アルファロメオ ステルヴィオ ディーゼルモデル 試乗! ディーゼルらしからぬスポーティさに脱帽(2/3)

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やっぱりアルファロメオ! 想像を遥かに超える“走り”を魅せる

で、実際に走らせてみたらどうだったかといえば、最初は“ウソだろ?”というような妙な焦り、次に湧いてきたのは“やっぱりアルファだなぁ”というクルマ好きとしての喜び。ステルヴィオDは、僕の期待感を大きく上回った……というより期待感のなさを軽く笑い飛ばすような出来映えだった。少しばかり驚かされるくらい、アルファロメオならではといえるクルマだった。疑いを持っていたこと、エンジニアの皆さんに謝らなきゃいけないかも知れない。

ステルヴィオDが搭載しているディーゼル・ユニットは、ボア×ストロークがφ80.0×99.0mmの2142cc、直列4気筒のマルチエア式16バルブで、ツインスクロールターボとインタークーラーが備わっている。日本での発表会のときにお会いしたこのエンジンの開発責任者、パオロ・パロッティさんは、「特に真新しい技術を開発して投入したわけじゃなく、これまでに培ってきた様々な技術的な要素をもっと突き詰めて、バランスよく組み合わせたようなものだと思ってください」とおっしゃっていた。僕達メディアに手渡された資料にも、とりわけ派手な見出しが立っていたわけでもない。

走って“3分”でアルファ+ディーゼルエンジンのチカラを思い知らされた

最高出力はリッター辺り100psに迫る210ps/3500rpm、最大トルクはガソリンの2.0リッターターボを70Nm上回る470Nm/1750rpm。気筒数や排気量が大きいディーゼルにはもっと高性能な数値を叩き出すものも存在するが、クラス最強レベルといえる数値であるのは確かだ。

とはいえ、それはあくまでもディーゼルのカテゴリーの中でということではあるし、数値の上でアドバンテージがあるからといって、それがアルファロメオらしいということに直結するわけじゃない。クルマは走らせてみないと解らない。

そう、本当に走らせてみないと解らないのだ。僕は走りはじめて3分も経たないうちに、判っちゃったのである。自分の先入観が大きな間違いだったことなどすっかり忘れ、“何だよコレ楽しいじゃん気持ちいいじゃん”と、ニンマリとしていたのだから。

ディーゼルターボの長所を最大限引き出せているモデル

ステルヴィオDのエンジンは、ディーゼルターボの長所を大きく膨らませたようなものといっていいだろう。まず、走りはじめた瞬間からものすごく力強い。それもそのはず。何せ僅か1250rpmで300Nm、1750rpmで最大トルクの470Nmを沸々と湧き立たせる性格なのだ。

街中や高速道路をゆったりクルージングするときの分厚いトルクに支えられた運転のしやすさももちろんなのだが、アクセルペダルと深く踏み込んだときのドーン! と加速していく痛快なフィールには、クルマ好きなら誰もが「おっ!?」と思わされることだろう。しかも、だ。加速のときの喜びはディーゼル搭載車にありがちな一瞬だけ盛り上がってわりとすぐに鎮まっちゃうようなものと違い、息が長い。

ガソリン・エンジンとは根本的に違うわけだから6000rpmも7000rpmも回るものではなくて、レスポンスの鋭さ感じさせてくれる気持ちのいい回転域は3800rpm前後辺りまでの間なのだけど、ターボラグも全く感じられないし、8速ATが美味しい領域ばかりを使えるよう巧みにギアを繋いでくれるので、加速そのものが素晴らしく伸びやかに感じられるのだ。頭をググッと押さえられちゃうような嫌な感覚はとても薄く、躍動感に溢れていて実に気持ちいい。そして、もちろん速さだって充分にある。

ディーゼルになっても“ステアリングのキレ”は健在

そしてそれ以上に嬉しかったのは、ステルヴィオの一番の美点というべきハンドリングのよさ、曲がる気持ちよさというものが、全く損なわれていなかったことだ。なぜならディーゼルエンジンはガソリンエンジンと較べると、構造上どうしてもエンジン重量が重たくなりがち。クルマによってはディーゼル搭載車がガソリン搭載車より100kg近く重いなんていうのは少しも珍しくないのだ。

その余分な重さは当然ならがフロント側に集中するわけで、その分、鼻先の動きは鈍くなる。ところがアルファロメオのディーゼルエンジンは自重が155kgと軽く、ガソリンエンジンと較べても10kgしか重くないという軽量設計。ステアリングをスッと切り込んだ瞬間に始まるヒラッ! シュパッ! というステルヴィオ特有の楽しさを、微塵たりとも阻害してないのです。これは嬉しい驚きだった。

>>アルファロメオは“クルマ好き”のニーズを分かっている[次ページへ続く]

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

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