ダイハツ 新型タント vs スズキ スペーシア どっちが買い!?徹底比較(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
【新型タント vs スペーシア 運転感覚対決】走行安定性のタントと動力性能のスペーシア
次は運転感覚。ノーマルエンジン同士で比べると、動力性能はスペーシアが勝る。車両重量はXの場合で850kgと軽く、最高出力は52馬力(6000回転)、最大トルクは6.4kg-m(4000回転)。対する新型タントはドアにピラーを内蔵したこともあり、車両重量はX・SAが930kgだ。動力性能は52馬力(6800回転)/6.1kg-m(5200回転)。トルクが乏しく、発生回転数は高いから、発進直後の時速30km付近までの加速力が弱い。大きな交差点を右折する時など、判断を誤ると対向車と接近しやすい。
一方、ターボについては両車とも十分な動力性能を確保。ノーマルエンジンでいえば1リッタークラスに匹敵する性能を備えるので、不満は感じにくい。
走行安定性は、新型タントが前後のサスペンションにスタビライザーを装着したこともあり、大幅に向上した。先代型は後輪の接地性を高める目的もあって操舵に対する反応を鈍く抑え、コーナーでは旋回軌跡を拡大させやすかったが、新型は曲がることを簡単に諦めない。なおかつ後輪の接地性も不足していない。
対するスペーシアは、スズキの軽自動車の全般的な傾向に沿っていて、背が高い割に良く曲がる。ただし新型タントに比べると後輪の接地性は若干低い。両車の運転感覚を端的に比較すれば、タントは重量感があって落ち着いており、スペーシアは軽快だ。
この違いは乗り心地にも通じる。スペーシアの標準ボディが装着する14インチタイヤは、転がり抵抗を抑えて燃費性能を向上させるため、指定空気圧が280kPaに達する。これでは硬くて当然だ。対する新型タントは14インチでも240kPa。やや高めだが許容範囲に収まり、サスペンションの設定と相まって快適性を高めた。とはいえ柔軟な乗り心地ではないが、スペーシアほどの硬さは感じない。
以上のように動力性能はスペーシアが勝るが、走行安定性と乗り心地のバランスなら新型タントだ。
そうなると新型タントのネックは動力性能。スペーシアのように、標準ボディにもターボエンジン搭載車を割安に設けると良いだろう。
【新型タント vs スペーシア 燃費・価格対決対決】
JC08モード燃費は、標準ボディのノーマルエンジン搭載車で見ると、スペーシアが29km/L、新型タントは28km/Lになる。それがターボでは両タイプともに26km/Lで共通だ。
新型タントの2つのエンジンの動力性能と燃費を比率に置き換えれば、ターボの最大トルクはノーマルエンジンの154%、燃費性能は93%だ。動力性能の向上率に対して燃費性能の低下率が少なく、ターボは効率の優れたエンジンとなった。
装備については、両車とも時速30km以下で作動する衝突回避の支援機能を採用。横滑り防止装置とセットにして、スペーシアは4万2000円、新型タントは5万円だ。最初はダイハツ「ムーヴ」が5万円で設定し、スズキ「ワゴンR」とスペーシアが4万2000円で投入した経緯がある。激しい競争が見られるが、安全装備の充実を競い合うことは好ましい。
このほかの装備でも競争が展開され、スペーシアがウリにしていたリアサイドウインドウのロールサンシェードをタントも採用した。
車両価格を買い得グレードで見ると、タントX・SAが135万円。スペーシアは132万3000円のXにレーダーブレーキサポートを加えて136万5000円だ。これまた競争の結果で、後発の新型タントが1万5000円安い。そのほかの装備水準も、おおむね同等になる。
ボディサイズや外観ではあまり差はなし。用途に合った車種選びを!
新型タントとスペーシアは、子育て世代のユーザーをターゲットに開発された。このニーズも考慮すると、機能のバランスが良いのはスペーシア。収納設備を豊富に装着し、リアシートの着座姿勢にも無理がない。ボディは軽く、ノーマルエンジンでも動力性能の不足を感じにくい。操舵感は軽快で、街中では運転がしやすく感じる。
一方、新型タントは子育て世代をメインに据えながら、新型を見ると従来の位置付けを脱しつつある。乗り心地には重厚感が伴い、リアシートの居住性と内装の質も高めた。助手席には乗降用のグリップも備わり、お年寄りも乗り降りがしやすい。
要は、新型タントは中高年齢層が4名で乗車する使い方にも目を向けている。背景には、大人の4名乗車をねらったタントエグゼの販売不振もあるだろう。
なので実用重視で選ぶならスペーシア、内外装や乗り心地なども加味するなら新型タントという選び方だ。特に大開口のスライドドアを使いこなす機会があるなら、新型タントは最良の選択肢になる。
以上のように、Nボックスを含めて全高が1700mmを超える軽自動車の品ぞろえが大幅に充実してきた。冒頭で述べたように、今では新車販売されるクルマの40%が軽自動車。その内の30%以上が全高を1700mm以上に設定した車種になっている。
この2車はボディサイズや外観ではあまり差が付かないが、居住性、シートの座り心地、荷室のアレンジといった機能はそれぞれ異なる。細かな違いまで比較して、用途にピッタリ合った車種を選んでいただきたい。
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