レクサス 新型 GS450h 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)

レクサス 新型 GS450h 試乗レポート/渡辺陽一郎
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肉食系ハイブリッドに相応しい高性能仕様「GS450h Fスポーツ」

レクサス GS450h "F SPORT" 専用スピンドルグリルレクサス GS450h "Version L" スピンドルグリル

新型レクサス GS450hシリーズには4種類の選択肢が用意される。試乗したのはスポーツ指向の「Fスポーツ」(写真では赤いモデル)と、豪華指向の「バージョンL」(シルバーのモデル)であった。

さらに高性能になったハイブリッドシステムを搭載する新型 GS450hだけに、注目すべきはやはり「Fスポーツ」だろう。

今回試乗したFスポーツに装着されていたタイヤは、19インチ(前輪:235/40R19・後輪:265/35R19)のダンロップSPスポーツマックス。サスペンションも専用にチューニングされる。さらにギヤ比を可変式にしたステアリングシステムと、後輪操舵の機能も備わるなど、かなり気合の入った差別化が図られている点が注目される。

LEXUS GS450h "F SPORT" 走り3

車両重量が1860kgに達するボディながら、GS450h「Fスポーツ」の操舵に対する反応はかなり鋭い。過敏な印象はないが、ノーマルサスペンション仕様に比べてワンテンポ早く車両の向きが変わる。コーナリング時であれば、内側に寄るタイミングが想像以上に早いとすら感じた。ドライバーは無意識に車両の重さを意識して、旋回軌跡が拡大することを見込んで操作するから、慣れるまでは内側に寄るのが早く感じるワケだ。要は確実に曲がるタイプだから、コツが分かると運転も楽しい。まるで2リッターエンジンを積んだミドルサイズセダンのように、峠道を軽快に走れるほどだ。

LEXUS GS450h "F SPORT" 走り2レクサス GS450h "F SPORT" コックピット

従来の後輪操舵システムの概念は、後輪を前輪と同じ方向に向けて後輪の接地性を高める狙いがあるが、GS450h Fスポーツの場合は、高い速度域まで後輪を前輪と逆の方向に向けるのが大きな特長だ。つまり旋回時の回頭性を重視している。シャシーやサスペンションの性能が相当に高くないと、この制御は行えない。

もちろん、時速80km/hを上まわる高速走行や危険回避の時には、後輪が前輪と同じ方向を向いて後輪の接地性を高める。走行安定性の基礎部分を入念に煮詰め、その上にギヤ比を可変式にしたステアリングと後輪操舵を組み合わせたから、走行安定性と運転の楽しさを高次元で調和できた。

乗り心地は硬めだが、19インチタイヤを装着する割に粗い印象はない。 この点も、ボディやサスペンションの取り付け剛性を高めた成果だ。基本性能を高めたことで、走行性能に加えて乗り心地も向上している。ドイツ製のセダンに乗っても、同様のことが実感できるだろう。

ロングドライブ派にオススメ、もうひとつの豪華仕様「GS450h バージョンL」

レクサス 新型 GS450h "Version L" エクステリア・外観[ボディカラー:ソニックシルバー]レクサス GS450h "Version L" コックピット

もう一方の試乗車、豪華仕様のGS450h バージョンLは、ノーマルタイプのサスペンションを装着し、試乗車のタイヤは18インチ(235/45R18)のブリヂストン・トランザER33。乗り心地は柔軟で、操舵感もFスポーツに比べると反応の仕方が穏やかだ。馴染みやすい運転感覚が心地良い。

山道などをスポーティに走らせると、GS450h Fスポーツに比べボディの重さを意識させるシーンもあるが、車両全体の動きが大人しいからバランスの良さは損なっていない。運転の楽しさよりも長距離移動時の快適性を重視するなら、バージョンLなどのノーマルサスペンション仕様も魅力だろう。

なお、標準仕様のレクサス GS450hであれば、車両価格はFスポーツよりも100万円安い700万円に収まる。この仕様に装着されるタイヤは17インチだが、約8万円を加えて18インチにすれば、走りのバランスがさらに良くなるからオススメだ。

欧州の強力なライバル車と比べてどうなのか

LEXUS GS450h "F SPORT"と筆者の渡辺陽一郎氏
レクサス GS450h "Version L"試乗中 新東名は初ドライブ!というライターの渡辺陽一郎氏レクサス 新型 GS450h 試乗会 会場

ちなみにレクサス GSのライバルになる最近の欧州製セダン、具体的にはメルセデス・ベンツ EクラスやBMW 5シリーズなどに、次々と直4 1.8~2リッタークラスのダウンサイジングターボエンジンを搭載するモデルが増えてきた。日本車のV6 3.5リッターエンジンに匹敵する35kg-m前後の最大トルクを幅広い回転域で発揮しながら、JC08モード燃費は15km/L前後に達したりするのだから凄い。

ノーマルエンジンを搭載したGS350は、最大トルクが38.7kg-mになるものの、JC08モード燃費は9.9km/L。動力性能は同等なのに、GS350はエコカー減税対象に入らず、輸入車だけがパスする現実がある。減税のベースになる平成27年度燃費基準が複数の問題を抱えるとはいえ、今の状況は日本のユーザーとして悲しく、そして悔しい!

レクサスの今後の課題は、低燃費と高性能を両立させた新型レクサス GS450hのハイブリッド テクノロジーを、排気量が異なる車種も含めて幅広く伝播させることにあるだろう。そして日本のセダンが優秀であること、軽自動車とミニバンだけの国にはなっていないことを実感させて欲しいのだ。

欧州車の急激な進化を横目に見つつ、人知れず悔しい思いをしていた日本車を愛するクルマ好きたちの願いは、まさにそこにあると思う。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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