ホンダ ヴェゼル(VEZEL)・ヴェゼルハイブリッド 新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:本田技研工業/茂呂幸正
ホンダ ヴェゼル(VEZEL)・ヴェゼルハイブリッド 新型車解説/渡辺陽一郎
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フィットハイブリッドとは異なる方式で、4WDも設定

ホンダ ヴェゼル

エンジンは直列4気筒の1.5リッターで、ノーマルタイプのほかにハイブリッドもラインナップされている。ノーマルタイプはフィットの1.5リッターと共通なのだが、実はハイブリッドについてはフィットとヴェゼルで異なる方式が取られている。

フィットハイブリッドがアトキンソンサイクルエンジンとしたのに対し、ヴェゼルハイブリッドは「直噴式」だ。そのためにエンジン自体の性能も、最高出力が132馬力(6,600rpm)、最大トルクは15.9kgf-m(4,600rpm)と高い。エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は「152ps」(フィットハイブリッドは「137ps」)に達し、フィットハイブリッドを15ps上まわっている。

ノーマルエンジンは、最高出力が131ps(6,600rpm)、最大トルクは15.8kg-m(4,600rpm)だ。

ホンダ ヴェゼル
ホンダ ヴェゼルホンダ ヴェゼル

トランスミッションは、ノーマルエンジンがCVT(無段変速AT)。ハイブリッドは2組のクラッチを用いた7速DCTだ。DCTは全車にパドルシフトを装着。有段ATを生かした変速操作が可能だ。

ヴェゼルの駆動方式は、「FF」と「4WD」が用意されている(フィットハイブリッドに4WDの設定はない)。クロスオーバーであるヴェゼルの個性を打ち出した。ヴェゼルの4WDは、電子制御される多板クラッチによって後輪に駆動力を伝えるタイプだが、ヴェゼルではコーナリング時に後輪の駆動力配分を高めることにより、車両を内側に曲げる力を強められる。

JC08モード燃費はグレードによって異なる。ハイブリッドの場合、最も燃費の高い標準仕様の2WDは「27km/L」だが、4WDのX・Lパッケージはタイヤサイズも17インチになって「21.6km/L」に下がる。

1.5リッターのノーマルエンジンは2WDなら「19.2km/L」~「20.6km/L」、Gの4WDでも「19km/L」だから、上級グレードを選べばハイブリッドでも燃費性能にあまり差は生じない。システム最高出力が152psまで高まる半面、燃料の消費量も相応に増えるわけだ。

ライバル車も含め、SUVがちょっとしたブームになりそう

ホンダ ヴェゼル

装備では「あんしんパッケージ」に注目。フィットなどにも採用されているが、赤外線レーザーを使った衝突回避の支援機能を備えている。サイド&カーテンエアバッグを含めてオプション価格は僅か6万円と、少ない出費で高い安全性を得られるのでおススメしたい。

ヴェゼルのグレード構成は、「G」「X」「S」の3グレードがノーマルエンジンで、4WDは「G」にのみ設定されている。つまり、2WD中心の構成だ。

ヴェゼルハイブリッドについては、「標準仕様」「X」「X・Lパッケージ」の3グレードで、それぞれに2WDと4WDが設けられている。

ホンダ ヴェゼルホンダ ヴェゼル

ノーマルエンジンとハイブリッドとの価格差は約34万円。フィットの場合は1.3リッターとの比較で実質27万円、1.5リッターとの比較なら実質15万円程度だが(いずれも装備の違いを補正した価格)、ヴェゼルではハイブリッドも直噴式になるため、ハイブリッドの価格上乗せは大きめだ。

2WDと4WDの価格差については、装備の違いを補正するとハイブリッドが約16万円、ノーマルエンジンは18万円ほど4WDが高い。4WDの相場は18~20万円なので、ヴェゼルハイブリッドでは4WDを選ぶ価値がありそうだ。額面上は20万円以上の差額になっても、4WDにはコンフォートビューパッケージなどが標準装着されている。

グレード間の装備と価格の違いを照合すると、ヴェゼルでは上級グレードになる程、割安だ。例えば2WDの「ハイブリッド(標準仕様)」と「ハイブリッドX」を比べると価格差は16万円だが、プラスされる装備はあんしんパッケージ(オプション価格は6万円)、LEDヘッドライト(フィットのオプション価格は6万5,000円)、LEDポジションランプ、フォグランプなど、総額22万円相当に達する。

ホンダ ヴェゼルホンダ ヴェゼル

さらに、「ハイブリッドZ」になると「ハイブリッドX」に対する価格上昇は15万円だが、アルミパッケージ(オプション価格は8万4,000円)、コンビシート&専用インテリア、ラゲッジルームハードボードなど、21万円相当の装備を加えている。もっとも、実用性を考えると、ノーマルエンジンなら「X」(2WD:201万円)、ハイブリッドも同様に「X」(2WD:235万円/4WD:256万円)がお買い得だ。

そして、付加価値を求めないならばノーマルエンジンの「X(2WD)」で十分だろう。ハイブリッドを選ぶなら、走行安定性が向上して機敏な運転感覚も得られる「ハイブリッドX(4WD)」にすると良い。

「ハイブリッドX(4WD)」の車両価格は256万円だから、先ごろ発表された「日産 エクストレイル」の「20X エマージェンシーブレーキパッケージ(4WD:252万7350円/2列シート)」に近い設定。広い室内を得られるエクストレイルか、付加価値の高いヴェゼルのハイブリッドか、という選び方になる。また、価格が少し高まるが、スバル「XV ハイブリッド」の「2.0i-Lアイサイト(278万2,500円)」もライバル車に含めて良いだろう。

マツダ「CX-5」や「XV」の人気が高く、「エクストレイル」、トヨタ「ハリアー」もフルモデルチェンジを受けた。さらにヴェゼルが登場したことで、SUVがちょっとしたブームになりそうだ。

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過去を振り返れば、この15年ほどの間日本車にはブームがなく、売れ筋は実用指向の軽自動車/コンパクトカー/ミニバンで硬直化していた。来年以降は、この流れが少し変わるかも知れない。

2014年4月には消費増税があるが、SUVの好調な売れ行きは、国内販売にとって追い風となるはず。この需要を絶やさないためには、地道に商品改良を行い、大切に売って行くことが求められる。SUVは実用指向の軽自動車やコンパクトカーほど生命力が強くないから、油断をすれば売れ行きが下がる。2014年はSUVを発端に、クルマの世界が楽しくなる年であって欲しい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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