アルトワークス/キャストスポーツ/S660を徹底比較 ~軽自動車でスポーティな走りを楽しむ~(4/4)

アルトワークス/キャストスポーツ/S660を徹底比較 ~軽自動車でスポーティな走りを楽しむ~
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今のクルマでは珍しいトガったスポーツモデル

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アルトワークスは車両重量が670kg(2WD/5速MT)だから、車両重量がライバル2車に比べて160~180kg軽い。

そのために加速は機敏だ。エンジンの性格にも粘りがあり、低回転域でも2000回転を少し上まわるとターボが過給を開始する。6000回転を超える領域まで吹き上がり(タコメーターのレッドゾーンは7000回転以上)、元気の良い走りを満喫できる。

ボディが軽いから操舵感も軽快だ。特に剛性感が高かったり正確なわけではないが、車両が内側へ確実に回り込む。

前後輪のグリップバランスも良く、アルトターボRSに比べると旋回軌跡を拡大させにくい。後輪の接地性が相応に高いから不安はなく、車両との一体感も抱きやすい。

ただし乗り心地は硬い。市街地では細かなデコボコを伝えやすく、なおかつ常に上下に揺すられる印象だ。エンジンノイズも大きめで、やや粗い音質が響く。

乗り心地やノイズまで含めて、機能的なバランスを重視するなら、アルトターボRSを選ぶべきだろう。アルトワークスはチューニングカー的なスポーツ指向を強め、動力性能を高めたエンジンと相まって、運転感覚は良くいえば刺激的、悪くいえば少し荒っぽい。

そうなると走行安定性も崩れそうだが、前述のようにボディが軽いから、挙動の乱れが拡大しにくい。軽さが結果的に走りを破綻なく整えている。

車両価格は5速MT/5速AGSともに150万9840円。アルトシリーズとしては高めだが、走行性能を考えれば納得できる。レカロ製シートの違和感と、乗り心地の硬さに不満がなければ、楽しくて面白いクルマだ。契約してから納車されるまでの納期は1か月少々だから購入しやすい。

今のクルマでは珍しく、トガったところがある。この持ち味を排気量の大きなクルマに与えると危険も伴うが、アルトワークスのサイズと動力性能であれば不安はない。これも軽自動車のスポーツモデルが備える特徴だ。

>>スズキ アルトワークスの写真を見る(走行シーン)

全般的に快適性を重視するが運転感覚はタイヤの性格で変わる

ダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツ

キャストスポーツの動力性能は、アルトワークスに比べて大人しい。ターボを備えたエンジンだから力不足はないが、際立って力強いと感じるほどでもない。850kg(2WD)の車両重量に見合う性能だ。

エンジンの性格として、低回転域の駆動力が若干弱い。2500回転以下で加速が鈍く感じる。CVTにはパドルで操作する7速の疑似変速モードを設けたが、有段式のATやMTではないからメリハリに欠ける。

登坂路などではエンジン回転を常に高められるBレンジにシフトしたいが、疑似変速が可能なキャストスポーツのATでは、キャストアクティバ/スタイルと違ってBレンジがない。Sレンジか、疑似変速のMレンジに限られるため、やや使いにくい場面がある。

Bレンジは長時間にわたって使うとCVTが過熱することもあって注意が必要だが、峠道などでは利用価値が高い。キャストスポーツにも欲しいところだ。

2WDが装着するタイヤは16インチ(165/50R16)で、標準装着される銘柄はヨコハマ・アドバンA10。これをサイズを変えずに、専用アルミホイールとよりハイグリップなブリヂストン・ポテンザRE050Aに変更できるセットオプションの設定もある。

アドバン装着車では、運転感覚が安定指向になる。スポーツモデルとしては少し曲がりにくく、後輪の接地性が勝る印象だ。直進安定性は優れるが、峠道向きではない。

一方、ポテンザ装着車は、アドバンに比べて車両の向きを変えやすい。その分だけ相対的に後輪の接地性は下がるが、旋回時にグリップが抜けるような面はなく、アドバン装着車よりも走りのバランスは良い。

その分だけポテンザ装着車は、タイヤが路上を転がる時に発するノイズが大きめで、乗り心地も若干硬い。とはいえアドバンの快適性が大幅に勝るわけではないから、スポーティな走りを好むならポテンザを装着したい。

アドバンは峠道を走る機会が少なく、バイパスや高速道路における直進安定性と快適性を重視したいユーザーに適する。

このあたりはこだわりを感じさせる設定だが、ディーラーの試乗車は、大半がアドバンを履いている。せっかく2つの個性を設けたのだから、乗り比べて選べるようにして欲しい。

なお価格は2WDが162万円。やや高めの設定だが、居住性が優れ、内装の質も高い。納期は1.5か月程度である。

>>ダイハツ キャストスポーツの写真を見る(走行シーン)

軽スポーツの限界に挑んだコーナリング性能

ホンダ S660ホンダ S660

S660のエンジンは比較的低い回転域から過給効果を発揮して扱いやすい。約1800回転から過給が開始される印象だ。従って走行中は常にターボの効果が得られる。

高回転域の吹き上がりも良く、車両重量は830kg(6速MT)になるものの、動力性能は申し分ない。

これも運転する楽しさだが、音質は3気筒とあって少し粗い。チューニングする余地があるだろう。

走行性能で注目されるのはコーナリングだ。低重心のミッドシップとあって、ライバル2車とは次元が違う。4輪がしっかりと接地して、かなり高い速度域まで挙動を乱さずに回り込む。

VSA(横滑り防止装置)にはカットするスイッチが装着されないが、納得のできるところだ。コーナーで追い込んでいくと高速に達するので、この状況で不用意な操作をすれば、修正が難しい状態に陥るだろう。そこを懸念して、VSAが常にスタンバイしている。

操舵感も機敏で、S字カーブなどでは素早く向きを変える。このあたりはS660ならではの楽しさだ。2シーターのスポーツカーとあって実用性は低いが、運転感覚と走行性能は突出している。

価格は6速MT/CVTともに、βが198万円、αは218万円だ。軽自動車では高価格だが、走行性能を考えれば納得できる。注意したいのはむしろ納期で、今でも6~7か月を要する。

軽自動車はボディがコンパクトだから、狭く曲がりくねった峠道でも車線の枠内で「アウト・イン・アウト」のライン取りが行えて、スポーツ走行の気分も盛り上がる。

この限界に挑んだのがS660で、適度な実用性と割安な価格を兼ね備えるのがアルトワークス。ファミリーカーとして使える居住性や積載性まで併せ持つのがキャストスポーツだ。

スポーツモデルだけを取り上げても、軽自動車の世界はとても奥が深い。

>>ホンダ S660の写真を見る(走行シーン)

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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