アルトワークス/キャストスポーツ/S660を徹底比較 ~軽自動車でスポーティな走りを楽しむ~(2/4)

アルトワークス/キャストスポーツ/S660を徹底比較 ~軽自動車でスポーティな走りを楽しむ~
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軽量なボディに動力性能の高いエンジンを搭載

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スズキ アルトは低燃費と低価格が特徴の軽自動車だ。初代モデルは1979年に発売され、今では軽自動車の中でも長寿車種の部類に入る。

現行型の特徴は、プラットフォームの刷新によってボディが軽いこと。ターボを備えたアルトワークスでも車両重量は670kgに収まり、軽自動車の中でも特に軽量だ。

車両を開発する際に、必要とされる衝突安全性や居住性を確保してボディをなるべく軽く造れば、動力性能、走行安定性、燃費など、数多くの機能をバランス良く向上できる。

特に峠道を走る時などは、車両の向きが軽快に変わって都合が良い。挙動が乱れた時の対処も容易で、例えば旋回軌跡が拡大しそうになった時でも、アクセルペダルを少し戻せば挙動の乱れを穏やかに抑えられる。

中高年齢層の読者諸兄の中には、「昔の小さなクルマで峠道を走ると、運転がとても楽しかった」と記憶している方が少なくないと思う。それはボディが軽かったからだ。

アルトワークスのボディサイズは、軽自動車とあって全長が3395mm、全幅は1475mmでほかの車種と共通だ。

全高は1500mmだから立体駐車場を使いやすい。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2460mmで、軽自動車の中でも長い部類に入る。そのために現行アルトでは、タイヤがボディの四隅に踏ん張って見え、視覚的な安定感も高めた。

エンジンは直列3気筒の660ccターボで、最高出力は64馬力(6000回転)、最大トルクは10.2kg-m(3000回転)。アルトワークスのエンジンは特別なチューニングを受けて、ほかのスズキ車に比べて最大トルクが高い。トランスミッションは、5速MTと2ペダルの5速AGS(オートギアシフト)を選択できる。

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1車種で3つの個性を味わえるキャストに用意されたスポーツ派

ダイハツ キャストスポーツダイハツ キャストスポーツ

ダイハツ キャストはムーヴと基本部分を共通化した軽自動車だ。全高はキャストが30mm低く1600mmになるが、ほぼ同じサイズに収まる。後席のドアは横開き式で、タントのようなスライドドアは採用していない。

ムーヴの「着せ替え的」な商品を開発した理由は、以前に比べると軽自動車の売れ行きが増えて、ユーザーのニーズも多様化したからだ。個性的な車種を効率良くそろえるために、キャストは1車種に3つのシリーズを設定した。

内訳は今回取り上げるターボ専用車の「スポーツ」、外観をSUV風に変更して最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を30mm拡大した「アクティバ」、上質感を重視した都会的な「スタイル」の3つだ。

いずれもムーヴと違って実用指向の低価格グレードはなく、装備を充実させた中級以上のみだ。

キャストに想定されるライバル車を挙げると、キャストスポーツの相手はアルトワークスと同ターボRS、キャストアクティバはSUV感覚のスズキ ハスラー、キャストスタイルはスペシャルティカー的なホンダ N-ONEという具合だろう。

1車種で3つの個性をそろえるのは少し欲張り過ぎで、キャストとしての存在感が薄くなった。そのために販売台数は、3種類のボディをそろえた割には少なめだが、合理的な開発方法として注目される。

キャストスポーツの外観は、当然ながらスポーツ指向。エアロバンパーやボディサイドのストーンガードなどを備える。それでもヘッドランプは丸型で、アルトワークスやS660に比べると柔和な表情に仕上げた。

エンジンはターボのみで、最高出力は64馬力(6400回転)、最大トルクは9.4kg-m(3200回転)。この数値はムーヴカスタムRSなど、ほかのダイハツのターボ車と同じだ。トランスミッションはCVT(無段変速式AT)のみとなる。

