キャデラック 新型CTS-V試乗|欧州勢とはひと味違うアメリカンスーパースポーツセダンという存在(2/3)

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ベースグレードから2倍以上のパフォーマンスアップ

CTS-Vで最も注目すべきはエンジンだ。V型8気筒OHV(オーバーヘッドバルブ)という古典的なメカニズムを踏襲した直噴式の6.2リッターエンジンに、スーパーチャージャーを装着する。最高出力は649馬力(6400回転)、最大トルクは87.2kg-m(3600回転)と相当に力強い。この数値を単純に自然吸気エンジンに置き換えると、排気量は9リッター並みだ。キャデラック史上最強の性能だという。トランスミッションは8速ATを組み合わせた。

ちなみにベースグレードのCTSは2リッターのターボを搭載して、276馬力/40.8kg-mの性能を得ている。これでも十分だが、CTS-Vの数値は2倍以上だ。しかも駆動方式は後輪駆動の2WDになる。ベースのCTSは4WDだから、駆動力の高いCTS-Vには一層4輪駆動が求められるが、そうなっていない。ドライバーを挑発するというか、あえて乗りこなすのに技術を要するクルマに仕上げている。

そこで動力性能を試すと、排気量が6.2リッターもあるから、低回転域から十分な駆動力が発生する。エンジン回転がほぼアイドリングの状態から、アクセルペダルをわずかに踏み増しただけでも、駆動力を確実に高める。パワーアップする過給器が、排気ガスを利用するターボではなくエンジンの駆動力を使うスーパーチャージャーだから、加速感はアクセル操作に対して常に忠実だ。まさに9リッターの自然吸気エンジンを搭載しているように、直線的な加速を味わえる。

動力性能が強烈だから、アクセル操作には注意が必要だ。試しにアクセルペダルを深く踏み込むと、後輪が激しく空転してトラクションコントロールが作動した。車両が安定するように気を使っても、加速の仕方は一般的な乗用車と大きく異なる。風景の流れに目が追い付かない感覚が伴う。メーカーが公表したデータによると、停車状態から時速60マイル(時速96.5km)に達するまでの所要時間は3.7秒だという。これはスーパースポーツカー並みの加速性能だ。

これだけの性能を全高が1465mmのセダンボディに組み合わせたから、走行安定性やブレーキ性能を強化する必要も生じた。足まわりのショックアブソーバーには、マグネティックライドコントロールが使われる。磁性体を含む液体に磁力を作用させ、減衰力を瞬時に変化させる仕組みだ。路面状態に応じて、1000分の1秒単位でショックアブソーバーの減衰力を制御できるという。タイヤサイズは19インチで、前輪が265/35ZR19、後輪は295/30ZR19になる。銘柄はミシュラン・パイロットスーパースポーツであった。

操舵感はハンドルを回し始める初期段階から、かなり機敏に締め上げた印象だ。車両の向きを素早く変えやすい。車両重量は1910kgと重く、運転感覚でもそれを意識させるが、グリップ力はさらに高い。後輪駆動と相まって、峠道でも車両が内側へしっかりと回り込む。なおかつ安定性も満足できて、峠道の下り坂でハンドルをさらに切り込みながらアクセルペダルを戻すような操作を強いられても、後輪が良く踏ん張る。

その代わり乗り心地は硬い。走行モードを通常の「ツアー」に設定しても、路面の細かなデコボコを伝える。足まわりの基本性能が高いので、タイヤが路上を細かく跳ねるような粗さはないが、セダンとしては硬めであることは確かだ。ブレーキはブレンボ製で、前輪は6ピストン、後輪には4ピストンのキャリパーが備わる。ブレーキディスクも大きく、操作感はガッシリした印象だ。

キャデラック/CTS
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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