メルセデス・ベンツ Sクラス 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
メルセデス・ベンツ Sクラスは、常に世界中の自動車のベンチマークとなる
新型Sクラスのワールドプレミアが最大の話題になったフランクフルトショーを取材した後、われわれはそのSクラスに試乗するためにフランクフルトからイタリアのミラノに移動した。ミラノのマルペンサ空港の近くにあるホテルで軽い食事をとった後、新型Sクラスの操作系や特徴についての簡単なレクチャーを受け、ミラノからスイスの観光地サンモリッツまでの試乗を試すことになった。
イタリアからスイスまでアルプスのトンネルを抜けるなどして高速道路から市街地、ワインディングまでさまざまなシチュエーションの用意された270kmほどの試乗コースが用意されていた。途中ベンリゾナのぶどう園で休憩をとってクルマを交換したりしながらのドライブだったが、半日で270kmを走るのはかなりの強行軍だったが、こうしたロングドライブこそSクラスが本領を発揮するシーンである。
Sクラスのルーツは1954年のメルセデス・ベンツ220にまで遡る。これを初代モデルとして1959年と1965年に縦目のモデルが販売され、さらに1972年、1979年とモデルを重ね、この79年のモデルでは560SELが注目を集めた。モデル名の最初にSが付くようになったのは1991年の6代目モデルからで、この世代ではS600がラインナップされた。さらに1998年からのSクラスを経て、今回の8代目モデルにつながっている。
Sクラスの属するラグジュアリーカーのジャンルでは、最近はBMW7シリーズ、アウディA8、ジャガーXJ、キャディラックSTSなどのモデルが販売を競っている。ドイツ本国でも7シリーズやA8は有力なライバルになっている。ただ、それでもこのクラスで最も良く売れているのはSクラスであり、ダイムラー・クライスラーもメルセデス・ベンツブランドのフラッグシップカーとして大いに力を入れて開発している。
過去のモデルがそうだったように、重要な自動車技術はSクラスから最初に採用が始まっており、今回のモデルも予防安全装備などにおいて革新的な自動車技術が盛り込まれている。改めて世界中の自動車のベンチマークとなり、自動車技術をリードしていくのがメルセデス・ベンツSクラスなのだ。それだけに新型Sクラスに日本人ジャーナリストとして最初に乗る機会を得たことは大いに胸が膨らむこと。長距離の試乗をじっくり楽しみたいと思った。
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