新型マツダ3 海外初試乗[Mハイブリッド/2.5Lガソリン]|セグメントの中の1台ではなく “指名買いしたくなる1台”へ

話題のスカイアクティブX試乗はまだちょっとおあずけ

昨年2018年11月のLAショーで世界初公開された5代目マツダ3(現行型の日本名:アクセラ/アクセラスポーツ)だが、今年2019年1月に開催された東京オートサロン2019では、カスタマイズモデルと共に日本初公開。「発売前の新型マツダ3が見られる!!」と、マツダブースには多くの人が集まった。

来場者の雑談に聞き耳を立てると「写真より実物のほうがカッコいい!!」、「現行モデルと変わらないと思っていたが、実際は全然違う!!」と言うようなポジティブな意見が多かった。

そんな新型マツダ3は今年2019年中旬にも日本でも発売予定(車名はどうなる!?)だが、今回一足お先にアメリカ・ロサンゼルス近郊で試乗を行ってきた。

ただし今回試乗できたのは、注目の圧縮着火エンジン「SKYACTIV-X」(スカイアクティブ エックス:量産車世界初採用)ではなく、ハッチバックには欧州仕様の2.0Lガソリンにベルト駆動ISG(モーター機能発電機)がプラスされる「Mハイブリッド」+6速MT、セダンは北米仕様の2.5Lガソリン+6速AT仕様の組み合わせだった。

>>初めて屋外で観る新型マツダ3は、どんな感じ!?[フォトギャラリー]

【デザインチェック(外観編)】新型マツダ3、魅惑のエクステリアを屋外で初チェック!

すでに本サイトではLAショーで世界初公開された際に詳細解説をお届けしているが、インプレッションと共におさらいしていこう。

■参考:マツダ 新型アクセラ(マツダ3)がワールドプレミア│スカイアクティブXは?日本導入はいつ?? 最新情報

まずマツダ3のエクステリアをじっくりチェックしてみよう。これまでは照明の当たった建物内のショー会場のみだったが、今回初めて陽の光を浴びる屋外でじっくり目にすることが出来た。

マツダ3 ハッチバックはノーズが長く、キャビンは小さく、Cピラーは太い上にリアゲートはクーペのように角度が寝ており、情熱的で凝縮感があるスタイル。

対するマツダ3 セダンは、従来モデルではハイデッキでハッチバックの延長戦のようなスタイルのモデルが多かったが、新型では「ザ・セダン」と言った伝統的な3BOXらしいフォーマルで伸びやかなスタイルだ。

ショー会場のラインティングの下で見るよりも、こうして自然な日の光の下で見たほうが光と影のコントラストが解り易い。ノーズの低さや造形を線ではなく面の変化で表現、引き算の美学と言うような「深化した魂動デザイン」の魅力がより引き立つ。

ボディカラーはマツダ車定番となりつつあるソウルレッドプレミアムやマシングレープレミアムメタリックもいい。しかし個人的にハッチバックには新色のポリメタルグレーが良かった。見るシーンによってマットとキラキラの二面性を持つ色合いだ。セダンの王道を目指したからか、セダンにはホワイトパールも魅力的だった。

タイヤはいくつか用意されるが、試乗車は全て215/45R18サイズを履く。マツダ車の中ではかなりツライチセッティングになっているものの、タイヤチェーン装着を考慮するためフェンダーとのクリアランスがやや大きめなのが惜しい。個人的にはあと10~15mmでいいので車高を下げると、印象はより良くなると思う。

また、サイドはフロントからリアまで一枚モノのような造形になっているので、ドアパンチされるとかなり目立つのと、板金修理の際に微妙なラインを出すのはなかなか至難の業かもしれない!?

【デザインチェック(室内編)】新型マツダ3のインテリアはアテンザやCX-8を超える質感を持つ!

