[アルファード vs 新型オデッセイ 比較]アルファード 大ヒットの要因は“わかりやすさ”にあり! オデッセイの優れた乗降性や安定感、低燃費は乗ってみないと実感しづらい

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:和田 清志・木村 博道・森山 良雄・Honda
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2020年度、月平均で9000台近くを売り大ヒットとなったトヨタ アルファードに対抗すべく、ホンダは2020年11月に高級ミニバン「オデッセイ」をマイナーチェンジし、大幅なリニューアルを図った。

かつて全盛期にはアルファード同様に月1万台規模を売っていたこともあるオデッセイとアルファードを比べてみた。そもそも全高1850mmのアルファードと全高1700mmのオデッセイでは、素性に大きな違いがある。実際に乗り比べてみて再確認したオデッセイ独自の低重心設計がユーザーへもたらす利点について、カーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が解説する。

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目次[開く][閉じる]
  1. アルファードは月平均9000台を売る驚異の大人気ぶり! かつては同様に売れていたオデッセイも、今は月1000台規模に
  2. よっこいしょ! 段差を超えて乗り込むアルファードと、スッと乗り降り出来るオデッセイの違いは大きい
  3. 3列目を多用するならオデッセイに注目! アルファードよりもシートの性能は優れている
  4. 安心なのはどっち!? 床も背も高いアルファードと床が断トツに低い新型オデッセイ、圧倒的にオデッセイの勝利だった
  5. 乗り心地の面ではアルファード有利! ただし燃費では新型オデッセイの圧勝だった!
  6. 機能を優先し実利をとったオデッセイと、見た目の派手さやわかりやすさを選んだアルファード

アルファードは月平均9000台を売る驚異の大人気ぶり! かつては同様に売れていたオデッセイも、今は月1000台規模に

広い室内を備えた実用的なミニバンは、今でも売れ筋カテゴリーだ。国内で新車として売られる小型/普通車の内、20%以上をミニバンが占める。セダンは10%少々まで下がったが、ミニバンには今でも勢いがある。

ミニバンの中でも知名度の高い車種がホンダ オデッセイだ。

初代モデルはミニバンが普及を開始する直前の1994年に発売され、新鮮さも伴って、1995年には1か月平均で1万台以上が登録された。今のホンダ フィットよりも多く売られていた。

ところがその後に売れ行きが下がり、2013年に発売された現行型の5代目オデッセイは、2020年度(2020年4月から2021年3月)の登録台数が1か月平均で995台であった。コロナ禍の影響も受けたが、25年前に比べてわずか10%程度の売れ行きだ。

一方、ライバル車のトヨタ アルファードは、トヨタの全店が全車を売る体制に変更された影響もあって売れ行きを伸ばした。姉妹車となるヴェルファイアの需要も吸収して、2020年度の1か月平均は8882台だ。25年前のオデッセイに近い。

この格差は一体何か? 2020年11月にマイナーチェンジを受けた新型オデッセイに改めて試乗すると、意外にもアルファードよりも優れた機能が多く見えてきた。

よっこいしょ! 段差を超えて乗り込むアルファードと、スッと乗り降り出来るオデッセイの違いは大きい

マイナーチェンジを受けたホンダ 新型オデッセイは、フロントマスクが現行インサイトや新型ヴェゼルに通じる存在感の強い形状になった。全長:4855mm、全幅:1820mm、全高1695mm(2WD)とされ、マイナーチェンジ前に比べると全長は15mm伸びた。

試乗すべく新型オデッセイのドアを開けると、改めて床が低いことに感心する。

床面を3列目まで平らに仕上げたミニバンは、床がデコボコしているセダンやワゴンに比べるとどうしても位置が高まる傾向にあるが、現行オデッセイは徹底的に低く抑えた低床設計とした。

新型オデッセイの床面地上高は約350mmだから、アルファードよりも100mm近く低い。

アルファードは床が高いから、サイドステップ(小さな階段)を介して乗り降りするが、オデッセイでは足が直接床に届く。特に小さな子供や足腰の弱ったご老人にとってこの差は大きい。乗降性は新型オデッセイの圧勝だ。

3列目を多用するならオデッセイに注目! アルファードよりもシートの性能は優れている

そしてホンダ 新型オデッセイの低床設計は、乗降性だけでなく、内装(居住性)、走行安定性、燃費など、さまざまな機能を向上させた。

まず居住性では、3列目シートに注目したい。

意外!? 3列目シートの座り心地はオデッセイの圧勝だった!

