スズキ 新型ワゴンR vs ダイハツ ムーヴ どっちが買い!?徹底比較(2/4)

【新型ワゴンR vs ムーヴ エクステリア対決】どちらも軽規格サイズで、デザイン含め優劣はつかず

まずは「ボディサイズ」からだが、ワゴンRとムーヴはいずれも軽自動車とあって、全長と全幅は規格いっぱいで同じ値だ。

全高も(標準ボディで見ると)ワゴンRが5mm上まわるだけ。ホイールベース(前後輪の間隔)はムーヴが30mm長いが、ほぼ同サイズと考えて良い。

外観のデザインはかなり違う。ワゴンRは初代モデルから一貫して直線基調を採用するが、ムーヴは2006年に登場した先代型から卵型に改められた。2003年登場の初代タントが背の高い直線基調のボディで大ヒットしたために、ムーヴは重複を避けるため路線変更した経緯がある。

ワゴンRとムーヴでは見栄えは大きく違うが、外観での優劣は付かない。

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【新型ワゴンR vs ムーヴ インテリア対決】内装の質感はムーヴ、視界は新型ワゴンR

内装の質感は見る人によって印象が異なるが、ムーヴの方が造り込みは少していねいだ。

新型ワゴンRも軽自動車では上質な部類だが、ムーヴはその上をいく。ムーヴは外観も卵型で情緒があり、クルマ全体の質感を高めた。

メーターは、ムーヴがインパネの中央に据えている。これも質感ではプラスになるが、視認性は一長一短。ハンドルの奥側に装着される新型ワゴンRに比べて視線の下方移動は少なく、ドライバーの目とメーターの間隔が離れるために焦点も合わせやすいが、チェックする時に視線が左側に向いてしまう。

オーディオやカーナビ、ATレバー、エアコンスイッチの位置関係は、両車とも似ていて操作性も同程度になる。

差が生じるのは「視界」だ。

先代ワゴンRは、サイドウィンドウの下端を前側で15mm、後ろ側で25mmほど高めた為に、側方と斜め後方の視界が悪化してしまった。この処理を、新型ワゴンRでは2世代前と同等のレベルに戻している。これにより、新型ワゴンRでは良好な視界が蘇った

ムーヴと視界を比較しても、先代ワゴンRは負けていたものの、新型ワゴンRでは逆転する。運転席の側方視界は同等だが、斜め後ろの視界はムーヴがサイドウィンドウの下端を持ち上げたから少し見にくい。水平基調に戻した新型ワゴンRが勝る。

【新型ワゴンR vs ムーヴ シート対決】リアシートの独立スライド、助手席下の収納ボックスなどで新型ワゴンRが優勢

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フロントシートは、両車ともにサイズの大きなベンチタイプを採用。座り心地にもボリューム感があって快適だ。頭上の空間を含めてフロントシートに優劣は付かない。

リアシートはスライド位置を後端に寄せると、スペースは同等の広さになる。前後に座る乗員同士の間隔はムーヴが1,030mm、ワゴンRは1,000mmでムーヴの足元が若干広いが、身長170cmの大人4名が乗車した時の膝先空間はほとんど同じ。

握りコブシ3つ半が収まり、軽自動車だけでなく日本車全体としてみても前後方向にゆとりがある。リアシートの座り心地も大差はないが、ムーヴは座面のボリューム感がわずかに不足する。ワゴンRの方がしなやかだ。

シートアレンジは両車とも多彩。

リアシートを畳む時はバックレストを前に倒すと座面も連動して下がり、フラットな荷室に変更できる。この折り畳みは両車とも左右独立して行えるが、リアシートのスライドで差が付く。

ムーヴは一体式だが、ワゴンRのリアシートは(以前のモデルから)左右が独立して前後にスライドさせることが出来る。

リアシートのスライド機能の違いは、使い勝手に大きく影響を与える。

例えば、リアシートの片側にチャイルドシートを装着した時、左右独立してスライドさせれば、子供の座る側は前に寄せて後部の荷室を拡大できる。さらには、親が子供のケアもしやすい。そして大人が座る側は、後端に寄せて足元空間を広げられるのだ。ムーヴでは、このような使い方ができない。

収納設備は、子育て世代を含めて日常的な使い勝手が重視される車種とあって、両車ともに豊富。助手席の前側には上下2段に収納ボックスが装着され、ポケットやトレイも多い。

そして、ワゴンRでは初代モデルから助手席の下側に大容量のアンダーボックスが備わる。バケツに似た形状で、取っ手が装着されるから車外に持ち出すことも可能だ。

以上のように、ワゴンRはリアシートが左右独立してスライドしたり、助手席の下側に大きな収納ボックスを備えるなど実用性が高い。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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