BMW 新型2シリーズ 海外試乗レポート/川端由美(1/2)

  • 筆者: 川端 由美
  • カメラマン:BMW AG  協力:木村オフィス
BMW 新型2シリーズ 海外試乗レポート/川端由美
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エレガントでスポーティなスタイリング

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八面玲瓏とでも申しましょうか、秀外恵中とでも申しましょうか。2シリーズは、こと日常的にクルマに乗る人にとって、最高のスポーツクーペと言っていいだろう。均整のとれたスタイリングと使い勝手の良さを兼ね備え、ハンドリングにおいても秀逸であり、本国ドイツでのプライスタグは最上級の「M235iクーペ」に8速ATを組み合わせたモデルでも、4万6000ユーロで手に入る。

モデル名が「2」からスタートすることから察する通り、BMWのラインナップの中での位置付けは従来の1シリーズ・クーペの後継にあたる。が、実際にはほぼブランニューの新型車と言っても過言ではない。一方で、BMWにとってスポーティなモデルは決して未経験ではない。1955年に発表された「507」に始まり、ベルトーネの手になる「3200CS」、ノイエクラッセの血脈を受け継ぐ「3.0CS」、70年代のレースシーンを席巻した「2002」と、車名を挙げるだけでも紙幅が尽きそうになる。

このクルマの魅力として、最も重要なのがエレガントなスタイリングだ。チーフ・デザイナーのカリム・ハビブ氏は、「スポーティな走りを表現した」と言う。実際に、ロングノーズにショートデッキでキャビンがリア寄りという古典的なクーペらしい伸びやかなプロポーションと、リアスタイルの力強さが印象的だ。Cd値は0.29に低められており、見た目と実際の空力がリンクしている。

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運転席は、これぞ“コックピット”と呼べる雰囲気で、ほどよくタイトなのがドライバーオリエンテッドのBMWらしい。インストゥルメントパネルはいかにも運転に集中!といったクルマ好きにとって好ましい造詣だ。サポート感の高いシートもスポーティな走行を予感させる。一方で、パーツ同士のチリの合い方、表皮やドアトリムの質感、ステアリングホイールの握った感触といったディテールの質感が高められており、先代にあたる1シリーズ・クーペと比べて隔世の感がある。

日本のユーザーにとって気になるボディサイズは全長4432☓全幅1774☓全高1418mmと、車庫の制限を受けずに停められる。とはいえ、先代にあたる1シリーズと比べて72mm長く、26mm広い。ホイールベースも、+30mmの2690mmに延長された。当然の結果として、前席の頭上空間は6mm拡大し、後席のヒザ周りは21mmも広がった。さらに、荷室も+20リットルの390リットルへと拡張されている。

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ノーマルモデルとMモデルに次ぐ、3本目の柱

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本国での発売時には、ガソリンが4気筒の「220i」と326psを生む3L直6ターボ付きユニットを積む「M235i」、ディーゼルの「220d」が用意される。のちに、「218d」と「225d」のディーゼル2機種と、夏には245psを生む直4ターボ付きガソリン・エンジンを積んだ「228i」が加わる。「225d」は8速ATと組み合わされている以外は、すべてのモデルに6速MTが標準装備されて、オプションとして8速ATが用意される。

ラスベガス・スピードウェイで「M235iクーペ」のキーを受け取る。「Mパフォーマンス」と呼ばれるモデル群の一角をなし、従来からのノーマルモデルとMモデルに加えて、2012年から3本目の柱として設定された。当然、その背景には「1シリーズ Mクーペ」の成功がある。わずか15ヶ月という短い生産期間だったにもかかわらず、2500台の予定をはるかに上回る6500台を販売した。Mほどスポーティネスを全面に押し出してはいないが、日常の用をなしつつ、スポーティな走りにも対応する「Mパフォーマンス」モデルの標準設定はクルマ好きにとって歓迎すべきだ。

「スポーティな走りを求める顧客のためのモデルで、俊敏で正確なハンドリング特性を備えていながら、優れた使い勝手も備えているのがM235iの位置づけです」と、開発部門を率いる担当役員のヘルベルト・ディース博士は言う。

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川端 由美
筆者川端 由美

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。記事一覧を見る

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