マツダ ロータリーエンジン搭載「REレンジエクステンダー」試作車 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/2)

マツダ ロータリーエンジン搭載「REレンジエクステンダー」試作車 試乗レポート/渡辺陽一郎
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デミオにロータリーエンジン!?

マツダ ロータリーエンジン レンジエクステンダー(デミオEVベース)

「ついに、ロータリーエンジン復活か!?」と思わず膝を乗り出したのが、今回ご紹介する「マツダ REレンジエクステンダー」だ。

「“REレンジエクステンダー”?そんなの聞いたこと無いよ?」とお思いの読者諸兄も多いはず、同車両はまだ市販されていない試作車第一号なのだから。

そんな、ロータリーエンジンを搭載したという興味深い試作車に、僅かな時間ではあるが試乗する機会を得たので皆さんへそのレポートをお伝えしたい。

ロータリーエンジンを発電機として活用

マツダ ロータリーエンジン レンジエクステンダー(デミオEVベース)マツダ ロータリーエンジン レンジエクステンダー(デミオEVベース)

まず、マツダREレンジエクステンダーのベース車両は、すでにリース販売が開始されている「デミオEV」だ。デミオEVは文字どおりデミオのボディを使った電気自動車で、75kW(102馬力)の駆動用モーターと、20kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載している。

このデミオEVに、発電装置も搭載して走行距離を伸ばしたのが“マツダ REレンジエクステンダー”だ。発電機を駆動するために、330ccのシングルロータリーエンジンを搭載する。最高出力は22kW(約30馬力)だが、車両を動かすのは75kWのモーター。ロータリーエンジンは発電機の駆動用だから22kWでも不足はない。

発電機の駆動にロータリーエンジンを用いた理由は、レシプロエンジンに比べてサイズが小さくて軽いためだ。発電ユニットを見ると、ロータリーエンジンを寝かせて搭載し、その脇に発電機、さらに約9リッターの燃料タンクが装着されている。

マツダ ロータリーエンジン レンジエクステンダー(デミオEVベース)マツダ ロータリーエンジン レンジエクステンダー(デミオEVベース)

このロータリーエンジン/発電機/燃料タンクの「3点セット」は、リアサスペンションの後部、つまり荷室の下側にスッポリと収まる。荷室の容量を犠牲にすることなく、走行距離を伸ばす(レンジエクステンダーの)機能を持たせた。ユニットが軽いこともメリットで、「3点セット」を合計して約100kg。小さくて軽いロータリーエンジンが威力を発揮する。

そこでマツダは、ロータリーエンジンを使ったポータブル発電機の開発も視野に入れている。100kg前後の重さで、約20kWの定格出力を得られるからだ。従来型の発電機でこの出力を得るには、重量は500~600kgに達してサイズも大柄になる。小さくて高効率な発電機が開発されれば、災害時を含めて利用価値は高い。

小さくて軽ければ、もちろん電気自動車への対応も幅広く行える。メーカーオプションとして採用すれば、電気自動車の欠点とされる「電欠」の心配から開放されるわけだ。

マツダ ロータリーエンジン レンジエクステンダー(デミオEVベース)

マツダREレンジエクステンダーが9リッターの燃料を使って走れる距離は、JC08モード走行で約180km。万一「電欠」が生じても、180km(仮に実用電費が85%として150km)を走行できれば、充電設備のある場所に到着できるだろう。それが無理でも、ガソリンスタンドで給油すれば走行を続けられる。

今後の改善が必要と思われるのは、9リッターで走れる距離が180kmと、ロータリーエンジンで発電している時のJC08モード燃費が「20km/L」しかないということ。小さくて軽い代わりに、単純な燃費性能はあまり優れてはいない。このあたりは歴代のロータリーエンジン搭載車を思い出させる。

だが、マツダREレンジエクステンダーの基本は、リチウムイオン電池に充電された電気を使って走ることだ。1回の充電で走れる最大航続可能距離は、JC08モード走行で「200km」と電気自動車として不足はない。何らかの理由で電欠した時の“救済手段”としてならば「20km/L」で不満はないのではと思う。

となれば、前述の「3点セット」が脱着式ならさらに魅力が増す。常に100kgの「3点セット」を積んで走るのはもったいないからだ。「今日は高速道路を使うから、発電機を付けて出かけましょう」と、カチッとセットする。日常的な外出の時はハズしておく。そうなれば複数の電気自動車を所有する企業などでは、使いまわしも可能だ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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