新型マツダ3のインテリアは、要素をよりシンプルにしながらも質感を大きくレベルアップ。静的な質感のみならず。スイッチ/ダイヤルのタッチや操作感、カップホルダーリッド/グローブボックスなどの開閉速度といったような動的な質感にも徹底してこだわっており、現行モデルでよく聞かれた「デザインはいいけど細部は……ね」から脱却。現時点ではフラッグシップのマツダ6(=アテンザ)やCX-8を超え、マツダ車トップのクオリティを手に入れたと言ってもいい。

実際に新型マツダ3の運転席に座ると、上半身は動きやすいのに下半身はフィット感が高いシートの出来に「いいね!」である。

筆者は普段から、シートバックを寝かす方向で座っている。肺を圧迫させないので呼吸が楽、細かいペダルコントロールが楽なのが理由だが、このシートはそれが自然にできる。

また、コンセプトカー「RXヴィジョン」/「ヴィジョンクーペ」と共通モチーフのステアリングは、握りの太さや断面形状、革の触感などが絶妙。適正な力で自然に操作が可能だ。更に調整幅が広いので、体形や身長を問わず誰でも適正なポジションが取れるのも嬉しい。

居住性は、ハッチバック/セダン共に大人4人が快適に過ごせるスペースは確保されているが、ハッチバックはウィンドウ面積が小さいため閉塞感はやや強め。「デザインにこだわると視認性が……」と思われがちだが、フロントはAピラーの形状工夫やワイパーアームがなども相まって視野は広い。

また、多くの人が気になるハッチバックの後方視認性だが、直接視界は想像よりも良好で、BSM(ブラインドスポットモニタリング)や360度モニターなどの支援デバイスのサポートでカバーできるレベルになっている。

【乗ってみてどう?】新型マツダ3はプレミアムな安定感と、FF版ロードスターのような軽快さを同時に手に入れた

新型マツダ3、気になる走りはどうか?

走り始めの一転がりから、クルマの動きは非常に滑らかなのが解る。LAの一般道は路面の凹凸がかなり厳しく、それなりに路面からのショックは伝わるが、日本車離れしたボディのカッチリ感と、吸収性の高い足回りの相乗効果で、目線もブレないし胃がシェイクされる不快な感じもないから非常に快適。欲を言えばフリーウェイではもう少しビシーッとした直進安定性が欲しいが、「意外と重量級かな!?」と思うような落ち着きの良さとシットリした足の動きで、プレミアムカテゴリーに足を踏み入れている。

ワンディングは一体感のある走りでドライビングに没頭できるが、アドレナリンが湧き出るような熱血系ではなく、手に汗握ることなくサラッとこなすクール系スポーティハッチと言った印象だ。コーナーによってトーションビーム特有の舵角に対する切り込み感は若干あったが、その動きも予測できるレベルなのでほとんど気にならない。また、リアの安定感も非常に高いレベルを実現しているが、いわゆる欧州プレミアムのようなビターッと路面に張り付くようなドシッとした感じではない。剛の中に柔を感じるような、例えるならば「ヒラヒラと舞う」ように軽快な動きで、これはFFのロードスターと言ってもいいかもしれない。

「誰もがいつでもどこでも、安心して運転に集中できる心地よい走り」を忠実に体現

このように速度域や走るステージを問わず、クルマの動きと人間の感覚にズレがないこと、滑らかな挙動、そして違和感がない走りを高いレベルで実現していることを試乗で実感出来た。マツダが常日頃語る「誰もがいつでもどこでも、安心して運転に集中できる心地よい走り」を忠実に体現しているように感じた。人によっては刺激が足りないと思うかもしれないが、マツダは“普通”に走らせる事こそが重要だと考えた結果と言える。

個人的には、セダンよりもハッチバックのほうがクルマの動きが精緻で全体的なバランスは良く感じた。ボディ形状の問題なのか、それとも仕向地によるセットアップの差なのかは今回の試乗では解らなかったが、タイヤの差(どちらも銘柄はTOYOプロクセスだったが、セダンはオールシーズンタイヤA40、ハッチバックはサマータイヤR51Aを履く)が大きいと思っている。

