マツダ 新型CX-8 vs CX-5 違いを徹底比較!|マツダの上級SUV、似すぎて区別がつかない2車種はどっちが買い!?(1/2)

マツダの上級SUV、CX-8(CX8)とCX-5(CX5)の違いを徹底比較!

マツダ CX-8(CX8)とは

マツダCX-8は、国産で数少ない3列シート7人乗りのLサイズSUV。CX-5の上級車種に位置付けられ、全長が4900mm、全幅が1840mmの大柄なボディを備える。外観はCX-5と同様の"魂動デザイン"で仕上げられ、ボンネットを長く見せてスポーティに仕上げた。

一番の特徴は、長いボディを生かして3列のシートを備えることだ。ミニバンのように多人数の乗車が行えて、3列目を前側に倒すと荷室が広がりCX-5よりも積載性が優れる。

2列目のシートにも特徴があり、CX-5と同様のベンチタイプ(7人乗り)に加えて、セパレートタイプ(6人乗り)も用意した。最上級のXD・Lパッケージでは、2列目の中央にもアームレスト付きコンソールボックスが装着されて快適性を高めた。

エンジンは直列4気筒2.2リッターのクリーンディーゼルターボのみを搭載する。CX-5の同タイプに比べて改善が図られ、動力性能を向上させた。

>>マツダ CX-8のカタログはこちら

マツダ CX-5とは

マツダ車の中でも、特に人気の高い車種がミドルサイズSUVのCX-5だ。2017年2月2日に発売され、同年1~8月の販売累計を見ると、マツダ車ではデミオに次いで2位の売れ行きになる。

外観は"魂動デザイン"で仕上げられ、スポーティな雰囲気を感じさせる。ボディサイズは、全長が4545mm、全幅はCX-8と同じ1840mmだ。

エンジンは直列4気筒で、2リッターと2.5リッターのガソリン、2.2リッターのクリーンディーゼルターボを用意した。ディーゼルは実用回転域の駆動力が高く、軽油価格の安さもあって燃料代は安く抑えられ、人気のエンジンとされている。

設計が比較的新しいために緊急自動ブレーキや運転支援の機能も充実しており、注目度の高いSUVとなった。

>>マツダ CX-5のカタログはこちら

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マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|ボディサイズ・エクステリアデザイン比較

外観は両車ともに"魂動デザイン"に基づくから似通っているが、比較すれば違いは明らかだ。まずフロントマスクはCX-5がスポーティなメッシュ状なのに対して、CX-8は左右方向にスリットを配置してシルバーの装飾を加えた。上級車種らしい落ち着いた雰囲気を感じる。

ボディサイズは、CX-8がCX-5に比べると355mm長く、全幅は同じで、全高は40mm高い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)もCX-5は2700mm、CX-8は2930mmだから230mm長い。

この寸法の違いにより、ピラー(柱)の形状などは似ているものの、ボディを側面から見た時の印象は異なる。CX-5は引き締まり感が伴ってSUVらしさが濃厚だが、CX-8はボディが長いためにワゴン風で伸びやかだ。全高は前述のようにCX-8が40mm上まわるが、視覚的にはCX-5よりも背が低く見える。

CX-8の伸びやかな外観は、3列のシートを備えた広い室内空間と快適な居住性、上質な内装、長いホイールベースによる優れた乗り心地などを表現したものでもあるだろう。

●勝者:CX-8(CX8)

マツダ CXシリーズのボディサイズ比較
車種名CX-8CX-5

全長

4,900mm

4,545mm

全幅(車幅)

1,840mm

1,840mm

全高(車高)

1,730mm

1,690mm

ホイールベース

2,930mm

2,700mm

乗車定員

7人

5人

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|視界と取りまわし性

CX-8はCX-5に比べると全長とホイールベースが長く、外観の見栄えが上質に感じる。その代わり取りまわし性はCX-5が勝る。最小回転半径は、CX-5は5.5mだが、CX-8は5.8mと大回りだ。

CX-5を含めて、全長が4700mm以下のSUVから4900mmのCX-8に乗り替える時は、縦列駐車や車庫入れなどを試しておくと安心だ。

●勝者:CX-5

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|インテリアデザイン比較

インパネ周辺の基本的なデザインは両車ともに共通だ。しかし上質感に影響する部分には差を付けた。運転席の周辺では、センターアームレストを備えたコンソールボックスの形状が異なる。ボックスのフタは、CX-5では後ろ側にヒンジを装着して前後に開くが、CX-8では左右方向に観音開きで開閉する形状とした。

