マツダ 新型アテンザ vs レガシィ どっちが買い!?徹底比較(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
次は動力性能だ。まずはガソリンの2.5リッターから。
最高出力 | 最大トルク | 車量 | |
---|---|---|---|
新型アテンザセダン 25S L Package | 138kW(188PS)/5,700rpm | 250N・m(25.5kgf・m)3,250rpm | 1,450kg |
新型アテンザワゴン 25S L Package | 1,470kg | ||
レガシィB4 2.5i L Package | 127kW(173PS)/5,600rpm | 235N・m(24.0kgf・m)4,100rpm | 1,490kg |
レガシィツーリングワゴン 2.5i L Package | 1,530kg |
アテンザは最高出力が188馬力(5,700回転)、最大トルクが25.5kgf・m(3,250回転)。レガシィは173馬力(5,600回転)/24kgf・m(4,100回転)。車両重量はセダンで40kg、ワゴンで60kg、レガシィが重い。4WDを備えるためだ。
2.5リッターの標準モデル同士で加速感が力強いのは、新型アテンザだ。車量が軽いだけでなく、25.5kgf・mという最大トルクを3,250回転という実用域で発揮する設定が奏効した。アクセルを少し踏んだだけでスロットルが大きく開くような、力強さを演出する設定にはなっておらず、運転感覚も実に素直。ギヤ比の割り方が細かい6速ATのメリットも生かされている。唯一、エンジンノイズがやや大きい。スポーティな雰囲気を盛り上げるために音質はチューニングされているが、ユーザーによっては耳障りに感じるだろう。
レガシィの2.5リッターも性能的な不足はない。新型アテンザに比べれば少しボリューム感に欠けるが、実用的には十分。リニアトロニックと呼ばれるCVTも装着され、加速感は滑らかだ。水平対向エンジンのノイズもあまり気にならない。
加速性能に余裕があるのは新型アテンザ、穏やかで滑らかに走らせたいならレガシィとなる。
一方、際立って高い動力性能を求めるユーザーには、2.2リッターのクリーンディーゼルという選択がある。
最高出力 | 最大トルク | 車重 | |
---|---|---|---|
新型アテンザセダン XD(6EC-AT) | 129kW(175PS)/4,500rpm | 420N・m(42.8kgf・m)/2,000rpm | 1,510kg |
新型アテンザワゴン XD(6EC-AT) | 1,530kg | ||
レガシィB4 2.0GT DIT | 221kW(300PS)/5,600rpm | 400N・m(40.8kgf・m)/2,000-4,800rpm | 1,560kg |
レガシィツーリングワゴン 2.0GT DIT | 1,600kg |
新型アテンザのクリーンディーゼルは、ターボの装着によって最高出力が175馬力(4,500回転)、最大トルクはV6・4リッターガソリンエンジンに匹敵する42.8kgf・m(2,000回転)を発揮する。性能の数値はCX-5と同じだ。
車両重量も前輪駆動の2WDは同等だが(今のところ新型アテンザに4WDはない)、最終減速比はCX-5が4.090、新型アテンザは3.804にハイギヤード化された。そのため、新型アテンザのJC08モード燃費は6速ATが「20km/L」、6速MTは「22.2km/L」と優秀。CX-5の「18.4km/L」を上まわる。さらに、レガシィ2.0GT・DITの「12.4km/L」とは大差を付けている。
新型アテンザディーゼルは、少々ハイギヤード化されて車速に対するエンジン回転が下がるものの、2,000回転で強力な駆動力を発揮し動力性能は余裕タップリ。最高出力を4,500回転で発揮するという設定からも分かるように、昔のディーゼルと違って回転が上昇した時の伸び悩みも意識させず、自然な感覚で運転することができる。
対するレガシィの2.0GT・DITは、最高出力が300馬力(5600回転)、最大トルクが40.8kg-m(2000~4800回転)。
動力性能は十分だが、1,500回転前後で巡航中にアクセルを踏み増したりすると、ターボ特有のクセを少し感じてしまう。エンジン回転が高まるほど、車速の上昇が活発化する特性も併せ持つ。その意味では新型アテンザディーゼルが自然ともいえるが、アクセルを踏み込んでエンジン回転を高めた時の加速感などは、ガソリンとは本質的に違う。
両車ともに高性能ユニットは、ノーマルの2.5リッターガソリンエンジンに比べると個性が強い。好みが分かれるところだから、実際に試乗して判断したい。
操舵に対する反応は、新型アテンザが機敏な印象。今日のマツダ車全体に通じる特徴でもあるが、小さな舵角から正確に反応する。レガシィも正確性は高いが、セッティングの仕方は新型アテンザに比べると穏やかだ。
走行安定性は、危険回避の操作などを試すと、低重心で全幅のワイドな新型アテンザが総じて有利。ただし、新型アテンザはホイールベースの寸法がセダンとワゴンで異なる。セダンはホイールベースが長く、なおかつリア側のオーバーハング(ホイールからボディが後方に張り出した部分)が短いから、一層、走行安定性が高い。
ワゴンはセダンに比べると、曲がりやすさを少し下げて後輪の接地性を確保している。レガシィは、新型アテンザに比べると前後輪の踏ん張り感は若干下がるが、挙動の変化は穏やか。運転操作によってコーナリング時の姿勢をコントロールできる楽しさも併せ持つ。
レガシィが新型アテンザと大きく異なるのは、全車が4WDを採用し雨天や雪道における安心感が高いこと。4WDが用意されていない新型アテンザに対する大きなメリットとなる。
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