THE NEXTALK ~次の世界へ~ ダイハツ工業 エグゼクティブチーフエンジニア上田 亨 インタビュー(2/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤康彦
燃費性能を上げるのは総合力
燃費の話になると、まず出てくるのがハイブリッドカーであり、そして第3のエコカーと呼ばれるガソリンエンジンでの燃費改善、あるいはヨーロッパではディーゼルエンジンが話題であり、総合環境性能では電気自動車の選択肢もある。しかしそれらは、単に動力源の区別でしかない。クルマの燃費性能を高める道は、それだけではないはずだ。
【上田亨】簡単なのは、ハイブリッドカーにするということでしょうけど、軽自動車にとって最適であるのか?と考えた場合、車体が小さくても室内が広くて便利という軽自動車の利点が、構成要素の多い(エンジンの他に、モーターやバッテリー、制御機器が必要になる:筆者注)ハイブリッドカーでは犠牲になり、また販売価格の点でも高価になるので、ふさわしくないといえます。
そこで、既存のガソリンエンジンを使いながら、いかに燃費を向上させるかということになるわけで、エンジンでガソリンを燃やし、その動力でクルマを走らせる際に、実際には20~30パーセントしか有効活用できないのです。つまり、いかに捨てている部分を捨てないようにできるか?を考えます。
そうしたエンジンやトランスミッションの開発に加え、車体の改良・進化と、エネルギーマネージメントがあります。車体をいかに軽く作るかです。2009年のモーターショーに出展したコンセプトカーでは、価格のことは考えず、まず軽くすることに集中して、樹脂製の車体外板や、後ろの窓を樹脂にするなどに取り組みました。
しかし市販するミライースでは、軽自動車に見合った価格を考慮する必要がありますから、車体づくりの原理原則に立ち戻り、構造部材の役割を吟味し、車体の部品構成を見直して、最適な車体構造を追求することで余計な補強を減らしました。こうして軽量化できると、部品点数が減った分、コストも削減できるのです。
ミライースでは、従来のミラと全く異なる車体が新しく開発・製造された。
減速し、まだクルマが止まる前にエンジンを止めてしまうことで、ガソリン消費をさらに減らしているのだ。
そうした総合的な取り組みによって、ミライースの燃費は、JC08モードで1リッターあたり30.0kmという驚異的な燃費を実現したのである。では、なぜこれまで軽自動車の燃費は、20数キロメートルにとどまっていたのか?
【上田亨】元々軽自動車は小さいクルマだということで燃費は良かったのです。そしてダイハツでは、ミラの次にミドルクラスのムーヴがあり、モアスペースということでタントがある、というように、小さくてもより使い勝手がよく、利便性に優れるという価値を軽自動車に与える挑戦をしてきました。
その間に、リーマンショックがあり、ハイブリッドカーが低価格路線へと歩みだし、そして震災による節電などもあって、お客様の環境に対する意識が大きく変化したという背景があります。それによって、燃費と低価格に再び挑戦すべきだという社内の危機感も高まり、ミライースの開発が決定されました。こうしてミライースで得たことは、タントなど他の車種にも活かしてゆくことができます。
ガソリンエンジンでリッターあたり30キロメートルという、かつてのハイブリッドカー並みの途方もない目標を掲げたことで、会社の仕組みや仕掛けも従来から脱皮しています。ミライースは、今後のダイハツの足がかりとなるクルマなのです。
ここで多くは語れないが、新車開発の工程がミライースでは従来と全く変わった。プロジェクトチームとして上田亨直属の技術者を集め、退路を断ち、部品の担当部門ごとに最適を目指すのではなく、ミライースとして最適を目指す意識改革や、各開発原価に予算制を導入するなどを行った。
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