フェラーリ 458スパイダー 試乗レポート／九島辰也(1/3)
- 筆者： 九島 辰也
- カメラマン：茂呂幸正
フェラーリが生み出す、かくも美しく精緻な世界を垣間見る
フェラーリのイメージからすると、その技術力のすべてが走りに注がれているように思える。ご存知のようにこのブランドは、サーキットで培ってきたノウハウを市販車に取り入れることで成長してきたからだ。というか、レースをするために市販車を売ってきたといっても過言ではない。
がしかし、「フェラーリ458スパイダー」のトップの開閉を見るとそうでないことがわかる。フェラーリは合理的にかつ美しくクルマを仕上げることにも長けているのだ。
具体的にはこうだ。コクピット後方にトップをしまいたいのだが、そこにはエンジンが鎮座しておりスペースが十分にない。そこで、ハードトップを3分割ではなく2分割にし、なるべく厚みなく収納することを考えた。しかも、そのハードトップは従来のキャンバス地を使ったソフトトップよりも25キロ軽い。彼らはアルミで形成することでそれを可能にした。当然、これは特許技術である。
もちろん、こうした工夫は“走り”のためのものだ。快適さを求め屋根を取っ払っても、走りに支障をきたしては元も子もないという考えが原点にある。
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