ランドローバー 新型イヴォーク試乗|8年ぶりに生まれ変わったオシャレSUVのトップランナー(2/3)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:佐藤 正巳
まず最初に乗り込んだのは、ランドローバー初となるマイルドハイブリッド仕様の「300P」(300PS/400Nm)。仕様は「R-DYNAMIC HSE」だった。
このMHEVは、モーターの存在を感じさせない。その乗り味はただただスムーズなのだが、それはシャシーも含めた全体に言えることで、電動化や近未来感を強く意識するというよりは、上級パワーユニットとしてのラグジュアリー感が特徴だと言える。
だがその出足に意識を集中させると、確かに低速でターボが聞き始める前に、極めてスムーズな発進加速が得られていると気づく。そして時速17km/h以下になると、エンジンを停止させる。このときモーターは、回生を行っているようだ。
機構的には48VのバッテリーとBISG(ベルト・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)、そしてコンバーターでシステムを構築。残念ながら現在は燃料消費率を申請中で、燃費性能に関しては先代モデルを上回るということしかわからなかった。
P300で特筆できたのは、レンジローバーと呼ぶに相応しい操作感だった。
現代感覚で洗練されたSUVデザインを持ちながらも、その動きにはクロスカントリーを感じさせる温厚さがあり、なおかつ乗り心地にはトゲがない。
初期操舵における反応は21インチの大径タイヤを履きながらもおっとりとしていて、今風なハンドリングゲインは立ち上がらない。サスペンションはフワフワというよりも腰があるしなやかさが英国的。単なる乗り心地の良さではなく、ランドローバーテイストを味わうことができる。
またモードを「ダイナミック」へと変更してもややダンパーの伸びが規制される程度で、むしろ「リアシートの横揺れ感が収まって快適」だと、当日移動を共にしたスタッフからは好評であった。
そんな温厚な第一印象だった300Pだが、ダイナミックモードを選ぶと元気があふれ出して来る。アクセルの踏み込み量に対して予想以上に加速するのは、ターボの過給圧が上がった以上にモーターのトルクが効いているせいだろうか。
加速感の印象はランドローバーというよりもジャガーライク。ここに先代と通じる若々しさを表現しているようだが、上級仕様ということも含めパワーの出し方はもう少し洗練されてもよいと思えた。
2リッターのガソリンモデルは、「P250」(249PS/365Nm)の「First Edition」。
P300と比べてわかったのは、より操舵レスポンスがリニアになっていることだった。これは即ちマイルドハイブリッドを搭載しない分だけの軽さだが、お互いのキャラクターとしてもうまく棲み分けている。ちなみにその車重は1840kgで、P300に比べ110kgほど軽い。
動力性能的にもよりガソリンエンジン感が自然だ。出足のトルク感こそ300Pに一歩譲るけれど、カラッと吹け上がるターボの過給は素直に心地良い。そしてここに9速ATのピックアップが加わり、よりスポーティに走ることができた。
レンジローバーのたおやかさを求めるならP300。値段的な買いやすさも含めて、より本来のイヴォーク感を楽しみたいならばP250がお勧めだ。
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