アルファードの3列目シートは、オデッセイに比べて頭上と足元の空間は広いが、座り心地自体は悪い。格納する際には左右に跳ね上げるタイプのため、シート自体が薄手で、座った時に底突き感も生じる。そのうえ床が高い(着座位置が低い)から、床と座面の間隔も不足気味で、足を前方に投げ出す座り方になってしまう。

その点で新型オデッセイは、アルファードに比べ頭上や足元の空間こそ狭めだが、床と座面の間隔は相応に確保されて着座姿勢に不満はない。

座面の柔軟性も不足しておらず、アルファードの3列目よりも快適だ。3列目を床下格納にしたこともあり、座り心地を向上できた。従って5名以上で快適に移動したいなら、新型オデッセイを推奨する。

マイナーチェンジで質感や機能を向上させた新型オデッセイだが、改善の余地もあり

インパネなど内装の質は今でもアルファードが高いが、オデッセイも2020年11月のマイナーチェンジで改善した。水平基調になって見栄えは良い。

ただし助手席前側の高い位置に装着された収納設備は、開閉すると安っぽい音を発する。このあたりの造り込みはアルファードに比べて改善の余地を残す。

オデッセイの電動スライドドアは、2020年11月のマイナーチェンジ時に新たな機能「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」を盛り込んだ。これは、ウィンドウ部分の流れる光に手をかざし左右に動かすと開閉する機能だ。

しかし大切なのは、両手で子供を抱えたり荷物を持っている時の操作性だ。試しに、両手に荷物を抱えた状態を想定し、手ではなくひじをかざして開けてみようとしてみたが、上手く操作出来なかった。派手な演出よりも、実際の使い勝手を向上させて欲しい。

安心なのはどっち!? 床も背も高いアルファードと床が断トツに低い新型オデッセイ、圧倒的にオデッセイの勝利だった

冒頭で、ホンダ 新型オデッセイは床が低い設計だとお伝えした。そのメリットは乗降性の良さ以外にもまだまだある。

新型オデッセイの室内高は1300mm以上を確保しながら、全高は1700mmを下まわる(2WDモデル)。トヨタ アルファードの全高は1935~1950mmなので、オデッセイは250mm前後も低く抑えた。この差は、車両重量2トン前後と重たいミニバンの基本的な素性として、大きな違いを及ぼす。

「走行安定性」とは、何もスポーツ走行や高速領域だけのことではない

まず天井と床が下がると、低重心になって走行安定性が向上する。「走行安定性」と聞くとスポーツカーのような機敏な走りを想像し、ミニバンとは縁のない話だと想われるかもしれないが、決してそうではない。

例えば不意に障害物を避けるために急いで車線を変える時、オデッセイはミニバンとしては機敏な動きを見せる。車両の向きを変えやすく、なおかつ危険回避後の後輪の接地性も高いから、安定性を損ないにくい。

同様にオデッセイは、下りカーブでのブレーキングなど、車両が不安定になりやすい場面でも安定している。危険回避性能はSUVやワゴンに近い。峠道でも曲がりにくさを感じさせず、ミニバンに似合わないスポーティな運転も行える。

もちろん負荷の少ない状態でも、走行安定性の高い新型オデッセイは、運転していて安心感を生む。

重心が高いアルファードは、安定性を増すため操舵感が鈍い

その点でアルファードは背も床も高く、物理的に全体の重心が高くなるから、ふらつきやすくなる素性がある。走行安定性を確保するために、操舵感を鈍く抑えた。後輪はしっかりと接地しているから、万が一の危険回避の際にも不安定な状態には陥りにくいが、この影響で車両の向きを機敏に変えるのは苦手だ。危険回避でいえば、最初の回避操作で曲がりにくさ、つまり回避の難しさが生じる。もちろん、峠道も走りにくい。

乗り心地の面ではアルファード有利! ただし燃費では新型オデッセイの圧勝だった!

