アウディ A5スポーツバック 試乗レポート/松田秀士(2/3)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:原田淳
力強い2リッターエンジンと精密な7速Sトロニック
A5スポーツバックに搭載されるエンジンは、直列4気筒2リッター+ターボで筒内直接燃料噴射(つまり直噴)システム。そのパフォーマンスは211psを4,300~6,000rpmという広範囲にピークパワー域があり、350Nmの最大トルクも1,500rpmという低回転域から4,200rpmまでのゆとりを持つ。
最近は、尖がったトルクピークではなく可能な限り低回転域に、しかも広範囲というのがトルクのトレンドだが、ピークパワーも広範囲に渡って発生させる方向にある。0-100km/h加速は6.6秒で、その加速感はかなりのものだ。
特に、2ペダル・ツインクラッチ7速Sトロニックとの相性が抜群に良い。停止状態からフル加速すると1速6,300rpmあたりで瞬時に2速にシフトアップ。そのときのエンジン回転数は4,000rpmでピークトルクの範囲内。そして、そのままピークパワー域の4,300rpmに入り、力強く突進する。
3速ギヤにアップされると4,300rpmというふうに、1段づつギヤが上がるにしたがって回転差が狭くなるクロスミッション。まるでレーシングマシンのように精密に設定されている。これもダイレクトで瞬時にシフトするSトロニックの、しかも7速ギヤだから可能なことだ。
サスペンションは、フロントに5リンク+リヤにトラペゾイダルという前後共に高級なダブルウィッシュボーンサスペンションの進化系だ。サスペンションアームを含めたコンポーネンツはアルミ材で軽量化が計られている。
そして、ダンパーはコンピューター制御の連続可変減衰式。これはアウディ・ドライブセレクトと呼ばれるエンジン、トランスミッション、パワーステアリングと連動してダンパー設定も「コンフォート」「オート」「ダイナミック」の3段階に設定できるシステム。切り替えは、ダッシュパネルに設定されているスイッチを押すだけだ。
「ダイナミック」モードはアクティブパワーステアリングもスポーツモードになるのでクイックで重く、アクセルレスポンスとトランスミッションのシフトスピードもかなりスポーティだ。とにかくコーナリングがスパッと決まるし、路面に吸い付いたフィーリングが増し、思い通りのラインに乗せることができる。
「コンフォート」にすれば乗り心地重視になるので足はかなり緩く、路面の凹凸を上下動で収束させてくれる。つまり突き上げ感が少ない。
そして「オート」はその中間で、早い入力には「ダイナミック」のモードで処理し、遅い入力には「コンフォート」のレベルで快適性を重視する。ただし「ダイナミック」モードは、路面の凹凸に対する上下動を少なくして早く収めるという現代的な乗り味で、決して耐えられないような乗り心地ではない。
しかも、シートのクッション性が高いから普段乗りにも十分に使えるレベルだ。また「インディビジュアル」というモードがあり、こちらはエンジン、トランスミッション、ステアリング、ダンパーの設定をそれぞれ自分の好みにアレンジできるモードだ。
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