ダッジ キャリバー 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
ダッジ キャリバー 試乗レポート
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ダッジのエントリーモデルは“使える雄羊”

イメージ
フロントスタイルリアスタイル

ダイムラー・クライスラーではダッジブランドを世界的に展開する戦略を進めており、日本でも今年からダッジブランドが導入されることになった。その後で、ダイムラー・クライスラーからクライスラー部門が投資ファンドに売却されることになったが、ダッジブランドの展開は引き続き継続される。

ダッジはアメリカでは100年近い歴史を持つ伝統的なブランドであり、アメリカではクライスラーやジープを上回って、クライスラー部門で最も良く売れているブランドとなっている。大胆さ、パワフルさ、機能性、賢さなどがダッジブランドイメージを象徴する要素とされている。

そのダッジブランドのエントリーモデルに位置付けられるのがキャリバーだ。比較的コンパクトなサイズの5ドアハッチバック車だが、全幅は1800mmもあるので、日本ではけっこうな大きさのクルマになる。ハッチバックとSUVを融合させたような独特のボディは、特徴的な外観デザインと使い勝手の良さを兼ね備えている。

パワフルさとシャープ感を兼ね備えたデザイン

グリル
インパネフロントシート

キャリバーの外観デザインはいかにもダッジブランドらしさに溢れている。大きな開口部を持つ十字グリルはダッジ車に共通するもので、大胆さやパワフルさがそのまま伝わってくるようなデザインだ。フェンダーやショルダー部分の張り出し、ボンネットフードの形状なども、迫力十分の造形である。

ボディサイドを見るとルーフの前方から後方のスポイラーの部分まで、ブラックのモールが走っている。これによってサイドビューはクーペを思わせるスポーティなものに仕上げられた。大きく傾斜したテールゲートもスポーティな雰囲気を表現している。

インテリア回りのデザインは、ややシンプルなものながら機能性に優れたものとされた。視覚的にはクーペ風に見える外観も、全高がしっかり確保されており、室内には十分な空間が備わっている。後席に座ると頭上や足元にも十分な余裕がある。

後席のシートは背もたれが分割可倒式で、これを倒すことによって大きなラゲッジスペースが生まれる。このような柔軟性に富んだ室内空間も大きな魅力の一つだ。

リヤゲートの下部に装着されたスピーカーはゲートを開けた状態にすると、上から吊り下げることができ、アウトドアで音楽を楽しむといった使い方ができる。

アメリカン・スピリッツ健在のドライビングフィール

エンジン
走行メーター

搭載されるエンジンはクライスラーがワールドエンジンと呼ぶ新世代の直列4気筒2.0Lの自然吸気DOHC。このエンジンは1.8Lや2.4Lも存在するが、キャリバーの日本仕様車には2.0Lエンジンだけが搭載される。これに日本のジャトコ製の無段変速CVTが組み合わされている。

発生する155kW/190N・mのパワー&トルクは2.0Lエンジンとして十分なもので、車両重量が1400kgを超えるキャリバーのボディに対しても余裕が感じられる。エンジンの効率の良い部分を使って走るCVTと組み合わされているので、滑らかで不満のない走りが可能だ。

CVTにはクライスラーがオートスティックと呼ぶマニュアル操作が可能な機構も組み込まれている。レバーを積極的に操作すれば6速マニュアル車感覚の走りが楽しめる。このレバー操作時のレスポンスもまずまずだ。

キャリバーの全体的な走りのフィールは、やはりアメリカ車らしいダイナミックさを感じる。アクセルペダルの踏み心地やステアリングの操舵フィール、あるいは乗り心地などが、全体におおらかな感じのものとされている。逆にいえばリアリティに欠ける部分もあるのだが、それがアメリカ車らしさでもある。

多用途性に期待ができる、これぞアメリカン・ファミリーカー

エンブレムエンブレム

ダッジブランドのエントリーモデルに位置付けられるのがこのキャリバーで、価格も200万円台と比較的手頃な水準に設定されており、初めて輸入車を買うユーザーの選択肢にもなると思う。ちなみにアメリカやヨーロッパではそうした売れ方をしているようだ。日本での価格はヨーロッパのハッチバック車と重なる部分がある。比較して買おうとするユーザーはいないと思うが、フォルクスワーゲン ゴルフやプジョー307とは異なる独特の存在感を持つ輸入車として位置付けられるクルマである。

さらにハッチバックボディの機能性の高さがもうひとつのポイントで、遊び道具をクルマに積んでアウトドアに出かけるなど、アクティブなカーライフを楽しむユーザーにも適している。

それ以上にお勧めなのは、ダッジブランドの持つ大胆さや豪快さなどに憧れるユーザーだ。外観デザインを見ただけで並みのクルマとは違うという印象を与えるものがあり、ほかの人と違うクルマに乗りたいというユーザーのニーズを満たすのは間違いない。

SEとSXTの2グレードが設定されていて、主な仕様の違いは外観上のもの。それで30万円ほどの価格差が設定されているから、購入するならSEで十分だと思う。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

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