ジャガー Sタイプ 試乗レポート

ジャガー Sタイプ 試乗レポート
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今まで以上に高級感あふれるスタイル

Sタイプは98年にイギリス本国でデビューし、99年7月から日本国内で販売されているジャガーのミディアム4ドアサルーン。XタイプとXJシリーズの中間に位置するモデルになる。その特徴は1950~60年代のジャガーを思わせるフロントマスクとサイドプロポーションにある。スタイリングを重視したそのコンセプトは、日本だけでなく、メインマーケットのアメリカでも好評だ。02年には外観はほとんど同じだが、内装はインパネから大幅に変更し、クオリティもグンと向上されたビッグマイナーチェンジを実施している。そして、04年モデルは外観にもわずかに手直しした最新型がラインナップしている。04年モデルのグレード変更は、4.2Lエンジンを搭載したモデルが、4.2ソブリンとなったこと。より上級感のあるモデルとしてラインナップした。ジャガーのなかでもマニアックなファンに受け入れられるモデル だ。

スポーティな「SEスポーツパッケージ」のオプション設定もあり

今回のマイナーチェンジで新たに装備されたものとしては、アルミニウム製ボンネットやウォッシャーノズル内蔵のワイパーと、オプションで用意されるフロント・パーキングコントロールなどがある。また、「3.0スポーツ」は廃止されたが、スポーティな足まわりを好むユーザーのために「SEスポーツパッケージ」を用意した。これは電子制御のダンピング機能(CATS)、18インチホイール+245/40R18タイヤ、本革巻きのハンドルがセットになっている。エンジンはV6の2.5Lと3L、V8の4.2Lと4.2Lスーパーチャージャーの4種類。ミッションは、6速ATが組み合わされる。このミッションはJ字型パターンで、Dのポジションからレバーを左に動かすと5速、4速、3速、2速にシフトできるマニュアルシフト感覚のATだ。このほかダイナミックスタビリティコントロール(DCS)、など電子制御デバイスも装備される。

強烈な加速を味わえる俊足セダン

最強モデルの「R」は4.2Lスーパーチャージャー付で最高出力は406馬力。アクセルを強く踏みこむと「ウィーン」といううなり音と共にスーパーチャージャーが作動し、強烈な加速を味わえる。停止から100km/hは6秒という俊足セダンだ。04年モデルもこの強烈さは変わらないが、足回りのセッティングは乗り心地重視で、若干ソフトになってしまった。自然給気の4.2Lを搭載する「ソブリン」は、304馬力。フロントがやや重いがトルクがフラットで太いので、余裕のある高級車というイメージだ。V6エンジンの「3.0」は243馬力になり、かためのサスペンションと意外に勇ましいエンジン音、6速AT はDレンジよりも2~5速をシフトしたほうが楽しいスポーツセダンに仕上がった。「2.5」は204馬力だが、非力な感じはせず、乗り心地はややかため、というレベル。乗りやすいモデルだ。

往年のジャガーファンも納得のクラシカルなプロポーション

Sタイプの特徴はなんといっても、そのクラシカルなプロポーションとスタイルだろう。実際にユーザーも、かつてのジャガーファンが多いという。最上級の「XJ」が新しい世代のジャガーファンが多いのとは対称的。本当にジャガーを好きな人はSタイプを選ぶ、とマニアの間では言われている。実際に使用してみると、難点はトランクがボディサイズの割には広くないこと。例えばゴルフのキャディバッグは2セットが限界。リアシートの背もたれが6対4に分割前倒する(Rは固定式)のは救われるが、ゴルフ好きには不便だ。4タイプあるモデルのなかで、おすすめはV6の2.5か3.0.このほうがジャガーのちょっと古典的なスパルタン・スポーツセダンの味わいがある。もし、どうしても最強の「R」が欲しい、というのなら、03年モデルの旧型のほうが、406馬力の荒々しさを体感できるはずだ。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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