ランドローバー 新型イヴォーク試乗|8年ぶりに生まれ変わったオシャレSUVのトップランナー(3/3)

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オシャレSUVとは一線を画すオフロード性能

輸入車としてチョイスの主力となってきた感があるディーゼルエンジンは、残念ながら特設ステージでしか試せなかった。

試乗したのは「First Edition D180」(180PS/430Nm)。

加速性能はステージの短い直線でのゼロ発進加速しか試せなかったため、中間加速の粘り強さや伸びなどはわからず、瞬発的な印象しかない。体感的には圧倒的なトルクで爆発的に加速するというよりは、2リッター4気筒ターボとして適切なトルクを発揮する、堅実な印象だった。ちなみに本国には、よりハイパワーな「D240」がラインナップされているようだ。

また特設コースのモーグルでは、ランドローバー唯一のFFベース4WDながら、その血脈を感じさせた。

サスペンションは取り分けて長足という印象はない。高低差のあるモーグルを乗り越えれば対角線のタイヤを接地させたまま、ぐらりと車体を前傾させてどすん、と前輪を着地させる。

しかしモノコックシャシーはシッカリ感があって頼もしく、視界も良好。アプローチアングル(22.2°)、ブレークオーバーアングル(20.7°)、デパーチャーアングル(30.6°)が適切に取られていることもあり、モーグルビギナーでも車体底面を打つ心配なくこれをクリアできた。

ちなみに渡河水深は旧型から100mm増やされた600mmに及ぶそうである。

だが駆動力確保には、慣れが必要な部分もある。前輪が空転してから4輪のトラクションが確保されるため、今回のような急斜面かつスリッパリーな路面(というより台座か)では、臆することなくアクセルを踏んで行くことが求められる。

ただこの機構さえわかっていればあとは、電子制御がうまく姿勢やトラクションをコントロールしてくれる。

面白かったのは、レールの上を走るアトラクションだ。

ここで新型イヴォークは、「クリアサイトグラウンドビュー」機能をもって未来感溢れる運転技術を披露してくれたのだ。

これはフロントグリルと左右に配置されたカメラが作り出すバーチャル映像を見ながら運転するモード。可視化されたフロントタイヤを操り、路面を見ながら走る感覚は独特だったが、ともかく脱輪せずにレールを走りきれたのである。

その操作にはやはり慣れが必要だと思われるが、ともかく狭い路地では、1.9mの車幅がもたらすストレスを軽減してくれそう。縁石や障害物をクリアするための武器になりそうだ。

同じくイヴォークには、荷物を満載した際にリアビューカメラで後方映像を映し出すバックミラーを備える。まだまだその奥行き感がサイドミラーとキャリブレーションできていない印象は強いが、こうしたデジタルセーフティの洗練によって、今後SUVの安全性は確保されて行くことだろう。

果たして新型イヴォークは、大きな洗練を得た。当日は先代モデル(HSE)との比較試乗も行えたのだが、短い時間でもその差は歴然としていた。

ステアリングから伝わる振動透過性の少なさ。よりランドローバーらしい中身の詰まった乗り味。まだまだロングドライブで精査する必要はあるけれど、第一印象は非常によい。それは先代モデルが挑戦的なルックスで切り開いたSUVの民主化を、さらにプレミアムステージへと押し上げた進化であり深化だった。

[筆者:山田 弘樹/撮影:佐藤 正巳]

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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