マツダ 新型アテンザ 新型車解説(3/4)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:マツダ株式会社 / 和田清志
マツダ 新型アテンザ 新型車解説
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エンジンはもちろん、ガソリンとディーゼルの両方をラインナップ

新型アテンザ「スカイアクティブD」クリーンディーゼルエンジン新型アテンザ「スカイアクティブG」ガソリンエンジン

新型アテンザのエンジンはすべて直列4気筒で、2リッターと2.5リッターのガソリンエンジン(スカイアクティブ・G)、さらに2.2リッターのクリーンディーゼルターボエンジン(スカイアクティブ・D)がラインナップされている。

CX-5と同じ設定に加え、2.5リッターのガソリンエンジンに「スカイアクティブ・G」が初採用された点が新しい。

2.5リッターガソリンエンジンの最高出力は、2リッターガソリンエンジンを33馬力上まわる188馬力(5,700回転)、最大トルクは5.5kg-m高い25.5kg-m(3,250回転)になる。最大トルクは実用回転域で発揮され、市街地における運転のしやすさも考慮されている。

2.2リッタークリーンディーゼルターボは、最高出力が175馬力(4,500回転)、最大トルクは42.8kg-m(2,000回転)。この数値はCX-5と等しく、最大トルクはガソリンエンジンに当てはめれば4,000ccのV型6気筒並だ。

6MTがクリーンディーゼルに採用されているのが、いかにも“マツダらしい”

マツダ 新型アテンザ オートマティックトランスミッションマツダ 新型アテンザ マニュアルトランスミッション

組み合わせられるトランスミッションは「スカイアクティブ・ドライブ」と呼ばれる6速ATを主力とするが、クリーンディーゼルターボのXDには「スカイアクティブ・MT」の6速MTも用意される。

従来の常識では、6速MTを与えるとすれば高回転域まで回せるガソリンエンジンだが、あえてクリーンディーゼルターボに設定したところがマツダらしい。最大トルクは2,000回転で発生するため、発進直後からディーゼルならではの太いトルクを体感できる。

駆動方式は、前輪駆動の2WDのみ。4WDは設定されていない。

新型アテンザは全車にアイドリングストップが装着されており、燃費性能も良好だ。クリーンディーゼルターボのJC08モードの数値は、6速ATがセダン、ワゴンともに「20km/L」、6速MTは「22.4km/L」に達する。6速MTの数値はデミオ(13スカイアクティブ)の「25km/L」に迫り、アイドリングストップを備えたカローラアクシオ(1.5G)の「21.4km/L」を上まわる。

ガソリンエンジンのJC08モード燃費は、2リッターが「17.4km/L」、2.5リッターが「15.6km/L」だ。エコカー減税も手厚く、クリーンディーゼルターボと2リッターのガソリンエンジン搭載車は購入時の税額が免税。2.5リッターも50%の減税を受けられる。

注目の新技術「i-ELOOP/アイ・イー・ループ」

マツダ 新型アテンザ i-ELOOPイメージ

「スカイアクティブ・テクノロジー」はさまざまな機能で環境/燃費性能を重視しているが、新しい技術として「i-ELOOP/アイ・イー・ループ」がある。車両に搭載される発電機と12V電池の間に「キャパシター」を介し、充電効率を高める機能だ。

従来の発電はエンジンの力を使って行われ、駆動力の10%程度は発電に使われていた。このロスを抑えるため、最近のクルマでは減速時を中心に発電を行い、減速エネルギーを有効活用するようになっている。「キャパシター」は、減速エネルギーをさらに多く使うべく装着された。バッテリーのような化学反応を伴わず、静電気の働きで電気を貯めて放出できるため、大量の充電と放電を素早く行うことが可能だ。

そこで減速時に発電された電気をムダなく「キャパシター」に貯め込み、その後で12V電池に充電する。鉛電池は内部抵抗によって瞬時に充電することが難しいが、「キャパシター」を使えば解決する。電池と違って劣化しにくいこともメリットだ。

ちなみに「キャパシター」はフォークリフトなどにも採用されている。荷物を降ろす段階を含め、従来はムダになっていたエネルギーを有効に再利用している。

環境技術に加えて、「i-ACTIVSENSE/アイ・アクティブセンス」の総称で安全機能も大幅に進化した。

まずはCX-5にも採用されている「スマート・シティ・ブレーキ・サポート」。レーザーレーダーを装着し、時速15km以下の走行で衝突の危険が迫った時、自動ブレーキを作動させて回避を可能にする。「スマート・ブレーキ・サポート」は、時速約15kmから115km近辺を対象としており、ミリ波レーダーによって衝突が迫った時の警報、ならびに自動制動を行い、衝突回避や被害の軽減が可能だ。

カラーカメラも装着。画像データの解析により、車線の逸脱を警報する機能も備わる。従来から好評の「リア・ビークル・モニタリング・システム」も採用。車両の後方に向けたミリ波レーダーが、斜め後ろを走る車両を認識する。ドライバーが気付かずにレーンチェンジなどを行おうとした時、警報を発する仕組みだ。

このほか、ヘッドランプの照射角度を進行方向に向けたり、ハイ/ロービームを自動的に切り換える機能も用意される。前述の安全装備を活用した快適装備として、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールも採用した。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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