ダイハツ 新型タント試乗|走り&先進安全装備はクラストップレベル! N-BOXから首位奪還なるか?(1/2)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:小林 岳夫
新型プラットフォームDNGA採用で大きく進化した新型タント
新型タントの目玉のうちのひとつである「ロングスライドシート」の構想は、2代目(2007年発売)頃から始まっていたという。
これに関しては詳しく後述するけど、実際に本当に便利だと思う。
「運転席からスルっとシームレスに後部スライドドアから降りられる」なんていうのは、子育て世代にはもちろんのこと、お仕事女子である私にとってもかなり魅力的。これなら車内で傘を開いてから乗降できそうだから雨のときも濡れないし。大荷物を抱えてたって、隣のクルマにドアぶつける心配も激減するし。
というわけでいよいよ待望の4代目に進化し、まさに真価が問われるダイハツ 新型タント。
両側スライドドアを備えた“背高ワゴン軽”は、今や競合ひしめく大人気カテゴリーに成長している。その中でどう戦っていくのか。“選ばれる”ためにダイハツが出した答えは、こうだ。
新型タントはダイハツ肝いり、これからのグローバル戦略をも見越した新型プラットフォーム「DNGA」の採用によって、走りはもちろん、ユーティリティの充実まで盛り込んでいる。その仕上がりは一体どんなものなのか。
待望の公道試乗が叶ったのでレポートしたい。
新型タントはデザインと走りのさじ加減が絶妙!
さて、新型タントに関してはすでに発売前のプロトタイプ試乗記が公開され、そこでもすでに詳細にレポートしているので、是非ご参照いただきたい。
アチラで述べたシンプル&キュートなエクステリアについての考察は公道においてもむろん以下同文だ。時間を置いて観てみてもやはり、“抜きどころ”をわきまえた、優れたデザインだと感じる。威圧感がないのに媚びるような甘さもない、あるのは凛とした芯の強さのようなシンプルさ。飄々と生きる時代の空気にとても似合うと思う。
しかし、メタル装飾を加えた“威張り感”のあるバージョンも「タントカスタム」としてしっかり用意されているから、むしろ振り幅は広がって、モデル全体の守備範囲はさらに拡大したのではないかな。
とはいえ、カスタムのほうも競合既存モデル比ではドヤ感をやや抑え、洗練を増したイメージ。『アメリカのピックアップトラックみたいな顔でオシャレっすね!』というのはMOTA編集部・期待の新人Kくんの言葉。うん、たしかにギラつきはあるもののオラつきはなく、その匙加減がいい感じ!
また、走りに関してもほぼ以下同文、である。しかしやはり、公道試乗ではこれを書かないわけにはいかない。プロトタイプ公開当時は諸事情により箝口令が敷かれていたインテリア、そして一般道の乗り心地だ。
オシャレなインパネが自慢! 内装のアクセントカラーが秀逸
まずは内装のカラーバリエーションについて。
タントとタントカスタムではエクステリアの意匠はもちろん、キャラに合わせて内装色も異なる。タントではインパネなど樹脂部品&シート表皮が優しいグレー基調に、そしてカスタムではその両方がブラックに変わる。カスタムのシートはファブリックと合成皮革を組み合わせ、より高級感のある室内空間を作った。
また、タントではマカロンカラーというべきか、エクステリアにパステル調の3色(アイスグリーン・マスタードイエロー・ブルーミングピンク)が用意されたが、これらはエアコン送風口にグリーンのトリミングがあしらわれる。ちなみに、カスタムではこの部分のカラーが濃いブルーだ。
「ボディーカラーに合わせて、この部分のカラーも変えられたらいいんですけどねぇ」とお話ししたところ、なんとこの部分、インパネと一体成型なんだそうな!それは助手席前に備えられた、キルティング調のエンボスが施されたトレー状の小物入れも同じ。いくつもの素材を組み合わせたかに見えるこれらの装飾だけど、一回の成型で作成できるからこそ、コストを抑えてタントとタントカスタム、そしてパステルカラーと3つを安価に用意することが叶ったのだとか。
後付パーツの登場に期待♪
しかし一体成型だからこそ別のパーツを後付けするのは難しく、今グリーン/ ブルーのみの用意になっているそう。しかし樹脂加工技術がここまで進化してるのであれば、いずれ近いうちもっと小ロットで色変え、な〜んてのも可能になってくるような気がする。頑張れ樹脂!
