ダイハツ 新型タント vs ホンダ N BOX どっちが買い!?徹底比較(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
【新型タント vs N BOX 走行性能・燃費対決】燃費のタントと走行性能のN BOX
次は、走行性能と燃費を比べてみよう。
まずはノーマルエンジンの動力性能だが、新型タントの最高出力は52馬力(6,800回転)、最大トルクは6.1kg-m(5,200回転)。対するN BOXは、58馬力(7,300回転)/6.6kg-m(3,500回転)になる。
この数値で注目すべきは最大トルク。N BOXはタントよりも0.5kg-m勝り、なおかつ発生回転数が1,700回転低い。
N BOXは実用域の駆動力が高められており、タントは少し高回転指向だ。同じチューニングが施された先代型でも、4,000回転を超えてから速度の上昇が活発化する面があった。大きな差が付くわけではないが、実用回転域の駆動力において、N BOXが少し有利だろう。
その代わり、ノーマルエンジンの燃費はタントが「28km/L」、N BOXは「24.2km/L」だ。タントは優れた燃費性能と引き替えに、前述のような高回転指向になったと受け取られる。
実際、先代タントの前期型は、燃費性能が下まわる代わりに最大トルクは6.6kg-m(4,000回転)。今よりも扱いやすいエンジンだった。なのでエンジンの比較では、燃費性能の新型タント、動力性能のN BOXという見方が成り立つ。
ターボモデル同士の比較では?
では、ターボを装着した場合はどうだろう。新型タントはカスタムのRSとRS・SA、NBOXは標準ボディとターボの両方にGターボパッケージとして設定した。
動力性能は新型タントの最高出力は64馬力(6,400回転)、最大トルクは9.4kg-m(3,200回転)。N BOXは64馬力(6,000回転)/10.6kg-m(2,600回転)になる。
最高出力は軽自動車の自主規制による上限数値で差はないが、最大トルクはN BOXが高く、なおかつ2,600回転という実用域で発生している。ノーマルエンジンに当てはめれば、タントのターボは1リッタークラス、N BOXは1.1リッタークラスと考えて良い。
その代わり、燃費は新型タントが26km/L。N BOXは標準ボディが20.8km/L、カスタムは18.8km/Lにとどまる。N BOXのターボにはアイドリングストップも用意されず、動力性能が高い代わりに燃費性能は不利だ。
新型タントについては、ノーマルエンジンだけでなく、ターボの高効率こそ注目したい。ターボの最大トルクはノーマルエンジンの154%に達するが、燃費性能は93%と落ち込みが少ないからだ。
N BOXのように、機能に対して価格が割安な標準ボディにも、ターボを用意して欲しい。他車と同じく実質的に7~10万円の価格上昇でターボが装着されれば、ユーザーも選びやすい。
全高が1,700mmを超える軽自動車は、不可避的にボディが重くなり、ターボを装着するメリットはきわめて大きいのだ。背の高い軽自動車では、ターボを一種の実用装備を考えるべきだろう。
走行安定性はタントに注目したい。現行型になって主力グレードにボディの傾き方を抑制するフロントスタビライザーを装着。2WDモデルのリア側は、全車に標準装着とした。
リアスタビライザーには、ボディの傾きを制御する以外に、剛性を高める役割も持たせている。もっとも、NBOXもマイナーチェンジで全車にフロントスタビライザーを装着するようになった。走行安定性と乗り心地の違いは、試乗を行った後で改めてご報告したい。
【新型タント vs N BOX 安全装備対決】新型タントの“スマートアシスト”が目を引く
安全装備については、新型タントが幅広いグレードにスマートアシストを用意した。時速4~30kmで作動する衝突回避機能、横滑り防止装置などが備わる。装着に伴う価格アップも5万円と安い。サイドエアバッグもカスタムに標準装着、標準ボディには2万円1.000円で設定出来る。
ただし、サイドエアバッグとカーテンエアバッグのセットは、グレードが限定されて10万5,000円と高い。開発者は「カーテンエアバッグは装着する台数が限られ、コストダウンを図りにくい」と説明した。
N BOXは横滑り防止装置を全車に標準装着しており、売れ筋グレードにはサイド&カーテンエアバッグをオプション設定するが、この価格は10万5,000円でタントと同額だ。
フィットでは低速域における衝突回避の支援機能とサイド&カーテンエアバッグを備えた「あんしんパッケージ」が6万円だから、タントとN BOXのカーテンエアバッグは高価格と受け取られる。
【新型タント vs N BOX 価格対決】機能に対するコストパフォーマンスは“引き分け”
価格は両車の買い得グレード同士で比べたい。
新型タントは標準ボディの「X」が130万円で、スマートアシストを加えた「X・SA」が135万円。後者の仕様がベストだ。
N BOXは標準ボディの「G・Lパッケージ」が136万円。後発のタントは1万円安く抑えて対抗している。両車は装備内容も僅差で、左側スライドドアの電動機能、スイッチ操作でエンジンの始動や停止が行える装備などが備わる。
端的な違いを挙げれば、タントには低速域における衝突回避の支援機能が装着され、N BOXではアルミホイールとドアミラーターンランプが付くという具合だ。
全高が1,700mm以上の軽自動車は競争も激しく、後発のタントはN BOXを僅差で上まわるべく(大差で上まわるのは利益を考えると不可能)、ギリギリまで攻め込んだ。従って、機能に対する価格設定は引き分けと考えて良い。
ユーザーのニーズを踏まえた選び方は、新型タントは従来型と同じく“子育て世代向けの軽自動車”という印象だ。その上でリアシートの快適性も高め、乗降用グリップなども装着して、大人4名が乗車するニーズにも応えている。
一方、N BOXは、もちろん子育て世代にも適するがタントほど機能を絞り込んでいない。“フリードスパイクの軽自動車版”とでも言おうか、車内の広さと積載性に重点を置く。子育てを終え、フリードや同スパイク、ステップワゴンなどから軽自動車に代替えするユーザーにも適するだろう。
「もはや親子で乗車して自転車を積む必要はないが、夫婦でサイクリングに出かける時間は持ちたい」というようなニーズだ。
使い方に応じてピッタリの車種を選び、安全で便利で、なおかつ出費の少ないカーライフを満喫していただきたい。
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