[試乗]強烈な個性の裏に隠された二面性／「シボレー コルベット Z51」ショートインプレッション(3/3)

とはいえやはり本格スポーツカー、ホンキを出したら凄かった！

しかし、問題は実はここからなのだ。お姉様の毒牙が本領を発揮するのは、アナタを速度に乗らせてからなのだ。己の「走り心」にぽっと火を灯されてしまったら、もう戻れない。底なしの強大なトルクにおのずと沸き立つ己を自制するほうが難儀になってしまうこと間違い無し！

なにしろ繰り返すようだけど、どのギアを選んでいてもわずかなスロットル開度でグワッ！と暴力的なまでの加速が生まれてくれてしまうんである。3速あたりの踏みの気持ちよさ、イケイケゴーゴー感ったら筆舌に尽くし難いほどだ。 その陶酔にも似たスピードへの欲求をさらに煽るのは、ビックリするほどクイックなハンドリング、作り込まれた剛性、そして手前から奥までコントローラブルなブレーキ。

そう、Z51はこんなチャラい外見しといて、芯からしっかりバランスの取れた、本格スポーツカーなのだからたまらないのだ。

スパルタンで賑やかなのすら魅力的に思えてくる

こんな風だから、もちろんアシはしっかりと締めてある。ちょっと荒れた路面の高速道路なんかを流すと、ビシバシ入力を拾いまくるから、車内の様相はそれはそれは賑やかであることも事実だ。この辺は見た目通りのスパルタンさだから、Z51にかつてのアメリカンらしい鷹揚さをもし、まさかと思うけど万が一！求めるんだとしたら、それはお門違いというもの。覚悟して乗って欲しい。

しかし、その拾ったギャップはその都度きっちり収束し、揺りかえしたり反響させたりするような素振りは微塵もないところがまた惚れ直しポイントになる。だから賑やかではあるのだけども、その賑やかさすら魅力的なんである。

ちなみに、シフトノブの手前にドライブモードのセレクトボタンが存在する。

ウェザー(悪天候)、エコ、ツアー(長距離ツーリング)、スポーツ、トラック(サーキット走行)と選択出来、この演出の差の付け方も見事。スポーツ以上はエキゾーストサウンドも超イケイケに変化する。

ただ、トラックモードを選んだときに、「曲名」と表示されて一瞬「？」となった。単なる翻訳の間違いなんだけど、それ、個人的には一番キュンとなった。全部完璧なのに、そこ間違う？！と。

[レポート：今井優杏／Photo：和田清志・GM Japan]

Chevrolet CORVETTE Z51 2LT[FR]　主要諸元

全長x全幅x全高：4510x1880x1230mm／ホイールベース：2710mm／車両重量：(MT)1570kg/(AT)1580kg／乗車定員：2名／駆動方式：後輪駆動(FR)／エンジン種類：V型8気筒 OHV ガソリンエンジン／総排気量：6153cc／最高出力：466ps(343kW)/6000rpm／最大トルク：64.2kg-m(630N･m)/4600rpm／トランスミッション：7速マニュアルトランスミッションもしくは8速オートマチックトランスミッション／メーカー希望小売価格：(MT)10,250,000円/(AT)10,420,000円[消費税込み/2016年モデル]

※撮影車両は「シボレー コルベット Z51 Spec B」[限定車/2015年モデル]