BMW i3 海外試乗レポート/日下部保雄(2/3)

BMW i3 海外試乗レポート/日下部保雄
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新しいドライビングポジション

BMW i3
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アムステルダム空港に設置されたBMWプレスセンターで、我々を待ち受けていたi3にはちょっとワクワクした。デザインも特徴的で、i3が普通のクルマではないことを認識させるとともに、常に走りを訴求するBMWがEVをどのように作り上げるか非常に興味があった。

日本には電気自動車の先駆者、日産「リーフ」があり、ソフトウェアも含めてこれまでの乗用車とは違った面白いクルマライフがあることを知ることが出来たが、BMWではどうだろう。

まずハードの部分だが、床下にバッテリーを置くのはリーフと同じだが、i3ではアルミのフレームの上にカーボンのキャビンを乗せる構造の為にフロアが高く、乗降性の点では足を大きく上げて乗り込む必要がある。ミニバンとも違うシートに腰掛けるよりも足を若干伸ばすスタイルの、新しいドライビングポジションだ。乗ったことのある人ならイメージしやすいだろうが、メルセデス・ベンツの先代「Aクラス」のような感じになる。ただし背が高いのでヘッドクリアランスに余裕がある。

MINIで曲がりきれないところでも楽々と曲がることが出来る

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ステアリングコラム上にあるスタートボタンを押して、Readyとする。さらにコラム上のドライブセレクトをDに入れて、電気パーキングをOFFにしてアクセル?ペダルを踏みこむとシズシズと動き出す。アクセルのコントロールは自然だが、反応は最近のクルマの中では早い方だ。

ステアリングの操舵力は欧州車らしくやや重めの設定だが、操舵フィールは滑らかでBMWのすっきりとしたハンドル操舵の味を継承している。電動パワステらしい味はあるものの違和感は少ない。

加速力はなかなかシャープだ。アクセルを強く踏み込むと鋭い加速力を発揮する。この感覚は電気自動車独特のもので、音がしないだけ余計に加速度を感じる。エンジン車だとどんなに静かに作ってもエンジンノートと共にグワっと加速することがあたりまえだが、電気自動車ではそれがないので、急速な平行移動の感覚で加速する。

i3はアクセルペダルから足を離すと強い回生ブレーキがかかり、減速Gはコンマ2Gまでいかないまでも、通常の街中運転ではアクセルを離しただけで狙ったところで止まってしまう。この場合当然ながらブレーキランプは点灯する。

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ブレーキはバイワイヤなので特有の唐突感があるかと思ったが、強力な回生ブレーキともよく調和しており、違和感なく制動できた。強くブレーキを踏む場面ではバイワイヤ特有の壁感があるが制動力は決して小さくない。タイヤが細いのでちょっと心配したが前後長で操舵性、グリップを確保できており、かつ転がり抵抗は小さい。

ただし軽いとは言え、タイヤの幅に対しては重量もあるので急制動の場合は重さを感じる事がある。

ホイールベース2570㎜に対してトレッドは1571/1576㎜とかなり広いので、最小回転半径は小さく、例えばMINIで曲がりきれないところでも楽々と曲がることが出来る。更にフロントボンネット下には充電ケーブルを収納するスペースしかないので、フロントノーズとオーバーハング非常に短く、かつ着座位置が高いので直前視界がかなり良い。特設コースの設定された小回りコースも難なくクリアできた。

ハンドリングはリーフもそうだが、バッテリーを床下に収めた低重心の為にロールは意外なほど小さく、ステアリングレスポンスもなかなかシャープだ。ちなみに長いコーナーも姿勢安定性は高く、前後155/175サイズのタイヤとは思えない程のグリップ感と高い旋回力を見せる。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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