マツダ MPV 23T 試乗レポート
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:原田淳
ターボ搭載は、スポーツカーの発想
マツダのMPVは今年2月にフルモデルチェンジを受けたが、その時点で発売されたのは自然吸気エンジンの搭載車のみ。ターボ仕様のエンジンを搭載したモデルは、1ヶ月遅れの3月になって登場した。
ターボについておさらいすると、エンジンの排気のエネルギーを利用してタービンを回し、タービンの力で強制的に大量の空気をエンジン内に送り込む仕組み。増やした空気の量に応じて多くの燃料を燃やすことができ、動力性能が向上する。エンジンの排気量を変えずに排気量を変えたのと同じ効果を持たせる仕組みと考えたらいい。
排気エネルギーを利用する点で、経済的な側面がないでもないが、一般的にはスポーツカーなどに適した機構といえた。このためファミリーカーの典型であるミニバンにはターボを採用した車種がなかったが、“スポーツカーの発想でミニバンを作った”というMPVでは、ミニバンとして初めてターボ仕様のエンジンを採用した。
ターボモデルは全車電子制御6速ATを搭載
ターボエンジンを搭載した23Tにはいくつかの専用仕様が用意される。まずメカニズム部分では、組み合わされるトランスミッションが全車電子制御6速AT となる。自然吸気エンジンの搭載車でも4WD車については4速ではなく6速ATが組み合わされるが、ターボ車はFF車でも6速ATとなる。
パワーアップしたエンジンに対応して足回りが強化されている。専用にチューニングされた硬めのサスペンションやRX-8用と同じサイズである17インチのの大径ブレーキーローターを採用することで、十分な制動性能を確保したことなどがそれだ。また横滑り防止装置のVDCやTCSはターボ車だけに標準だ。
外観デザインの違いは控えめなものだ。タイヤサイズが18インチとなり、専用のアルミホイールを履くことが大きな相違点で、前後のエアロパーツやクロームメッキのアウタードアハンドル、クリアタイプのLEDリヤコンビネーションランプも採用されるが、これらは23Cのスポーツパッケージ装着車と共通だ。インテリアもATのシフトパネルが木目調になることがターボ車の特徴となる程度にとどめられた。
ミニバン用ターボは滑らかな味付け
MPVに搭載される標準の2.3Lエンジンが120kWであるのに対し、ターボ仕様のエンジンは同じ2.3Lながら直噴ターボとすることで 180kW(245ps)の動力性能を得ている。動力性能の差は明確なもので、ターボ車は車両重量が70kgほど重くなるものの、走りの違いも明確なものとなる。1800kgからのボディを力強く加速させていく。
ただ、古典的なスポーツカーのターボとは違って、ターボが効きだすときのショックというか段差のある加速感は感じさせない。自然吸気エンジンの加速感にも似た自然で滑らかな力強さを感じさせる。最近ではスポーツタイプのクルマでも自然な味付けのターボが増えているが、この滑らかさは正にミニバン用のターボの味付けといえる。ATが6速に変わったことも、その滑らかな走りに大きく貢献しているだろう。
足回りはちょっと硬めの乗り味。道路の継ぎ目や段差を超えるときのショックの収束には優れているが、突き上げ感もやや感じる。その分コーナーでのロールが少なく、安定感のある走りが特徴だ。大径化されたブレーキの効き味も満足のいくものだ。
ターボ価格は、実は割安感たっぷり
MPVが発売された時点でターボ車の追加は予告されていたので、これを待っていたユーザーも多いようだ。というか、試乗をする前にターボ車をオーダーしたユーザーもたくさんいたという。これはターボ車にけっこう割安な価格が設定されているためだ。
自然吸気エンジンを搭載する23CのFF車の価格は247万円だが、ターボ車と同じような外観を持つスポーツパッケージ装着車になると259.8万円になる。これに対してターボ車である23Tの価格は280万円だから、20万円ほどの価格差でしかない。
この価格差の中には安全装備のVDCとTCSの分が8万から10万円、タイヤ&ホイールのサイズが17インチから18インチになった分が数万円含まれると考えると、ターボによって動力性能が5割増になった分や、強化されたシャシーが採用された分がほんの数万円でしかない。価格帯そのものは高くなるが、ターボ車の23Tには買い得感を感じさせる価格が設定されている。
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