国産コンパクトクロスオーバー徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
副変速機付きCVTの恩恵
ジュークの最大の特徴は、この奇抜なデザインだ。
ボディサイズは4,135mm×1,765mm×1,565mmとコンパクト。2,530mmのショートホイールベースながらワイドトレッドで、背が高く、タイヤサイズは大きめという、ある意味で異端だ。
マーチなど小型車向けのBプラットフォームをベースとするため、下の2モデルはリアが独立懸架だが、ジュークはトーションビームとなっているものの、部分的にセレナなどのCプラットフォームの要素を採り入れ、ドライバビリティの確保も図っている。それでもバネ下の重さは払拭しきれておらず、多少バタつく印象もあるが、いたって軽快で、概ね不満のない仕上がりだ。
エンジンフィールにあまり特徴はなく、必要なトルクを的確に出す印象。これに対し、変速比幅の大きなCVTが柔軟性に富んだ変速制御を行なうことで、実際の排気量以上にパワフルだ。
大人しく走っていれば、エンジン回転数は常に1,000rpm+αと低く抑えられる。ただし、ややリニアさには欠け、変速比が常に動きすぎる印象もある。アクセルペダルをいかに最小の開度で加速させ、そこへ不満を感じさせないか、ズバリこの部分に注力してセッティングされたように思える。
エンジン特性は3段階の調整が可能で、「ノーマル」でも大きな不満はない。「スポーツ」にするとかなり中間加速が速くなり、逆に「エコ」にすると露骨なまでに出力を抑える設定ではあるが、総合的には3台中でもっとも不満のない動力性能に仕上がっている。
シャシーも専用チューニング
ベース車からの変更は足まわりにも手が加えられている。
ハッチバックをベースにSUVイメージの意匠とし、バンパーやグリル、サイドクラッディングなどを追加したことで、見ての通りの雰囲気に。
今回唯一、全車に標準でルーフレールが付き、またCピラーまで周り込んだ大型ルーフスポイラーの追加により、ショートワゴンのようなフォルムにも見える。これら専用エクステリアパーツの装着により、ボディサイズはベース車に対し15mm長く、30mmワイドで、45mm背が高くなり、 4430mm×1770mm×1520mmとなっているが、この車高であれば立体駐車場への入庫も問題ない。
クルマの雰囲気が変わったことで、最低地上高が上がったように見えるのだが、タイヤサイズや銘柄はベース車より変更はなく、155mmという最低地上高も変わらない。
ベース車との車両重量差は30kgで、シャシーについては、リアにスタビライザーを追加するとともに、ダンパーの減衰力を専用にチューニングしている。これもあって、持ち前の安定感やバランスのよさに加え、ベース車よりも軽快でスポーティなフットワークを手に入れている。その好フィーリングは、他の2台に比べてもアドバンテージといえる。
エンジンは、自然吸気の1.5リッターDOHCと、2リッターSOHCの2タイプ。トランスミッションは、1.5iでは5速MTも選べるが、ATは燃費面でも加速面でもやや不利な4速ATが組み合わされている。
撮影車両は81kW(110ps)を発生する1.5リッターのFFだが、少々ストレスを感じるほど加速感は大人しい。これにさらにエコモードがあり、より出力を抑える設定となっている。
最高出力103kW(140ps)の2.0リッター車となると、若干加速はよくなるが、500ccという排気量差からイメージするほど大きな差はない。
クラスを超えたまとまりのよい走り
ボディサイズは4,295mm×1,770mm×1,615mmと、数字を見るとコンパクトと予想できるが、実車を目の前にすると意外と大きく感じる。
外観では、三菱のアイデンティティとなったフロントマスクが印象的だ。また、上の2モデルがフェンダーや下端部などを敢えてウレタンとし、SUVイメージの演出として活かしているのに対し、RVRはフルカラードとしてオフロード色を払拭しているのが特徴的だ(海外仕様は違う)。カワセミブルーのように特徴的なボディカラーを新たに設定したこともユニークな試み。
ただし、補助ミラーがフェンダーに付くのは少々残念なところだ。
アウトランダーのプラットフォームを流用した走りについては、大径タイヤを履くもバタつく印象は小さく、クラスを超えた乗り心地のよさが印象的。
ステアリングフィールもスッキリとしており、スポーティな走りにも応えるなど、いたってまとまりがいい。
エンジンはMIVEC(連続可変バルブタイミング)を持つ1.8リッターのみで、最高出力102kW(139ps)6,000rpm、最大トルク 172Nm(17.5kgm)4,200rpmというスペック。これに6速スポーツモード付きCVTが組み合わされる。
CVTのオートモードでの変速制御は、ひとつのモードの中で、ECOモードとパワーモードを兼ね備えている印象。通常は燃費重視で、出足はスッと前に出るものの、それ以降のトルク感が薄い。
アクセルペダルを大きく踏み込めば加速重視モードに移行するのだが、肝心の実用域では少々ストレスを感じる。
マニュアルモードでは、ショックよりも変速レスポンスを重視した味付けとなっており、今回の中では唯一与えられたパドルシフトを操って、小気味よくシフトダウンすることができるのもポイントだ。
デザイン・スペックの総評
10・15モード燃費は、ジュークは19.0km/L、インプレッサは、AT車で1.5iの2WD車が15.0km/L、4WD車が14.2km/L、 2.0iの2WD車が14.4km/L、4WD車が14.0km/L。RVRは、2WDで10・15モード燃費15.2km/L、4WDで同15.0km /Lとなっており、ジュークが飛びぬけている。走りについては、プラットフォームでいうと、ジュークは下位車種からの発展形、インプレッサはベース車と共通、RVRは上位車種からの流用ということで、余力のあるRVRが、実際の仕上がり具合においても、もっとも無難にまとまっていると思われる。
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