S660が販売終了! 軽スポーツカーのライバル「ダイハツ コペン」はどうなる!?

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2021年3月12日、ホンダが軽スポーツカー「S660」の2022年3月生産終了を発表。その後わずか20日余りで、特別仕様車を含む全モデルの予約受注が全て終わったことが明らかになった。S660が販売を終えるのは、2022年に改定を控えた法規制への対応が厳しいためとされている。

そこで気になるのがダイハツのライバル「コペン」の動向だ。今のところ公式な発表はなく、ファンをやきもきさせている。

いま改めて注目! ダイハツの軽スポーツ「コペン」を写真で見る![画像42枚]

目次[開く][閉じる]
  1. 生産終了を発表してからたった20日で「完売」したホンダ S660
  2. S660が生産終了する理由は「法規改定への対応」が難しいから
  3. ライバルメーカーの担当も気にしてる! 軽スポーツのライバル「ダイハツ コペン」はどうなる!?

生産終了を発表してからたった20日で「完売」したホンダ S660

3月上旬時点で早くも「納期は2021年秋以降」と言われていた

2021年3月12日、軽自動車でスポーツカーの「ホンダ S660 モデューロX」に、特別仕様車の“バージョンZ”が追加された。

“S660最後の特別仕様車”とされ、1年後の2022年3月にS660自体の生産を終えることも公式にアナウンスされた。ホンダ S660は2015年に登場したモデルだから、約7年で生産を終えることになる。

2021年3月上旬にホンダからの発表があった時点で、都内のホンダ販売店にS660の納期を問い合わせると、以下のような返答だった。

『S660は生産規模が少ないため、現時点(2021年3月12日)の受注で、ノーマルグレードの納車は10月、モデューロXはそれ以降になる。生産終了が2022年3月だから、それまでの生産枠を使い切れば、受注は終了する』。

『いつかはS660に乗ってみたい』というユーザーが思いのほか多かった

そこで改めて、2021年3月31日に販売店へ問い合わせてみたところ『S660の受注は、ノーマルグレードのαとβ、モデューロX、バージョンZなどを含めてすべて終了した。2022年3月の生産終了が明らかになった途端に、受注が急増したからだ』と返答された。

2020年におけるS660の届け出台数は、2747台(1か月平均では229台)であった。この販売規模は、軽で最も売れているホンダ N-BOXの1.4%に過ぎない。

それでも『いつかは買おう』と考えていたユーザーは多かったらしく、2022年3月の生産終了がメーカーから発信されると、受注が殺到した。

S660を投機目的で購入した人も多い!?

S660の値落ちが少ないことも影響を与えただろう。趣味性の強いスポーツカーで、前述の通り販売台数も少ない。N-BOXなどと違って多くの人達が求めるクルマではないが、『絶対に欲しい』というニーズは常に存在する。

そのために中古車価格は高値安定型で、購入の数年後に売却する時の金額も、同様に上昇する。

思えば、1991年に発売された軽スポーツカーの「ホンダ ビート」も、今の中古車価格は80~120万円が中心だ。発売時点の新車価格が138万8000円(税抜き)だったので、相当な高値安定型になっている。いい換えれば資産価値を保ちやすく、買って損のないクルマといえるわけだ。

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S660が生産終了する理由は「法規改定への対応」が難しいから

安全機能や騒音規制などクリアすべき課題が多過ぎた

S660を廃止する直接の理由は、今後変更される法規への対応が困難になったからだ。法規対応するには、衝突被害軽減ブレーキの採用(S660に装着されるタイプは低速用)、衝突安全性能の向上、騒音規制への適合(タイヤが路上を転がる時の音を含む)などが必要になる。

開発者は『衝突被害軽減ブレーキの採用と、衝突安全性能の向上には相当な困難が伴う。開発費用も高額になる』という。

欲しいユーザーが多いのに生産が終わってしまうのはいかがなものか

大量に売られるクルマであれば、多額のコストを費やしても対応するが、S660の届け出台数は前述の通り1か月平均で229台だ。法規に対応しても、コストの回収が難しく、2022年3月に生産を終える判断に至った。

困難の背景には、全高を1180mmに抑えたミッドシップスポーツカーという特殊性もあっただろう。

それにしても、欲しいユーザーがいるのに、生産を終えるのは酷で失礼な話だ。ホンダによると、増産をする予定はないという。

例えば5月30日まで、という具合に期限を決めて受注を行い、それまでに注文を受けた車両は、確実に生産する。といったように、ユーザーを悲しませない売り方をすべきだった。

ライバルメーカーの担当も気にしてる! 軽スポーツのライバル「ダイハツ コペン」はどうなる!?