またATレバーが収まる部分のパネルは、CX-8では全面が光沢のあるブラックで(CX-5は前側のみ)、シルバーの縁取りも施した。

助手席の前側に装着された装飾パネルも異なり、CX-8の最上級に位置するXD・Lパッケージでは、本物の木を素材とする本杢パネルを採用する。

CX-8のXD・Lパッケージでは、シート生地も本革のナッパレザーに上級化され、CX-5の同グレードに採用される吸音性を備えたパーフォレーションレザーよりも上質だ。

2列目のシートは、CX-8が7人乗りになるとセパレートタイプになって形状が大幅に変わる。XDとXDプロアクティブでは中央側にアームレストが装着され、左右シートの間に空間があるから2/3列目を移動しやすい。3列目の乗員が後席側のドアから乗り降りする時も便利だ。

またCX-8のXD・Lパッケージでは、2列目の中央にも1列目と同様のアームレスト付きコンソールボックスが備わる。2/3列目の移動はしにくいが、豪華な雰囲気を盛り上げる。

CX-8の価格は、売れ筋になるXDプロアクティブが353万7000円、本革や本杢を使うXD・Lパッケージは395万8200円(価格は両タイプともに前輪駆動の2WD)に達する。SUVの中でも価格が高いので、内装の質を向上させることは不可欠だ。

またCX-5に比べると、CX-8は装備の違いを補正しても実質的に37万円高い。フロントマスクのグリル形状なども含めて、CX-5とは違う高級感の表現をもう少し強めたい。

特に2列目のアームレスト付きコンソールボックスは、CX-8の象徴的な装備になる。XD・Lパッケージ専用にしないで、ほかのグレードでもオプション装着できるようにすべきだ。

●勝者:CX-8(CX8)

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|居住性と乗り心地比較

居住性は1列目のシートは同等だが2列目で差が付く。CX-8はCX-5に用意されない2列目の前後スライド機能を採用した。身長170cmの大人4名が乗車してCX-8の2列目を後端までスライドさせると、膝先空間は握りコブシ3つ弱に達する。CX-5は握りコブシ2つ分だから、CX-8であれば足を前方に伸ばしても余裕がある。

シートのサイズと座り心地は両車ともに同等だが、CX-8の2列目がセパレートタイプなら、中央寄りにアームレストも備わるから一層リラックスできる。

CX-8のみに装着される3列目のシートは、1/2列目に比べるとサイズが小さく、着座姿勢も膝が持ち上がって大腿部が座面から離れてしまう。3列目の床下には燃料タンクがあり、1/2列目に比べると床の位置が高いためだ。座り心地はSUVの3列目としては快適だが、1/2列目に比べると柔軟性が乏しい。

そして2列目を後端までスライドさせた状態では、3列目の足元空間が狭まって大人が座れない。2列目を前述の測り方で膝先空間が握りコブシ2つ分になるまで前に寄せると、3列目にも握りコブシ1つ半程度の余裕ができる。それでも大人が多人数で移動できるのは、片道1時間程度だ。

つまりCX-8をミニバンのように使うには無理があり、多人数乗車はCX-8にとって副次的なメリットになる。最も注目されるのは、2列目の快適性、豪華な内装、長いホイールベースによる快適な乗り心地だ。

●勝者:CX-8(CX8)

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|荷室の容量と使い勝手

CX-8の3列目を畳み、なおかつ2列目の足元空間をCX-5と同等に調節すれば、CX-8の荷室奥行寸法はCX-5を250mmほど上まわる。CX-5の荷室容量は505Lだが、CX-8で3列目を畳むと572Lだから比率に換算すれば113%だ。

CX-8の荷室容量はLサイズのステーションワゴンと同程度だから、ゴルフバッグやスーツケースを積む時の使い勝手が良い。

さらに2列目の背もたれも前方に倒すと、CX-8ではフラットで広い床面になる。この荷室空間を重視するなら、2列目はベンチタイプを選びたい。セパレートタイプでは中央が抜けてしまうからだ。XD・Lパッケージも2列目の中央にアームレスト付きコンソールボックスが備わるので、荷室に変更した時にはこの部分が持ち上がる。後席を畳んだ時の荷室容量を重視して、CX-8を選ぶ手もあるだろう。

●勝者:CX-8(CX8)

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|動力性能

CX-8のエンジンは2.2リッターのクリーンディーゼルターボのみ。CX-5と基本的には同じエンジンだが改善を受けた。CX-5のディーゼルは最高出力が175馬力(4500回転)、最大トルクが42.8kg-m(2000回転)だが、CX-8は190馬力(4500回転)/45.9kg-m(2000回転)に向上する。

