モデル末期もいまなお続くホンダ ヴェゼル人気! その秘密は車内にあった
- 筆者: MOTA編集部 木村 剛大
- カメラマン:MOTA編集部
2021年春にもフルモデルチェンジする予定のホンダ ヴェゼル。ご存知の通りホンダを代表するコンパクトSUVで2013年にデビューして以来、2015〜17年まで国内でもっとも売れているSUVに輝いた人気モデルだ。なぜここまでの人気を獲得できたのか? 改めて現行ヴェゼルの魅力を振り返る。
サイズも価格もお見事! コンパクトSUVのパイオニアだった
現行ヴェゼルがデビューした2013年当時、現在世界的に人気を博しているSUV、とくにコンパクトSUV市場に限ってはまだこれから、という感じであった。
トヨタに限っていえば、今や5ナンバーサイズのライズや、そのすぐ上のヤリスクロスやC-HR、さらにはRAV4やハリアーといったコンパクトからラグジュアリーに至るまでさまざまなSUVをラインアップしているが、当時はこれほど多くはなかった。
具体的には5ナンバーサイズのラッシュ、その上にはRAV4やヴァンガードといったミドルサイズSUV。さらにランドクルーザープラドやランドクルーザー200といった顔ぶれであった。
ホンダに至ってはSUVはC-RVのみと、国産モデルにはヴェゼルのような程よいサイズのSUVはまだ存在していなかったのだ。
>>大きいクルマだらけ! 2013円当時の国産SUVをイッキ見
ヴェゼル大成功後、ライバルも多数出現
今のSUV人気を予想していたかは不明ながらも、フィットをベースにしたヴェゼルは全長4295mm×全幅1770mm×全高1605mmとお手頃なボディサイズでデビュー。しかも発表当時の価格は187〜268万円と手の届きやすい価格で登場したのだ。
もっといえば、ヴェゼルはコンパクトクラスにもかかわらず、エクストレイルやCX-5といったミドルサイズSUVにも近い室内の広さがキモであった。
ヴェゼルのヒットを受けて、マツダ CX-3やトヨタ C-HRといったライバル車も数多くデビュー。しかもそれは海外勢にまで波及するほど絶大なる影響を与えたエポックメイキングなモデルなのだ。
人気の理由は車内にあった!
先にも述べた通り、ヴェゼルは2015〜17年に国内SUV販売台数1位に輝いた超人気モデルだが、じつは昨年2020年に再び王者へと復活している。これほどまでの圧倒的な人気の理由はヴェゼルの車内にあると筆者は考えている。もちろんサイズや価格といった面も魅力ではあるのだが。
というのも全長4295mmと決して大きくないサイズにもかかわらず、車内が超がつくほど広いのだ。直接的なライバルにあるCX-3やC-HRのリアシートは必要にして十分といったサイズで、正直にいうならば「長距離はあまり乗りたくないな」というほどの広さ。そのうえ、シートアレンジだって完全フルフラットにはならず、しかも操作自体もシンプルでないなど、特筆すべきモノも特にないというのが印象である。
>>【リアシート比較】ヴェゼル、CX-3、C-HRの後席を写真で比較
だが、ヴェゼルはホンダお得意のセンタータンクレイアウトのおかげでリアシートの足もと、さらに頭上空間の圧迫感など皆無と言っていいほどのスペースを確保しているのだ。
そのうえ、追従してきたライバルたちは後席用のアームレストが設置されていないが、ヴェゼルには全グレードで採用(CX-3は改良モデルで後席アームレストを追加)。さらにヴェゼルはリアシートにもリクライニング機能がついているなど、快適性においてもライバルを圧倒しているのだ。
快適性でもうひとつ挙げるならば、個人的にもっとも感心したのはヴェゼルのエアコンだ。これはハイブリッドモデルだけの装備なのだが、左右独立式のエアコン(左右で温度を変更できるタイプ)を備えている点。高級車には当然のごとく装備されているが2013年当時、200万円台のクルマでこの装備は今もなおかなり珍しいのだ。
ホンダ独自技術がキモ
ちなみにセンタータンクレイアウトとは、ガソリンタンクをフロアの下に設置するホンダ独自の技術だ。通常ガソリンタンクはラゲッジルームやリアシートの座席下などに配置するため、室内空間が犠牲になるクルマが多い。だが、センタータンクレイアウトは足もとの段差や荷室空間を犠牲にしないというメリットがある。
その一方でフロア下にガソリンタンクを設置するために、タンク自体の容量がライバル車より小さくなるというデメリットもある。
簡単操作のシートアレンジがスゴい
コンパクトなボディながらラゲッジ容量は404Lも確保しており、ライバルであるCX-3が350L、C-HRが318Lと比較するとヴェゼルが圧倒しているのがわかる。
先述した通りヴェゼルのシートアレンジは簡単そのもの。ラゲッジ側からワンタッチで倒せるのだ。
>>【ラゲッジ比較】ヴェゼル、CX-3、C-HRの荷室を写真で比較
だが、最大の魅力はチルトアップなる機能である。後席の座面を持ち上げ、ロックをかけるだけで、2列目は荷室に様変わりするというモノ。後席からのシートアレンジ同様にこちらも片手での操作が可能である。
と、ホンダ ヴェゼルの魅力を改めてご紹介したが、デビューから8年目を迎えた2021年に見ても十二分な魅力を持っており、さすが王者! と言わずにはいられないデキであった。それだけに、まもなく登場する新型ヴェゼルがどのような仕上がりになっているのか、大いに気になるところだ。
【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】
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