ああ、なんだか樹脂について異様にアツく語ってしまったけれど(だって運転席って一番目に入るところじゃないですか)、こんなところで足踏みをしている場合じゃないのだ。タントはとにかく内装がすごい。めちゃくちゃ豪華、ってワケじゃないけれど推敲に熟考を重ねた使い勝手向上への飽くなき執念が、そこここに散りばめられているのだ。
運転席ロングスライドシートは使い勝手バツグン!
満を持して、ここで話を冒頭に戻そう。
今回の目玉、運転席ではなんと540mm、助手席でも380mmとなる驚異の「運転席ロングスライドシート」である(X ターボ/ X/ カスタムRS/ カスタムXに標準装備)。
そもそも、タントは運転席と後部座席の乗降を分断していたピラーを排除し、大開口を叶えたピラーレスの「ミラクルオープンドア」を軽自動車で初めて実現したクルマだ。この「ミラクルオープンドア」ができたとき、おのずと「運転席から後部座席にシームレスに移動し、そのままリアドアから乗降できたらいいよね」というアイディアが出たのだという。
しかし、実はシートレールというのはあとからポン、と簡単に設置できるようなものではない。特にここまで長いシートレールを備えようと思えば、設計段階からフロア骨格をシートレールのレイアウト(およびその剛性バランス)ありきでレイアウトすることが必須となる。そこで今回の「DNGA」だ。
プラットフォーム刷新をこれ幸いとし、かねてからの夢であったロングシートスライドを実現した、というワケなのだ。
便利なだけじゃない! 安全面もしっかり考慮
このロングスライドシート、安全面も実によく考えられている。シートの下にあるレバーを上にあげても、そのままであればごく普通の位置にまでしかスライドはしない。そこから、シフトポジションが「P」であるときだけ、ハンドルの右側、インパネ部分にあるスイッチを押せばロックが解除され、ぐ〜んと後方までシートがスライドするのだ。
さらに後席から操作することも可能。運転席シートバックに備えられたスイッチを押し、レバーを引けばロングスライド。これも「P」のときのみ操作が可能だから、運転中に子供がイタズラしたらどうしよう、なんていう心配は御無用というわけだ。
後席は1アクションでフラットに
後部座席のシートアレンジにもさらに一工夫加えられた。実は新型の内装で一番こだわったのは後席なのだそう。先代モデルは完全なるフルフラット・ラゲージスペースを確保するために、まずダイブダウンさせてからチルトダウンさせる、という2段階アクションを採っていた。
しかし、今回はまさにコロンブスの卵な発想で、単にシートをバタン!と倒せばそれでOK!という超シンプル構造に立ち戻ったのだ。
おかげで先代のフルフラットな荷室は失われ、ややリア開口部にむかってなだらかに傾斜することになる。しかし「ナナメってるけど、逆にガンガン使ってもらったほうがいいよね」と開き直ったのだという。
面倒くさいのは×! "誰でも簡単"がキモ
商品作りにおいてのダイハツの強みは、徹底したマーケティングやリサーチにあると個人的には受け止めている。ユーザーや競合ユーザーにモニタリングや聞き込みを行い、今のユーザーが軽に“何を求めているか”を引き出し、それをものすごくクイックに商品に落とし込む。そのスピード感には舌を巻く。さすが関西の会社やなぁ、と思うところでもある。
そんな徹底したリサーチから、実はいくら荷室がフルフラットになったって、ギミックが面倒くさかったら使わない、という、血と汗の結晶であった開発の結果をはるか上方でサクッと裏切る、あられもない事実が浮き彫りになったのだそうだ。
そこで新型はとにかく超シンプルな構造にした結果、後席の構造だけでー3kgの軽量化に成功し、さらにシートをふんわりと肉厚にすることも出来(従来比)、さらに27インチの自転車も積めて結果オーライというわけだ。
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