ただしCX-8はボディも重い。XDプロアクティブの2WD/6人乗り/19インチタイヤ装着車は1810kgで、CX-5の同等の仕様が1620kgだから190kg上まわる。最終減速比に一部差はあるが(CX-8はCX-5と違って2WDを燃費向上のためのハイギヤードにしていない)、加速力で有利なのはCX-5だ。

CX-8で注目されるのは牽引能力を備えること。750kg以下のキャンピングトレーラーやボートなどを牽引できる。CX-8はCX-5のロング版といえるが、実際の開発では北米で売られるCX-9の幅を狭めた仕様だから、牽引能力が備わった。日本では仕事で使うクルマを除くと牽引のニーズは低いが、付加価値にはなる。

●勝者:CX-5

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|燃費性能

CX-8のJC08モード燃費は、2WDが17.6km/L、4WDが17.0km/L。CX-5は18km/L・17.2km/Lだから、0.2~0.4km/Lほど優れている。前述のようにCX-8のエンジンは改良を加えられて燃焼効率を高めたが、それ以上にボディが重く、燃費数値はCX-5を下まわった。

ちなみにCX-8の動力性能はターボを装着しない自然吸気のガソリンエンジンに当てはめると4リッター並みだが、燃料代は1.5リッタークラスのSUV、あるいはLサイズSUVのハイブリッドと同等だ。ディーゼルは燃費効率がきわめて高い。

その代わり高回転域の吹き上がりが鈍く、ガソリンエンジンに比べるとノイズも大きい。マツダのディーゼルはガソリンエンジンにきわめて近く、快適性は高いが、ディーゼルに慣れないユーザーは違和感が生じる場合がある。販売店の試乗車を乗り比べて判断したい。

●勝者:CX-5

マツダ CX-8(CX8) モード別燃費一覧
駆動方式2WD4WD

JC08モード燃費

17.6km/L

17.0km/L

WLTCモード燃費

平均

15.8km/L

15.4km/L

市街地モード

12.7km/L

12.5km/L

郊外モード

15.7km/L

15.3km/L

高速道路モード

18.0km/L

17.5km/L

CX-5のJC08モード燃費と実燃費
マツダ CX-5
XD L Package

JC08モード燃費

18.0km/L

平均実燃費

17.1km/L

市街地・街乗り実燃費

14.4km/L

郊外路実燃費

15.6km/L

高速道路実燃費

22.3km/L

>>【燃費】新型CX-5 (CX5)ディーゼルの実燃費は極めて良好!旧型の燃費とも徹底比較!

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|安全装備

事故を避ける安全装備は基本的に共通だ。単眼カメラをセンサーに使うアドバンスドスマートシティブレーキサポートは、時速80km以下で走行中に歩行者や車両に接触する危険が生じると、警報を発して緊急自動ブレーキも作動させる。

ミリ波レーダーを使ったスマートブレーキサポートも用意され、高速域で走行中に車両と衝突する危険を検知すると、警報と緊急自動ブレーキを作動させる。

これらの機能を使って車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御するレーンキープアシストも採用した。

設定が異なるのは、歩行者と衝突した時に瞬時にボンネットを持ち上げて被害を軽減させるアクティブボンネットで、この機能はCX-8のみに装着される。

●勝者:CX-8(CX8)

マツダ CX-8(CX8) vs CX-5|快適装備&グレードの価格比較

基本的な装備内容は両車ともほぼ同じだ。推奨度の高い買い得グレードはXDプロアクティブで、必要な安全装備をオプションで加えたい。2WDの価格はCX-5が300万2400円、CX-8は353万7000円になる。

この金額だけを見るとCX-8は約53万円高いが、運転席と助手席の電動調節機能、アクティブボンネットなども装着されることを考えると、ボディを拡大させて3列目のシートを装着した対価は実質的に37万円くらいだ。荷室に3列目を加えるだけなら、通常は7~15万円の価格上昇だが、CX-8では全長やホイールベースも拡大するから価格の上乗せが大きくなる。

それでもCX-8の3列目は補助席に近いので、機能と価格のバランスを考えるとCX-5が割安になる。

なおCX-8で2列目シートのアームレスト付きコンソールボックスを装着したい場合は、必然的に最上級のXD・Lパッケージを選ぶことになる。従ってCX-8は価格が高まりやすい。

●勝者:CX-5

マツダ 新型CX-8(CX8) グレード別価格一覧
グレード駆動方式価格(税込み)

XD

2WD

3,196,800円

4WD

3,429,000円

XD PROACTIVE

2WD

3,537,000円

4WD

3,769,200円

XD L Package

2WD

3,958,200円

4WD

4,190,400円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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