振動を抑え静粛性を向上させ、オーディオのサウンドもさらに良好に

また、新型でこだわったNVH性能は現行モデルとは雲泥の差である。いわゆる無音のような静けさとはちょっと違い、「ノイズは消すがノートは残す」といったイメージ。また、高剛性ボディにありがちなビリビリした嫌な振動も少ないのは、ボディ各所に配置の「減衰節」や「減衰ボンド」の効果も大きいはず。

ちなみにオーディオもこだわりの逸品で、低域スピーカーはドアではなくカウルサイドに配置、中高音域は反射音の影響を受けにくい&人に自然に音が聞こえるように左右セールガーニッシュとドア上部の配置。スタンダードシステムでも従来のBOSEを遥かに超えるレベルの音の広がりや立体感、明瞭度を感じる音場を実現、更にBOSE仕様はセンタースピーカーとサテライトスピーカー、ウーハーがプラス。欧州プレミアムが採用する高級オーディオシステムを超えるサウンドを安価なプライスで実現しているそうだ。

【エンジン性能はどう?】Mハイブリッド/2.5Lガソリンの印象は「必要にして十分」・・・ディーゼルやSKYACTIV-Xに期待大

大きくレベルアップしたシャシー周りに対して、パワートレインはよく言えば「必要十分」と言った印象である。2.5L+6速ATとの組み合わせは残念ながら186HP/252Nmのスペックほどの力強さは感じられず……。6速ATのフィーリングは悪くないが、ビジーなシフト制御は残念ながら人間中心とは言えず……。エンジンの旨みをより引き出すためにもやはり多段化は必要だと思う。

更に2.0L M Hybrid(122ps/213Nm)は、単体で乗る限りはISGの効果でスペック以上のトルク感とストレスなく回る伸びの良さや気持ち良さも感じられたものの、シャシーとの実力を考えるともう少し力強さが欲しい。そういう意味では、今回未試乗のディーゼル1.8LターボとスカイアクティブXに期待したい。

マツダは「内燃機関を極める!!」と公言している。世界のライバルCセグメントモデルが搭載する小排気量ターボや、国産勢が強みとするハイブリッド(トヨタのTHS II、日産のe-POWER、ホンダのスポーツハイブリッドi-MMD)などの強豪と戦う上で、マツダ3ではそれらを上回るような“プラスα”を期待したいところである。

【まとめ】新型マツダ3は「マツダの強い想い」と「仕上がり」が一致した“指名買いしたくなる1台”へと成長した

これまでのマツダ車は「我々の進むべき道はこれ!!」という思想に関して筆者は共感できたものの、残念ながら商品がそれに追いついていない印象が大きかった。しかし、新型マツダ3は「思想」と「商品」が一致している。まさに今回のフルモデルチェンジは、単なる世代交代だけでなく、「マツダがマツダであるための刷新」と言っていいかもしれない。

恐らく、今後Cセグメントの絶対王者であるフォルクスワーゲン ゴルフと比較される事もあると思う(あちらもモデルチェンジ間近だとも聞く)。新型マツダ3は性能的に「追いつけ追い越せ」だけでなく、独自の個性もシッカリと備える一台に仕上がっている。そういう意味では、「ライバルと比べて選ぶ」ではなく、まさに「指名買い」したくなる魅力を持った一台だ。

[筆者:山本 シンヤ/撮影:マツダ株式会社]

新型マツダ3(5代目) 主要スペック

ボディサイズ:[ハッチバック]全長4459×全幅1797×全高1445mm [セダン]全長4662×全幅1797×全高1440mm/ホイールベース:2725mm[ハッチバック・セダン共通]/パワートレイン:ガソリン(1.5リッター/2.0リッター/2.5リッター)、ディーゼル(1.8リッターターボ)、「スカイアクティブX(2.0リッター)」[仕向け地によりスペック・仕様は異なる]

※北米LAショー2018発表時の諸元

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

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