ダイハツ 新型タント[プロトタイプ]試乗│新プラットフォームDNGAはダイハツの“新しい扉”を開ける第一弾モデル(2/2)
- 筆者: 飯田 裕子
- カメラマン:茂呂 幸正
パワートレインや軽量化された高剛性ボディの刷新により、リッターカーを凌ぐ頼もしい加速のターボモデル
一方、今回試乗したターボエンジン搭載モデルは、同じエコピアの15インチを履き、エンジンに合わせた足回りのチューニングも行われているためだろう、ハンドルの操作感はNAよりやや重め。より引き締まった足腰を持つ印象が、スッキリとしたハンドリングとともに新型では一層増している。
アクセルのひと踏みからトルクの力強さを感じつつ、そのまま踏み込みを強めればリッターカーを凌ぐ頼もしい加速が続く。これはエンジンのみならずやはりエンジンの動力をタイヤから路面へと伝えるパワートレイン、そして軽量化された高剛性ボディの刷新が大きい。
これまでもハイト系モデルの中でもしっかりとした走りが得られたターボモデルだったけれど、スラローム走行時(ハンドル操作が左右に続き車体も左右に続けざまに振られる)のパシッと感、その印象は確実にランクアップしている。が、こちらも乗り心地には響かないチューニングが施されているのも魅力的だ。
世界初の技術「ベルト+ギヤで変速させるD-CVT」
ボディは車両全体でグラム単位の部品の見直しなどにより、ボディ剛性(曲げ剛性)を30%向上させつつ80kgの軽量ができたそうだ。「これだけダイエットすればユーザーが喜ぶ新装備を40kg分搭載してもまだ40kg軽い」と開発者の方は軽量に向けた思いを語ってくれた。
また、社内測定値ながら実用燃費も約9%向上したエンジンは、日本初の複数回点火(マルチスパーク)の採用やスワール噴霧、高タンブルヂュアルポート化、燃焼効率の飛躍的な向上によって、60km/h定常走行では約12%、高速(100km/h定常走行)で約19%向上。カタログ上のモード燃費と実用の乖離を減らす実用燃費は、社内測定値で20km/l以上になるようだ。その上で加速性能は中間加速がターボで1秒くらい=13%向上したという。
これには世界初の技術になるという、ベルト+ギヤで変速させるD-CVT(デュアルモードCVT)の搭載も特筆しておかねば。
発進時はベルトで駆動。ベルトモードでハイまでになるとクラッチを介してスプリットモードに入るという仕組み。ちょっと難しいのだけれどベルトとギヤ駆動の併用がスムーズかつリニアな走りを支え、静粛性にも燃費にも繋がっている。
サスペンションのフロントにストラット、リヤはトーションビームという形式はこれまでと同じだが、軽自動車を設計するときにABセグメントを見据えて基本構造の共通化をはかった上で、幅や剛性諸元をABセグメントに適した値まで持ち上げる方法をとり、骨格断面や足回りの取り付け形状などを先に決めてから、軽自動車にも採用するプロセスとした。
マニアックな話としては、例えばバンプストップラバーのウレタン化やロアアームへの軽量高剛性素材の採用、中空スタビ、ブレーキローターの薄肉化など、軽量と走行安定性、乗り心地向上に向けた取り組みも様々採り入れられている。
先進安全技術も大幅進化
先進安全技術がサポートする安全性にも触れておきたい。DNGA専用ロジックを追加したスマアシ(スマアシIII)も進化している。
車線逸脱抑制制御機能、0km/hからの前車追従型アダプティブクルーズコントロール(ACC)、レーンキープコントロール(LKC)、軽自動車初となるハイビームを部分的に消すアダプティブドライビングビーム(ADB)の採用。カーブの視覚を照らすサイドビューランプも進化。逆走防止のための標識認識や、誤発進防止にはアクセル制御に加えてブレーキも追加された。
さらに駐車支援のスマートパノラマパーキングアシストの新採用。カメラで白線認識をするというロジックを採用し、ブレーキやシフトは画面表示や音声でガイダンスが流れるのでそれに沿ってブレーキを踏み、シフトチェンジ。あとはブレーキを使ってクリープ走行で速度をコントロールすることで簡単に並列/縦列ができる。これは本当に駐車が苦手な方や初心者ドライバーにとって心強い技術となりそう。
ダイハツの扉はどこまで広いのか、その奥行きはまだ計り知れない
細かい説明を加えればキリがない新型タントの走行性能の大改革はまたしてもスーパーハイト系モデル界にも刺激を与えることになりそうだ。もっとも、ダイハツ自らがハードルを上げたことにもなる。
この原稿を書いている時点ではまだタントでさえ世に登場する前だけど、今後の軽やコンパクトモデルの登場にも期待したくなった。
良品廉価に基づくクルマづくり、「価格帯は上げない」というから、本当にダイハツの扉はどこまで広いのか、またその奥行きはまだ計り知れない。
[筆者:飯田 裕子/撮影:茂呂 幸正]
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