アルファロメオ ジュリア 新型車解説|“感情に訴えかけるマシン”がテーマのイタリアンFRセダンが待望の日本デビュー(1/2)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:オートックワン編集部
全クルマ好きが待ちわびた! アルファのFRスポーツセダン“ジュリア”が2017年にようやく日本導入へ
多くの人が上陸を待ちわびていたアルファロメオ ジュリアが、ようやくこの日本でも正式にお披露目された。古くからのアルファびいきも特にこだわりのないクルマ好きも、もっといえばファンもアンチも、軒並み一度や二度は話題にしてきたほど注目されていた、新型ジュリア。2015年6月のアルファロメオ創立105周年の日に本国で発表されたときには、それとなく判ってはいたところもあったけれど、それでもちょっとした衝撃だった。とりわけズドン! と響いてきたのは、公約(?)どおり後輪駆動であり前後重量配分50:50であったこと、そしてトップエンドとなるモデルが500psオーバーの超高性能モデルだったこと。それは長年の間、誰もが期待していた、いや、期待していた以上のアルファロメオの姿だったのだ。
アルファロメオの根源的な魅力に“原点回帰”したクルマづくり
新型ジュリアは、生まれるべくして生まれてきたモデルだった。2014年5月に発表されたFCAの中期経営計画を思い起こせば判る。そこには2015年にミッドサイズのクルマをひとつデビューさせることが明示されていて、同時に同じ資料の中に今後のアルファロメオが生み出すクルマ達の必要条件といえる要素が並べられていた。「先進的なエンジンを搭載すること」「前後重量配分が完全に50:50であること」「類稀な技術的ソリューションを持っていること」「ほかを寄せつけないほどのパワーウエイトレシオであること」「はっきりと洗練されたイタリアンデザインであること」。この5つこそがアルファロメオの歴史的なDNAであり、それを踏まえたうえで「クラスでベストの後輪駆動と全輪駆動を幅広く展開する」「8つのプロダクトを2018年の末までに発表する」「最初の製造のスタートは2015年後半」といった具体的な計画が提示されていた。
それらは、1984年に日産パルサーベースの“アルナ”を世に送り出すなどの過失を犯したり、数々の美しいクルマや優れたクルマを生み出していながらそれらにアルファロメオのDNAを受け継がせていなかったり、といった自分達の反省点を明確にしたうえでの、ある種の宣言だった。思想的にも原点回帰を果たし、その延長上に今後のアルファロメオの発展はある、とでもいうかのような・・・。そしてその考え方に則ってすでにジュリアの開発は進められていた、というわけだ。
アルファロメオ ジュリアの開発テーマは“感情に訴えかけるマシン”
2015年の発表時のニュースその後の追加情報でクルマの成り立ちをすでに御存知の方も多いだろうが、ジュリアは1960年代の名車である初代ジュリア、そして近いところでは美しいセダンとして多くの人の記憶に残っている156や159の系譜から続く、アッパーミドルクラスのベルリーナ(サルーン)だ。全長は最も長いグレードで4655mm、全幅は1865mm、全高は1435mm。ホイールベースは2820mmで、トレッドは一部モデルを除いてフロント155mm、リア1625mm。Dセグメントに属し、メルセデスのCクラス、BMWの3シリーズ、アウディのA4といったドイツ3強の存在を見据えた、現時点におけるアルファロメオのフラッグシップである。
眼力の強いフェイスと短いオーバーハング、全長とキャビンの大きさのバランスの良さ、各セクションの凸面と凹面が形作る多彩な表情などが特徴的なスタイリング。その車体の底面はフラッシュサーフェス化が施されている。最もCd値の小さなモデルでは、数値は0.23。ジュリアは全体的にエアロダイナミクスにこだわったデザインとなっていて、最も高性能なモデルには可動式のカーボン製フロント・スプリッターが備え付けられていたりする。
新設計の“ジョルジョ”と呼ばれるプラットフォームを採用したジュリアのシャシーは、アルミやカーボンなどの軽量素材を多用していて、それが理想とする前後重量配分やパワーウエイトレシオを手に入れるのに大きな貢献を果たしている。そこにマウントされるフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクのサスペンションも、“アルファリンク”と呼ばれる新設計。ブレーキも機械的なブレーキシステムと電子制御によるスタビリティコントロールシステムを統合した、IBS(インテグレーテッドブレーキシステム)をクラスで初めて採用した。
アルファロメオはジュリアに対して“La meccanica delle emozioni”、つまり“感情に訴えかけるマシン”というテーマを持たせており、車体の軽量設計やバランスの持たせ方、新採用のサスペンションもブレーキシステムも、全てその名のもとに開発されているものだ。
フェラーリの血が入った510馬力V6ツインターボもラインナップ
エンジンはどうか。基本はアルミ・ブロックの2リッター直列4気筒ターボと2.9リッターV6ツイン・ターボの2系統で、2リッターは200ps/5000rpmと33.7kgm/1750rpm、280ps/5250rpmと40.8kgm/2250rpm の2タイプ、そして2.9リッターは510ps/6500rpmと61.2kgm/2550rpmというかなり強力なアウトプットを得ることに成功している。ちなみにトランスミッションは、全て8速オートマティックとの組み合わせとなる。
ところで最もパフォーマンスの高い2.9リッターV6ツインターボエンジンだが、これは2015年の最初の発表のときのプレスリリースには“フェラーリをバックグラウンドとする”とか“フェラーリのテクノロジーを”みたいな微妙な表現とともに紹介されていた。排気量は2891cc。1気筒あたり481.8cc。これを8倍にすると、そのままフェラーリ カリフォルニアTの3855ccV8ツイン・ターボの排気量となる。φ86.5のボアも82.0mmのストロークも、ピタリと同じだ。バックグラウンドとかテクノロジーというのは控えめな表現で、フェラーリのV8をV6に縮めてアルファロメオにマッチするようチューニングし直したんじゃないか? と思えるくらいの、マラネロの血がかなり濃厚なパワーユニットであることは間違いなさそうだ。
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