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ミッドシップ方式を採用した生粋の軽スポーツ

ホンダ S660ホンダ S660

S660は軽自動車のサイズで開発された生粋のスポーツカーだ。後席を装着しないクーペボディで、エンジンはシートの後部に搭載する、いわゆるミッドシップ方式を採用した。

車両の中央に重量物となるエンジンが搭載されるため、前後輪の重量配分はバランスが良い。前輪側が45%、後輪側が55%で、カーブを曲がる時に慣性の影響を受けにくく、走行安定性を高めやすい。

しかもS660は全高が1180mmだから、マツダ ロードスターと比べて55mm、トヨタ 86やスバル BRZとの比較では140mm低い。軽自動車だから全幅は1475mmと狭いが、低重心によって走行安定性をカバーできる。

着座位置が極端に低いから、乗降性は悪いが、そこもまたS660の持ち味だろう。背が低く、グリルとヘッドランプの形状を横長にしたから、ボディが視覚的にワイドに見えることも特徴だ。

エンジンはNシリーズに幅広く使われるS07A型。ターボの装着により、最高出力は64馬力(6000回転)、最大トルクは10.6kg-m(2600回転)となる。この数値もN-BOXなどと同じで、S660が特別なチューニングを受けたわけではない。

ちなみにS660がミッドシップを採用したのは、このエンジンを搭載するためでもあった。S07A型は背の高いNシリーズに搭載することを目的に開発され(エンジンの開発段階でS660の計画はなかった)、室内長を長く確保することを考えて、エンジン本体の前後長が短い。

つまり縦長のエンジンだから、クーペの低いボンネットには収まらず、このエンジンを使って開発するとなればミッドシップは必然であった。

そのためにS660はボディ後部のエンジンフードが高く、後方の視界が悪い。エンジンの背が高いと重心も高まって走りの面でも不利になりそうだが、開発者は「エンジンの長さが短いから、前後方向の位置は比較的自由に決められた。縦長のエンジンがメリットになったところもある」と言う。

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デザイン・スペックの総評

ボディサイズは、軽自動車とあって全長(3395mm)と全幅(1475mm)は共通だが全高は異なる。最も背が高いキャストスポーツは1600mm、次はアルトワークスで1500mm、S660は大幅に低く1180mmだ。

S660は2シーターのクーペで、エンジンをボディの中央に搭載する後輪駆動。前輪駆動と4WDによるアルトワークスやキャストスポーツとは素性の違うクルマだ。そこを敢えて取り上げたのは、「軽スポーツ」といっても、全高に応じてさまざまな車種が選べることを示すためでもある。

JC08モード燃費(2WD)は、アルトワークスの5速MTが23km/Lで、5速AGSは23.6km/L。キャストスポーツはCVTのみで24.8km/L。S660は6速MTが21.2km/Lで、CVTは24.2km/Lとなる。

アルトワークス、S660ともにMT仕様にはアイドリングストップが装着されず、S660では燃費数値が悪くなった。

最小回転半径はアルトワークスが4.6m、キャストスポーツが4.7m、S660が4.8mだから、いずれも軽自動車の小回り性能を損なわない。

ただし前述のようにS660はシートの後方に位置するエンジンフードが著しく高く、後方視界が悪い。また着座位置に対してサイドウインドウの下端も高いから、側方の視界も良くない。軽自動車でありながら、車庫入れや縦列駐車では気を使う。

またアルトワークスはリア側のドアでサイドウインドウの下端を持ち上げたから、外観の躍動感を演出している半面、斜め後方の視界を損なった。

ボンネットの可視性は、キャストスポーツとS660は手前側が若干見えて、アルトワークスはほとんど見えない。ボディの小さな軽自動車だから、見えなくても実用的に支障はないが、気にするユーザーも少なくない。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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