レクサス 新型IS プロトタイプ 試乗レポート/河口まなぶ(2/2)

レクサス 新型IS プロトタイプ 試乗レポート/河口まなぶ
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Cクラスや3シリーズのベーシックモデルが持っているような“素の良さ”が走りに出ている

一方、ハンドリングに関しても相当に走り込んだようで、現行ISよりもずいぶんと素直な印象を覚える。

というのも現行ISは、スポーツの名のもとに締め上げ過ぎた感があった。だが新型ISは先に記したボディのしっかり感や良く動くサスペンションによって基本性能が高いゆえ、操作によって生まれるクルマの動きに不自然な感じや強引な感じがなく好印象だ。

特に今回試乗したIS250/350のバージョンLは、メルセデスベンツCクラスやBMW3シリーズのベーシックモデルが持っているような“素の良さ”が走りに出ていた。心地よい乗り味と、適度にスポーティなハンドリングのハーモニーは爽快な感覚だ。

一方、現行ISから継承するグレードであるFスポーツではAVSと呼ぶ電子制御の可変ダンパーを用いたことで、サスペンションをスポーティなセッティングにしているにも関わらず高いコンフォート性能を実現した。

もちろんハンドリングもFの名に相応しいスポーツ性を有している。

新型ISは特に、「走りの愉しさ」を大前提に開発されたというだけに、Fスポーツはその真骨頂ともいえるモデル。LDHと呼ばれるリアステアも備えるグレードだけに、実際に試乗したTOYOTIRESターンパイクのコーナーを高いペースでもグイグイと曲がり、痛快に駆け抜けていく走り味が実現されていた。

後戻りできない挑戦がスタート

新型ISのパワートレーンは、2.5リッターのV6、3.5リッターのV6という2種類のガソリンエンジンと、2.5リッターの直4+ハイブリッドという全部で3種類が用意される。これはクラウンと同じ構成。ただしV6ではサウンドジェネレーターが与えられて気持ちよい吸気音を届ける味付けがなされている。

印象としては素朴で毎日乗っても飽きない2.5リッターがちょうど良い感じ。またパワフルさを存分に味わえる3.5リッターは贅沢な気持ちよさがある。そしてイマドキの爽快な感覚を持ったハイブリッドは、全開で加速の頭打ち感はあるものの、日常使用の領域では伸びの良い加速を味わえる…と、それぞれに魅力がある。ただ現実に購入するとなると燃費等を考えて、やはりハイブリッドが中心になってくるだろうし、価格的にだと250というチョイスになる場合が多いだろう。

今回試乗した新型ISは、発売前のプロトタイプであり、試乗場所もTOYOTIRESターンパイクという限定されたシーンだけだったので、まだ断定することはできないが、ファーストインプレッションとしては良かったと報告できる。そう考えると今後の市販モデルにも期待できるだろう。

しかし、今回何よりも感じたことは、作り手の想いに他ならない。

振り返ればアメリカでのブランド設立当初から市場に認められたサクセスストーリーが第1章となり、2004年の欧州展開、そして2005年からの日本展開が第2章となった。

世界へ果敢に打って出たレクサスだが、欧州市場では振るわなかった。また日本市場も期待値ほどではなかったのが事実。だが、この事実から現在のレクサスの第3章が始まったのだろうと想像する。

そうして先のGSやLSを経て今、新型ISが産み落とされた。それを実際に見て触れて乗ってみると、そこには作り手の覚悟のようなものが感じられたのだ。

なぜならレクサスの今の方向性は、世界の高級ブランドとの真っ向勝負へと向いている。それはつまり、後戻りできない挑戦がスタートしていることを意味する。

そうした中で新型ISは、“とにかく今レクサスが持っているものを全力で表現したもの”といえるのではないか?

もちろん完璧なものなどないし、もう少しこうして欲しい…という部分もある。けれどそうした細かな部分はさておき、とにかく作り手が一生懸命に挑戦していることをヒシヒシと感じることは間違いない。

果たしてレクサスの第3章はどんな展開を見せるのか?

新型ISプロトタイプに触れてみて、僕はなかなか面白い章になるのではないか、と思えたのだった。

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河口 まなぶ
筆者河口 まなぶ

1970年生まれ。大学卒業後、出版社のアルバイトをしたのちフリーランスの自動ライターとなる。1997年に日本自動車ジャーナリスト協会会員となり、自動車専門誌への寄稿が増え、プレイステーション「グランツーリスモ」の解説も担当。現在、自動車雑誌を中心に一般誌やwebで自動車ジャーナリストとして活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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