対して、乗り心地を比べてみると、ホンダ 新型オデッセイに比べトヨタ アルファードのほうが柔軟だ。

今回試乗したホンダ 新型オデッセイのテスト車両はハイブリッドの最上級グレード「e:HEV アブソルート EX」。18インチタイヤを装着したこともあり硬めだった。ただしアルファードに比べてカーブを曲がった後の揺り返しは小さい。引き締まり感が伴うので、オデッセイの乗り心地を好むユーザーもいるだろう。

2モーター式ハイブリリッドシステム「e:HEV」の直列4気筒 2リッターエンジンは、主に発電機を作動させ、その電力を使ってモーターを駆動するために稼働している。

従って加減速の仕方はEV(電気自動車)に近く、機敏に反応する。ただし登坂路など負荷の大きなシーンでアクセルペダルを深く踏むと、エンジンノイズが大幅に増す。新型オデッセイ e:HEV アブソルート EXの車両重量が1930kgと重く、発電機を活発に作動させるからだ。

この時にはエンジン回転が先行して高まり、この後を追いかけるように速度が上昇するから、アクセルを踏み込む感覚とのズレが生じ、違和感も覚える。その点でトヨタ アルファードのハイブリッド車はノイズを徹底的に抑えたから洗練されており、オデッセイよりも勝っている。

燃費を比較! 車体の重たいアルファードよりも、低重心で軽い新型オデッセイが優秀だった

いっぽう、ハイブリッド車で最も気になる燃費性能では、ホンダ 新型オデッセイが優れている。

ホンダ 新型オデッセイ e:HEV アブソルート EXのカタログ燃費(WLTCモード燃費)は19.8km/L。これに対し、トヨタ アルファード ハイブリッド(E-Four:4WD)は14.8km/Lに留まる。

アルファードは後輪をモーターで駆動する4WDを備えるから、2WDのオデッセイに比べて不利な面もあるが、カタログ燃費の差はそれ以上だ。燃費性能は、全高の違いに基づく車両重量や空気抵抗の違いも影響する。天井の低いオデッセイは、燃費でも有利になるのだ。

機能を優先し実利をとったオデッセイと、見た目の派手さやわかりやすさを選んだアルファード

アルファードは2015年に現行型(3代目)へフルモデルチェンジをした際にプラットフォーム(車台)を刷新したから、ホンダ 新型オデッセイのように床を低く抑えて、乗降性、居住性、走行安定性などを大幅に向上させることも可能だった。しかし敢えてそれを行っていない。

床と天井を高くすることで、外観の存在感を強め、車内からの見晴らし感覚を保つためだ。

つまりアルファードはユーザーの感覚的な好みを重視して開発を行った。それに対し現行型のホンダ オデッセイは、機能を優先させ低床設計とした。その結果として、販売面ではアルファードの圧勝となった。ユーザーにとっては、アルファードのほうが魅力が伝わりやすかったのだ。

しかしここまでご紹介してきた通り、ホンダ 新型オデッセイの機能には独特の良さがある。

アルファード購入を検討するなら、新型オデッセイも併せて試乗してみると違いが明確にわかる

2台は価格も異なる。トヨタ アルファード ハイブリッドの売れ筋価格帯は500~600万円だが、新型オデッセイ e:HEVであれば430~460万円だ。また2.4リッターのノーマルガソリンエンジン車のオデッセイなら、350~380万円が売れ筋になる。

高級ミニバン購入を検討する時は、アルファード以外に新型オデッセイにも試乗し、違いを確かめてみると良い。より間違いのない買い方ができるだろう。

[筆者:渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/撮影:和田 清志・木村 博道・森山 良雄・Honda]

ホンダ/オデッセイ
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新車価格:
349.5万円458万円
中古価格:
20.6万円512.9万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集主幹)

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