ダイハツの販売店では今のところ「販売終了の案内は聞いていない」

ホンダの開発者とS660の生産終了に関する話をしていた時、彼がつぶやいた。

「ダイハツさんのコペンは、どうするのだろう…」。

法規対応が求められるのはすべての軽自動車だから、コペンなどほかの車種の動向も気になる。

そこでダイハツの販売店に、今後の軽自動車の対応を尋ねた。

「コペンについては、今後ライトを自動的に点消灯させるオートライトを加えて義務化に対応する。(衝突被害軽減ブレーキの)スマートアシストIIIを装着する予定は今のところなく、法規対応のためにモデルチェンジを行ったり生産を終える話も聞いていない。現時点では通常通り受注しており、納期は3~4か月と少し長いが、普通に納車できる」。

モデル末期を迎えた「ムーヴ」や「アルト」は2021年中にもフルモデルチェンジの予定

ダイハツのほかの車種はどうなのか。

「ウェイクは今後マイナーチェンジを実施する。スマートアシストIIIはすでに採用されているので、オートライトを新たに加える。ほかの車種についても、直近で販売を終える話は聞いていない」。

改めて、スズキなど他社を含めた軽乗用車のラインナップを見てみよう。

商用車ベースのワゴンを除けば、小型/普通乗用車と違って、設計が極端に古い車種はない。最も古くても、2014年に発売されたコペンと、ダイハツ ムーヴ、ウェイク、スズキ アルト(と各車のOEMモデル)があるのみだ。

これらのうち、アルトとムーヴは2021年にフルモデルチェンジを受ける可能性が高い。ウェイクは前述の通りマイナーチェンジを実施するから、少なくともしばらくは継続するだろう。

貴重な軽クーペを守れ! ダイハツの奮起に期待したい

そうなると、気になるのはやはりダイハツ コペンだ。

コペンにはスマートアシストIIIのような衝突被害軽減ブレーキは一切採用されていない。2020年の届け出台数は2829台(1か月平均では236台)だから、販売規模はS660とほぼ同じだ。

ホンダがS660販売終了の1年も前に発表を行うという異例な対応をする中、ダイハツはコペンの今後に関して沈黙を守っている状態だ。広報部に問い合わせてみても、明確な回答は得られなかった。

それでもコペンには、フルモデルチェンジを実施しながら存続して欲しい。安全性はクルマにとって最も大切な性能だが、軽自動車のクーペも貴重な存在であるからだ。

今は以前と違って、小型/普通車のクーペも激減した。その意味でS660の廃止は、クーペ全体の選択肢に影響を与えている。

次期ムーヴのプラットフォームをベースにしたフルモデルチェンジに期待!

最近は開発と製造の合理化が進んだが、共通のプラットフォーム(車台)を使って、さまざまなカテゴリーの車種を開発できるようになった。実際コペンも、ミライースなどと共通のFF(前輪駆動)プラットフォームを活用して誕生しており、S660ほど特殊過ぎない成り立ちに一縷の望みがある。

次期ムーヴなどの車台を活用し、コペンを再びフルモデルチェンジする…そんなシナリオにも期待をかけたい。

最新のプラットフォームでは、電気自動車などへの対応も可能にしている。そこにクーペも加わると、クルマ好きのユーザーも希望を持てる。S660の販売が終わるホンダでも、ぜひホンダ eをベースにしたクーペモデルの市販化なども検討して欲しいところだ。

[筆者:渡辺 陽一郎]

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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