億円以上とも言われる巨費を投じて「ロイヤルセンチュリー」を開発した。

「マイバッハ」は何故“東京モーターショー”で復活したのか

メルセデスも、そんな御料車と決して無関係ではない。

メルセデスのもとで復活を遂げた「マイバッハ」は、1997年の東京モーターショーがワールドプレミアだった。メルセデスの伝統的で意欲的な高級車のワールドプレミアが、なぜ“東京”だったのか。それは日本に「皇室」があったからだと言われている。

ドイツ政府の依頼で御料車の色見本が皇室から送られた記録も残っているというから、少なくともメルセデスが日本における天皇の存在の意義を理解していたことは間違いないだろう。

メルセデスブランド発祥の地「ニース」

Mercedes-AMG S63 AMG Cabriolet

今回紹介するSクラス・カブリオレの国際試乗会は、ときおり冷たい風が吹き下ろす南フランスのリゾート地・ニースで開催された。

このニースこそ、メルセデスブランド発祥の地である。話は110年以上前にさかのぼる。オーストリアの富豪イェリネックはニースで開催されるレースに出るために、ダイムラー社に特製マシンを依頼した。

当時としては画期的だったこのマシンを、イェリネックは気に入り、愛娘の名前をつけて「メルセデス号」と呼んだ。後にこの名は市販車にも使われるようになる。メルセデスブランドに刻まれた「軽く美しく速い」というDNAには、メルセデス嬢の個性が息づいているのだ。

Sカブリオレこそメルセデスの頂点に君臨するに相応しい

Mercedes-Benz S500 CabrioletMercedes-Benz S500 Cabriolet

そんなメルセデスブランドから送り出されるSクラスのカブリオレ。

多くの高級カブリオレがそうであるように、Sクラスも「ソフトトップ」にこだわっている。キャビンの開口部が2シーターよりも大きいので、ハードトップはそもそも技術的に困難だが、ソフトトップの方が見た目にも優美だ。

性能はSクラス譲り、なんの不足もない。Sカブリオレこそ、最高に贅沢なメルセデスの頂点に君臨するドライバーズカーではないだろうか。

しかも、このソフトトップは異なる素材を組み合わせた三層構造で、振動や騒音を上手に吸収し、残響音も少ない。ハードトップよりもむしろ快適かもしれないと思えるほどの静粛性を誇っているのだ。

ルーフは時速60キロ以下なら、20秒もかからずにドロップできる。オープンカーって、こんなに爽快なのかと感動する。

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清水 和夫
筆者清水 和夫

1954年生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。近年注目の集まる次世代自動車には独自の視点を展開し自動車国際産業論に精通する。一方、スポーツカーや安全運転のインストラクター業もこなす異色な活動を行っている。記事一覧を見る

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